イヌ 【北田直俊監督作品】
僕が25歳の時に作った映画『イヌ』
正確には、完成したのは34歳になっていた。
35ミリFILMの自主映画。
たった一人で作れるのか?試してみたかった。
総製作費は1800万以上。
★本編視聴サイト (80分の短縮版)
https://vimeo.com/ondemand/inufilm
生きていて、何の目標もなかった。
映画は作っていても、職業映画監督には興味がない。
金儲けも、マイホームも、結婚も。
趣味もなかった。ギャンブルやスポーツ、釣り?
女遊び? 何にも夢中になれなかった。
そんな頃に、或る雑誌に載っていた一匹の老犬に目が釘付けになった。
人間に虐待され、片足になったボロボロの老犬に。
何でこんな事をされなきゃならないんだ?
強烈な人間に対する怒りが芽生えた。
その怒りだけをインスピレーションで
一本の脚本を書き殴った。
端っから何もない。世の中や社会に対しても、親·家族に対しても。
まるで自殺する遺書かテロリストの犯行声明かの如く
『糞のような話』というタイトルを付けた。
この映画を撮る! そして死んでやる!
言いたいことを全て吐き捨てて野垂れ死んでやると、覚悟だけは定まった。
だが、資金は? 機材は? 仲間は? キャスティン グは?
そんな見切り発車の撮影だった。
継ぎ接ぎだらけの小汚い貧乏映画だが、完成と同時に
その頃、好きになった彼女が僕の代わりに自殺してしまった。
2003年の真冬の1月、莫大な借金と共に、『イヌ』と改題した
重たいセルロイドFILM巻を抱えて途方に暮れていた。
もう二度と観たくない程に、僕の恥ずかしくて忘れたい当時が
満載の乞食映画『イヌ』。
だが紛れもなく僕の青春そのものでもある、この映画を
16年振りにネット公開するのは、僕なりの過去との和解なんだろう。
★本編視聴サイト (80分の短縮版)
https://vimeo.com/ondemand/inufilm
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