#12 余白は大事
先週の日曜日に息子と言い争いになった。
それは、朝から3試合の練習試合をこなし、車で片道20分の道のりを経て帰宅した後の出来事。
「おかあさん、この格好で遊びに行くけどいいよね。行くからね。」
試合後に近所のチームメイトと遊びの約束をしてきた息子。
遊びに行くのは承知していたけど、帰宅した時点で時計は午後15時半になろうとしているところだった。
正直、片付けやら身支度を済ませたら遊べる時間は1時間弱。3試合もして疲れているだろうに、今日は止めておけばいいのに、と思うのは大人の考え。
子どもは、サッカーも楽しかったけど、貴重な週末が、サッカーのみで終了~となるのは、やはり物足りないようだ。
急いで身支度を済ませた息子が、私に向かって言い放ったのが、上記の発言である。
みると、アンダーシャツ・練習着の上から、私服のパーカーをかぶり、サッカー用のレギンスの上から、ジャージ(私服)をはき、サッカーソックスを脱いだ足はそのまま、寒空の下裸足で出かけようとしている。
「寒いからいいよね、サッカーのスパッツの上にジャージ重ねて履くわ!」と言い訳まで付け加えていた。
コロナの感染拡大も予断を許さず、外は北風が吹き荒れ、午後15時の傾きかけた日差しの中、その恰好で飛び出していこうとする息子に私は全力で抗議した。
「ちょっと待って。トレーナーの下はサッカーの恰好のままでしょ?ズボンを上から履くのは100歩譲っていいとして、なんで裸足なの?本当だったらシャワーを浴びてから遊びに行って欲しいんだけど?時間もないからそこまでは言わないけど、せめてちゃんと着替えて、暖かい恰好に変えてからにしてくれない?そもそもなんで靴下履いてないの?」
思いつく限りのフレーズを息子にぶつけた。
しかし、予想通り早く遊びにいきたくて仕方ない息子は、私の反論にものすごい勢いで抵抗してきた。
「そんなことしていたら遊ぶ時間なくなるじゃん!?別に寒くないし!!」
3試合を消化し、今日は慣れない中盤で走り回り、へとへとな上、母親がクレームをつけたので、相当イライラしていた。
しかし、今日の対戦相手のチームの中に、試合終了の後、私服に着替えて帰るチームがまたまた現れ関心の念が生まれていた母は、息子に言った。
「あのね、試合の恰好のまま帰ってきて、そのままの恰好で遊びにいくのは、ダサいことなのよ!今日の○○のチームは私服に着替えて帰ってたんだよ?本当ならシャワーを浴びてから遊びに行って欲しいくらいなんだからね。昨日はちゃんと自分でシャワー浴びていたじゃない。(ちなみにその前の日も上級生の試合の帯同により3試合消化、午後15:30より遊びに行っていた)せめて家に帰ってきたら、ちゃんと着替えをして、気持ちをリセットしてから遊びに行って欲しいの!」
息子にとってはなんとも有難迷惑なよそのチームの話だな、と今なら思う。
しかし、その日は私も譲れなかった。が、母の【気持ちをリセットしてから遊びに行ってほしい!】というフレーズは、息子の心に少しは響いたのか、しぶしぶ無言で着替えて、
「これでいいよね?ね?」と靴下、ジーパン、パーカーの小3男子にリセットし玄関を飛び出していった。
出ていった後に、言い過ぎたかなと思った。
6歳の娘には「もう少し優しく言ったら良いとおもうよ。」と言われ女子の観察力は凄いなと思った。
冷静になって考えてみた。
そもそも、小学生の子どもたちにとって、貴重な週末がサッカーの試合だけでつぶれてしまうのは、精神衛生上よくない。
サッカーも大事だけど、
友だちと遊ぶ時間も大事、
家族とサッカー以外の時間を共有することも大事、
好きな漫画をみるのも、テレビを見るのも大事。
勉強だってしなくちゃならない。
ちょっと待てよ?
一日3試合じゃなかったら、全てが解決するのでは?とふと思う。
午前中でチームの活動が終われば、午後の時間は好きなように使える。
15時に帰宅して慌ただしく出かける必要もない。
今日のように時間がない中、着替える着替えないで言い争いが起こることもない。
シャワーを浴びて、昼ご飯を家族と食べて、友達と17時まで何しようか?ってたっぷり考える時間がある。
スポーツをしている子を持つ親なら誰だって休息する時間もとって欲しいと考える。
【PASSION~新世界を生き抜く子どもの育て方~】の著者幸野健一氏も本の中で言っている。
“サッカーしかできない人間は、人生を彩り豊かにする機会を逃していると感じている”
”空想にふける余白時間が大事だ”
”子どもの時間を塗りつぶしてはいけない”
色々なスポーツ団体の勧誘のチラシを目にすることがある。
野球は特に9時から15時など一日練習が当たり前のように案内されていることが多い。
筒香選手やダルビッシュ有選手の発信によって野球界も新しいスポーツの価値が生まれ初めているけれど、まだまだ長時間練習が子どもにとって良いことだと考える保護者やチームが多数派だと感じる。
週末にサッカーもしたい、友だちとも遊びたい、サッカー以外の事にも時間を費やしたい、そんな小学生を持つ保護者がもっともっと増えたら、ジュニアスポーツの景色も変化していくような気がします。
サッカーの格好のまま遊びに行くのはあり?なのか?
の疑問は解けず…。
ちょっと間が空いてしまいましたが、2022年もマイペースに更新していこうと思います!