きらぼし銀行の住宅ローン
きらぼし銀行は国内で初めてスタートアップ企業で働く役員と社員向けの住宅ローンの提供を31日から始める。これまでの審査では長期かつ安定した収入が重視され、スタートアップ社員は承認を得にくい場合があった。金利の引き下げ競争が過熱するなか、特定の層に対象を絞って差別化を図る。
日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA、東京・港)に加盟するベンチャーキャピタルなどから出資を受ける企業で働く役員と社員が対象になる。MFS(東京・千代田)が運営する住宅ローン比較サービス「モゲチェック」で申し込む。金利タイプは年0.45%の変動金利で、通常の0.47%より低く設定する。
スタートアップは人材確保に向けて待遇の改善を進めている。日本経済新聞社がまとめた2022年の「NEXTユニコーン調査」では、回答企業の21年度の平均年収は650万円と、上場企業の平均を45万円(7%)上回った。安定した勤務先を重視する審査では対応が難しくなっている。
ネット銀行を中心に住宅ローン金利の引き下げ競争が過熱している。一部の銀行では住宅ローンに付く団体信用生命保険(団信)の保険料を考慮すると、最優遇の金利が実質的にマイナスとなっている。金利の引き下げ余地が限られるなか、これまで返済能力を正しく評価できていなかった層を開拓する狙いがある。