[東大英語] 東大英語リスニングの下読み・完全版

東大英語リスニングの攻略(主に下読み)

by 阿修羅(@ashura9999)and 大学受験部1期生

皆様に、大事なお願いがあります。それは、この記事をなるべく拡散していただくこと・そして、実際に使用してみて改善点を指摘してほしいということの2つです。連絡先はこちら:bethestrongest4ever@gmail.com


この記事の目的:リスニングの攻略は、下読み段階での情報の獲得がカギです。したがって、この記事では主に下読みに焦点を当て、有効な視点を紹介します。

下読みにかける時間:この記事では、AからCで合わせて6分の下読みを想定しています。つまり、以下に挙げる作業を、A・B・Cそれぞれ2分で終えることになります。

※リスニングは、いきなり英語の放送文が始まることはなく、必ず1分前後の事前説明がありますので、実際は記載されている時間の6分前ではなく5分前から下読みすれば、合計で6分の下読みになります。(たとえば、14時45分からリスニングの時、6分の下読みの開始は14時40分で良いです。)

下読みの対象:下読みの対象となるのは、

①リード文(「これから放送する講義を聞き、」など)
②設問文
③各設問の選択肢(1つの設問につき5つ)

の3つです。それぞれに分けて論じます。

①リード文の下読み(10秒)

リード文で判断するべきなのは、

1 放送文の性質
2 スピーカーの職業

の2つです。これらを、合計10秒以内に把握します。

1 放送文の性質について。

放送文は、まず

・講義
・講義以外

に分けることができます。講義は、スピーカーが1人です。さらに「講義以外」は、

・インタビュー
・対等な立場の会話

の2つに分けることができます。よって、

・講義
・インタビュー
・対等な立場の会話

の合計3つの形式があることになります。

放送文の性質は、聞き方を左右します。

「インタビュー」では、インタビュワー(学問知識はほとんどない)が質問をして、専門家(その道のプロ)がそれに回答する、という形式を取ります。
したがって、放送中、インタビュワーの質問の段階で解答根拠が予測できますから、3形式の中で最も簡単です。

「対等な立場の会話」は、2人以上が登場しますが、専門家同士であることが多いです。つまりさきほどと違って、片方が片方の話をひたすら聞くということはなく、対等な立場で対話をします。また、2人が同意見だと下らない問題になってしまうので、彼らの立場は異なることが多いです。
「異なる」というのは、マ反対が一番わかりやすいですが(例えば、AはリベラルだがBは保守など)、それ以外のこともあります。(AB二人とも環境保護に賛成だが、手段が異なるなど)
立場の違いを利用して話の方向性を予想することが出来るので、この形式も難易度は高くありません。(AとBが逆であることが設問や選択肢でわかれば、AとBの立場を放送前からある程度予想できる)

「講義」は、基本的に1人しか話さないので、素直に聞くしかありません。最も難しい形式といえます。


2 スピーカーの職業について。
リード文にはスピーカーの職業が書いてあります。(「科学者」「人類学者」など)

スピーカーの職業も、話の方向性や内容を予想する強力なヒントになります。(例:scientistが科学の危険性を主張することはあるかもしれないが、科学を全否定はしないはず。)


②設問文の下読み(合計40秒)

「設問文」とは、aからeの選択肢のコトではなく、(6)や(13)の真横にある文のことです。5つしかないので、1設問8秒で、40秒以内に以下の作業をして設問を把握することが目標です。

見るべきポイントが9つあるので、それらを列挙して説明します。一覧は以下の通り:

☆設問文の下読み

1:設問のスピーカーをメモせよ(♂・♀が有効)

2:時を表す表現にマーキングせよ

3:強すぎる表現にマーキングせよ

4:推測・憶測の表現にマーキングせよ

5:特徴的過ぎる表現にマーキングせよ

6:肯定表現に+を、否定表現に-を書き込め

7:by以下にマーキングせよ

8:””に注目せよ

9:最後の設問から、全体の方向性を予想せよ

以下、それぞれ説明します。

2-1:(「対等な立場の会話」の時)設問が、どの人物のセリフに基づくかを読む。その際、性別によって区別するとわかりやすい。(♂や♀の記号を設問に書き込む。)

「対等な立場の会話」では、設問と人物が関連づいていることが多いです。なので、どの設問がどの人物かを事前に把握するのが大切です。この時、(だいたいは)性別が違うので、性別によって区別すると良いです。(性別の違いは、放送中に声だけでわかる特徴だから)

たとえば、Linda ○○ とSteven △△との会話である文章で(これはリード文でわかります)、5問の設問が、Linda,Linda,Steven,Linda,Stevenに関する問題の順で並んでいたら、ほぼ間違いなくLindaは女性でStevenは男性なので(これは事前知識)、各設問の横に、♀♀♂♀♂の記号を書き込みます。


2-2:設問文の、「時を表す表現」をマーキングする。

作業例:after 1980とあれば、そこに下線を引きます。そして、「時期で引っ掛けてくるはずだ」という意識を持ちましょう。(例:1960年の出来事は、聞こえたとしても正解ではありません。飛びつかないようにしましょう。)


2-3:設問文の、「強すぎる表現」をマーキングする。
作業例:most importantやclearlyなどにマーキングします。

設問文にこれらの表現が登場する時は、2つの可能性があります。この可能性を意識します。


可能性1:放送文中で強調される

これは、放送中に強調してくれるということなので、むしろ簡単になります。しかし、

可能性2:選択同同士の比較が必要(例えば、選択肢aもbもcも読み上げられるが、その中で最も重要なbを選ばなければならない時)
ということもあって、この時はaやcの選択肢に引っかからないように注意しなければならず、難しくなります。この際、どうせ引っ掛けてくるので、引っ掛けのaやcは最初に読まれることが多いです(飛びつく奴を落としたいから)


2-4:設問文の、「弱い表現」をマーキングする。
作業例:probably や indicate(暗示する)などにマーキングします。

2-3と対になる技術です。

設問文にこれらの表現が登場する時は、放送中の特定の箇所を聞くのではなく、放送全体から予想する問題になりやすいです。(直接言っていないからこそ、弱めな表現を使っているので。)

あまり神経質にならなくて良いので、実は全体の理解さえできていれば、現代文力で解答でき、簡単です。


2-5:設問文の、特徴的な単語をマーキングする。
作業例:WashingtonやIndiaなど、固有名詞などにマーキングします。

他に言い換えようがない特徴的すぎる単語は、必ず放送文中でも読み上げてくれます。(例えば、ワシントン(米国の首都)はワシントンとしか言いようがない)

強力なヒントになるので、マーキングします。

2-6:設問文の、肯定表現には+(プラス)を、否定表現には-(マイナス)を書き込む。
作業例:positive/efficient/constructiveには+を、negative/badなどになどには-を書き込みます。

設問文の肯定表現からは、スピーカーの意見が予想できます(自分の意見を言う時は、それがイイことであるように言うはずだから)
逆に否定表現からは、スピーカーの意見がそれとは逆だと予想できます(嫌いな意見だからこそdisるはず)

特に「対等な立場の会話」では、2人の専門家の意見が対立しやすいので、会話の方向性の予測にかなり役立ちます。(現代文で言う対比。)


2-7:設問文の、by以下をマーキングする。

by以下はひっかけを作りやすいので、引っかからないように注意するためにマーキングします。(例えばby Americaなら、ChinaやJapanがしたこと正解にならない。聞こえたとしても飛びつかないようにする!)


2-8:設問文の、””(引用符)は放送文でも出てくる!

設問文に”hidden secret”とあれば、それは放送文でもhidden secretという単語がそのまま出てくるという意味です(””は引用するための記号だから)放送文での場所がわかるので、これは相当強いヒントになります。


2-9:最後の設問を先に読み、そこから逆算して全体の方向性を予想する。

最後の設問は、全体の要約を聞く問題になっていることが多いです。(模試ではそうでない時もあるが、本番はその傾向が強い。これは東大現代文・東大漢文も同様。)

なので、さきに最後の設問を読むことで、話の方向性をつかみやすくなります。

③選択肢の下読み(合計70秒)


解答にもっとも直結する部分でもっとも重要です。なので、70秒はかけましょう。

70秒あっても、選択肢は5×5=25個もあり、全てを読んでいる時間はありません。なので、あえて読まない選択肢も設ける必要があります。読むべきものと読まないべきものにわけて説明します。


3-1:(読まないべき選択肢) 設問が細部ではなく全体を聞く問題の時は、選択肢をほとんど読まない。

最後の設問や、2-4「弱い表現」が登場する設問は、全体が聞こえていれば文章理解でどうにかなることが多いです。なので、これらの選択肢は細部まで読み込むのはやめましょう。試験中は不安で、普通は読みたくなってしまうので、読まないぞ!!読むと時間なくなるぞ!!と自分に言い聞かせることが大事です。


3-2:(読むべき選択肢) NOT設問の選択肢は、特徴的な単語にマーキングして、なおかつ、選択肢をできるだけ短期記憶する。

東大英語リスニングのNOT問題は、5つある中放送された4つを消す消去法を使うのが原則です。したがって、放送中にどの4つが正しいかを判断するべきですが、この時選択肢を全て覚えるのはよほど短期記憶力が良くないとムリなので、選択肢に特徴的な単語のみをマーキングします。(短い方が良い)

選択肢に「特徴的」な単語は、経験で覚えるしかありませんが、以下に実際の例を示してみます。(出典:2021年度A-(8))

a)They are difficult to reproduce mechanically.

b)They are not regularly shaped.

c)They are one of the most difficult aspects of a painting to copy.

d)They are produced by insects eating the painting.

e)They can easily be reproduced by using the right kind of tools.


では、

a):mechanically がいちばん特徴的です。放送されるなら、「機械」を使うかどうかという話が出てくるはず。

b):regularly shapedがいちばん特徴的です。放送されるなら、「形」が「普通か」どうかという話が出てくるはず。

c):most difficult copyがいちばん特徴的です。放送されるなら、「コピー」するのが「最も難しい」という話が出てくるはず。(それもmostじゃないとダメ)

d):insectsがいちばん特徴的です。放送されるなら、なんらかの虫が出てくるはず。

e):easily by toolsがいちばん特徴的です。放送されるなら、「道具」で複製するのは「簡単」という話が出てくるはず。


このように注目したうえで、なるべく多くのキーワードを頭の中に叩き込みます。
5つ全てでなくてもいい、3つも覚えていればだいぶ有利です。この中だと、「機械」「形」「虫」は覚えやすいのではないでしょうか。(個人差があります。)


3-3:(読むべき選択肢)NOT設問の選択肢が特に短い場合、どこかで集中的に列挙するはずだと予想しておく。

これは、選択肢が文ではなく単語レベルである時に特に有用です。選択肢がすべて単語ということは、X,Y,Z...と放送中でも列挙する可能性が高いです、特に集中して聞かなければ聞き逃しますからこういうケースでは、放送前から心の準備をしておきましょう。

3-4:(読むべき選択肢)数字を含む選択肢は、何の数字かを含めてマーキングする。その際、「隠れ数字」にも注意する。

まず、「何の数字かを含めて」という部分はとても大事です。

例えば、half ofと選択肢に書いてあれば、「何の半分」というところまでマーキングします。(数学で言う分母)

つまり、

正しいマーキング例:half of the world population
悪いマーキング例:half

となります。

また、「数字」は、235などアラビア数字で書いてあればわかりやすいですが、「隠れ数字」は注意が必要です。

これは2つあり、

一、英単語になっている場合
二、比較級

の2パターンがあります。

まず英単語になっている場合ですが、これは、fourやdecadeなどとアルファベットで書いてあって、すぐにはわからないパターンです。これらも数字であることには変わりないので、見落とさずマーキングしましょう。

次に比較級になっている場合ですが、これは間接的に数字を使うというパターンになります。例えばmoreやless、またはearlierやlaterなどのパターンがあります。これらも聞こえてきた数字を使う可能性があるので、マーキングします。(例:放送文中でmoreやlessと言っていなくても、「Aが50円持っていてBが30円持っています」と放送されたら、A has more money than B.は正解となる。)