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「おちゃけ」が好きなお客様、訪問フットケアで出会えたご縁と笑顔

新年が明けてから早くも10日が過ぎました。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

年始は仕事始めの1週間。旅立ちのご報告や新規のご契約が続き、あっという間に時間が過ぎていきました。

今日は、昨年旅立たれた大切なお客様との思い出をお話ししたいと思います。


数少ない在宅訪問のお客様との出会い

そのお客様とは、約10年前に在宅訪問のご依頼をいただいたことがきっかけでお付き合いが始まりました。
自宅から歩いて通える距離だったため、喜んでお引き受けしました。

仲の良いご夫婦で、お二人暮らし。
ご主人は貿易会社を興し、奥様と二人三脚でお仕事を続けていらっしゃいました。お酒が苦手だったご主人が、中国での取引先との席で少しずつ飲めるようになったお話を伺ったのが、今でも記憶に残っています。

施術が終わると、奥様が毎回お茶を入れてくださり、ほっとするひとときを過ごしました。その際、必ずご主人との微笑ましいやりとりがありました。

「お父さんもお茶飲む?」と奥様が尋ねると、決まってご主人は笑顔でこう返されました。
「お茶じゃなくて、おちゃけが良いな!」

午前中でもお昼でも、いつも同じ返事でした。
それが毎回の楽しみで、施術のたびに心が和みました。

お仕事の話や若い頃の旅行の思い出、お二人の馴れ初め、飼っていた犬のこと、そしてご家族の話――。

施術中にたくさんのエピソードを伺いました。どのお話にも、お二人の絆が感じられ、心温まる時間でした。


ご自宅から病院へ

数年前、ご主人は倒れられて入院。その後、療養型の病院へ転院され、ご自宅に戻ることは叶いませんでした。
胃ろうになってからも、4年間頑張って療養生活を続けられましたが、昨年の秋、ご家族に見守られて旅立たれました。

現在も奥様の訪問でご自宅へ伺っています。
毎月、ご主人の思い出話をするのが恒例です。

昨年10月の訪問時、リビングのテレビの隣に、ご主人のお写真がきれいに飾られているのに気づきました。

奥様が「息子や孫に見守られながら静かに旅立ちました」と話してくださいました。

「おちゃけを好きなだけ飲んでいるのではないかな。」とおっしゃる奥様の言葉に、私も自然と笑顔になりました。

今年のお正月は、きっと天国で酔っ払って楽しまれていたかもしれません。


ご縁の不思議

ところで、ご夫婦とのご縁の始まりは、1本のお電話からでした。
訪問を希望されたご主人に、「どうして私の連絡先をご存じになったのですか?」と伺うと、「駅前でもらったチラシに載っていた」とおっしゃいました。

ですが、私はチラシを作ったことも、駅前で配ったこともありません。
何度聞いても、「間違いない」と言い張られたのですが、不思議なことに、そのつながりの経緯はいまだに分かりません。

ただ、そんな偶然のようなご縁に心から感謝しています。
思い返せば、これまでの月日が本当にかけがえのない時間でした。


心からの感謝を込めて

長い入院生活、本当にお疲れ様でした。そして、素敵なご縁をいただいたことに心から感謝いたします。

これからも奥様のケアを通じて、お二人の思い出を胸に刻みながら訪問を続けたいと思います。

どうか天国でも、おちゃけを片手に微笑みながら、奥様やご家族を見守っていてくださいね。




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高齢者を足から笑顔に@中西薫
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