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Withコロナ時代のアジアビジネス入門㊱深掘りインドネシア「コロナで加速するイスラム化」@ONLINE講座予告

ヴォルテール、ナポレオン、ゲーテとイスラム論
 インドネシアは世界最多のイスラム教徒人口を擁しています。
 ヴォルテール、ナポレオン、ゲーテが登場するコラム「ムハンマド風刺画騒動は『文明の衝突』?」(毎日アジアビジネスレポート2020年12月号)はインドネシアを通してイスラム社会を内外から深掘りした文化論です。筆者は元国際交流基金ジャカルタ日本文化センター所長の小川忠・跡見学園女子大教授。コラムは「イスラムとは何か」を考えるヒントになります。
 <さる10月フランスで、イスラムの宗祖ムハンマドの風刺画を授業に使用した中学教員が、イスラム過激思想に感化されたとみられるチェチェン出身の男によって惨殺される事件が発生した。被害者の国民葬が執り行われ、マクロン仏大統領が被害者を「表現の自由の擁護者」と讃えて、風刺画を含めた表現の自由をフランスは堅持していくと述べたことに、イスラム諸国は一斉に反発した>
<主流派イスラムとの関係を重視するジョコ・ウィドド・インドネシア大統領もイスラム指導者との会談後に、マクロン発言を「イスラム教を侮辱し、世界中のイスラム教徒を傷つけた」と非難しつつ、「宗教とテロを結びつけるのは誤り。テロはテロ、いかなる宗教とも関係ない」と断じ、テロ行為への批判も忘れていない>
 <イスラム世界を激怒させた「シャルリ―・エブド」のムハンマド戯画化を、「表現の自由」の祖ヴォルテールもやっていたのだ>
<ヴォルテールに批判的な二人の歴史的人物がいる。フランスの軍人・皇帝ナポレオン・ボナパルトとドイツの文学者ヨハン・ウォルフガング・フォン・ゲーテである>
 <1808年10月2日朝、ナポレオンとゲーテは会見した。(中略)そこで陪臣がゲーテによってヴォルテールの『マホメットあるいは狂信』ドイツ語訳が行われたことに言及すると、ナポレオンは「あれは駄作だ」と切り捨てた。反イスラム感情をもたなかったゲーテはドイツ語翻訳するにあたってヴォルテールが込めた毒素を除去することも試みていた。ヴォルテールと違って、ゲーテはイスラムの教義そのものに暴力性があると考えていなかった>
ワクチン・ナショナリズムとハラール認証
 こう論考した小川氏を講師に招き、3月26日に「コロナで加速するインドネシア社会のイスラム化」をテーマにONLINE講座を開催します。
 日本人はあまり意識しませんが、インドネシアではコロナのワクチン接種とハラール(イスラム法的に許されたもの)の関係についてどう対応しているのでしょうか。
 <ジョコ・ウィドド大統領が気にする「国民の不安」とは、ワクチンの安全性に加えて、「その製造工程がハラールなのか」という宗教戒律に関わるものでもある。それゆえに政府の食品医薬品監督庁(BPOM)がワクチン緊急使用許可を出した1月、宗教界の権威「インドネシア・ウラマー協議会」(MUI)も政府と歩調を合わせて、中国のシノバック製ワクチン使用をハラールとする宗教見解(ファトワー)を発表した。MUIは、インドネシアにおいてハラール認証権限をもつイスラム組織である>(毎日アジアビジネスレポート2021年2月号)
 ONLINE講座ではインドネシアのコロナ対策としてのワクチン接種について、小川氏がワクチン・ナショナリズムとハラール認証という視点から論じます。ご期待ください。
【毎日アジアビジネスONLINE講座:申し込み方法】
■日時 2021年3月26日(金)19:00-20:30(日本時間)
■テーマ:「新型コロナウイルス危機が加速させるインドネシア社会のイスラム化」
■講師:小川忠(おがわ・ただし) 
跡見学園女子大教授
元国際交流基金ジャカルタ日本文化センター所長、毎日アジアビジネス研究所シニアフェロー
https://peatix.com/event/1855789/view
※上記peatixをクリックし申し込んでください。
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 毎日アジアビジネスレポートのトピックなどをもとに、所長としての視点をNOTEでまとめています。レポートの購読や問い合わせなどはメールで毎日アジアビジネス研究所 <asia-biz@mainichi.co.jp>までお寄せください。

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