Withコロナ時代の北海道ビジネス入門②「ガンダム都市伝説と<ブルーライトのスキー場>」@遠軽町・えんがるロックバレースキー場
「ガンダム」作画監督・安彦良和さんの出身地
「機動戦士ガンダム」にまつわる都市伝説を聞いたことがあります。これはキャラクターデザインと作画監督を務めた安彦良和さんが北海道オホーツク管内遠軽町(えんがるちょう)東社名淵(ひがししゃなふち、現・若松)出身であることから生まれた伝説です。遠軽町のシンボルは標高160.8㍍の岩山・瞰望岩(がんぼういわ)ですが、「ガンダム」の「ガン」は瞰望岩から、登場するキャラクターのシャア・アズナブルは社名淵から、カミーユ・ビダンは遠軽町に隣接する街、上湧別(かみゆうべつ)から取ったというものです。真偽のほどが定かでありませんが、なんともファンタジーを感じる話なので信じることにしています。北海道の地名の多くはアイヌ語に由来しているのでどこか異国的な響きがアニメと結びつき都市伝説になったのかもしれません。
安彦さんは私が卒業した北海道遠軽高校の先輩という縁もあり、10年ほど前にお住まいのある埼玉県所沢市でお会いした時、「高校時代から反体制派で、だからアニメーターにしかなれなかった。でも、遠軽町で生まれ育ったからアニメーターを続けられた」と笑いながら話したことが印象に残っています。
医療従事者らにエールを送るブルーライトアップ
遠軽町の代表的な観光地はえんがるロックバレースキー場と道の駅です。そのスキー場が5月12日からブルーライトを灯していると聞きました。白銀のスキー場に灯るブルーライトの光は「ファンタジーの世界」を醸し出すでしょうが、雪のない時期に灯す理由は地域の中核病院・遠軽厚生病院で院内感染が拡大し、頑張っている医療従事者らにエールを送るためでした。
私は遠軽高校の1年後輩の佐々木修一・遠軽町長に書面でインタビューすることにしました。佐々木町長とは遠軽高校が2013年に第85回選抜高校野球大会(毎日新聞社主催)21世紀枠で出場したこともきっかけとなり、毎年6月に東京で開催される東京遠軽会(今年はコロナで中止)で顔を会わせてきました。高校時代にスキー部で鳴らした佐々木町長がどんな思いなのかを聞きたかったからです。
――ブルーライトをロックバレースキー場で灯しました。
「今回、遠軽町では残念ながら病院、障害者施設で新型コロナ感染症患者が発生してしまいました。遠軽紋別地方の最大の基幹病院である遠軽厚生病院の院内感染は改めて医療体制を守ることの必要性を住民は認識しました」
「当初北見市でクラスターが発生してからオホーツク管内の基幹病院である北見日赤病院に過度な負荷をかけないために遠軽厚生病院も積極的に対応してきました。これは北見日赤病院がコロナ対応で他の患者の治療ができなくなるとオホーツク全体が医療崩壊を起こし脳疾患などの患者の命を救えなくなるからです」
「このようにコロナと戦っている遠軽厚生病院の職員、医療関係者は私たちの誇りであり敬意と感謝を込めてロックバレースキー場(道の駅)のブルーライトを企画しました。コースに雪が残っているともっと素敵だったのでしょうが、私もコロナ対応に追われ指示が遅れ、わずかな残雪の上での点灯となったことを悔いています。ブルーライトは精神安定作用があるとされ健康維持のシンボルカラーとしてイギリスで使われていたことに由来し、ロンドンで医療従事者への感謝の気持ちを表現してライトアップを始めたことが発端となり世界中で広がっています」
スキー場併設の『道の駅遠軽森のオホーツク』がスタート
――ロックバレースキー場&道の駅の整備のいきさつは。
「高規格道路が遠軽まで延伸したら、おそらくロックバレースキー場の前を通って広大なオホーツクを南北に分岐していく。そうなると札幌や旭川からオホーツクに入るにはロックバレースキー場が重要な関所になるはずだ。ここにスキー場ロッジと道の駅の複合施設を造るのがベストだと町長になる前から考えていました」
「学生の頃アルペンスキーをやっていたこともあり、長野の方で同様な施設があると言うのを聞いており、町長になってすぐに職員を施設の視察に出してから10年余り。昨年12月に北海道初のスキー場が併設した『道の駅遠軽森のオホーツク』としてスタートバー(アルペンレース用語)を切ることができました。スキー場としてはFIS(国際スキー連盟)公認スキー大会を開催しておりアルペン選手やスキー道を極めたい方には道場とも言えるハードなバーンを完備していますが、冬のスキーだけではなく1年中楽しめる道の駅としてアクテビティを整備中です」
IT活用で『都市』から『田園』への時代を ――Withコロナ時代の地域観光・経済はどうすればいいですか。
「テレワーク、オンライン授業、遠隔医療などのIT活用を様々な分野に広げ地方のハンデを克服し都市部から地方への人口移動により過疎化を食い止める。それにより都市の人口過密を解消し都市でも地方でも人々が生き生きと安心して暮らせる日本に一気呵成に進むきっかけのWithコロナ時代であることを望みます。良い意味で破壊と創造の時代となり『都市』から『田園』への時代となることを」
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