Brand New Worldの解説 ~JapEn 2020~
初めまして、Ashrount(@Ashrount_) です。
文章をまともに書くのは初めてなので稚拙な文で読みづらいとは思いますが、ぜひ最後まで読んでいただけると幸いです。
これが自身最初の投稿になるので、簡単に自己紹介から始めたいと思います。(ペン回し歴の変遷を多く述べます。)
【プロフィール】
名前: Ashrount
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小学5年生の時に同級生がやった「ノーマル」に衝撃を受け、当時の親友(今でも現役でペン回しをしてる)と一緒にペン回しを始める。
最初に作ったペンは楽ボジェル。下手くそながら毎日練習をした。
授業中に落としすぎて学校でペン回しが禁止に。(休み時間のみ)
YouTubeに投稿されていた「JapEnシリーズ(1st ~ 3rd)」を当時のガラケーで直撮りしたものを親友と見ながら練習する。
中学1年生で初めてCVに参加。当時の中1にしてはかなりの上手さだったと自負してる。(でも親友のほうがその上を行ってた)
中学2年生でペン回しから離脱。
中学3年生の冬、「JapEn 7th」の楽曲、wa.さんの「FakeMirage -requiem- 」に衝撃を受ける。
高校に入学、2回目のCV参加。そこそこのクオリティ。
高校1年生の時の同級生の影響で「音ゲー」を始める。(jubeat, SOUND VOLTEXなど)
高校2年生の冬から作曲を始める。
飛んで最近、憧れ続けた「SOUND VOLTEX」に楽曲提供できるまでになる。
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以上が自己紹介です。(簡単にと言って長くてすみません。)
0. 楽曲解説
さて、今回『JapEn 2020』に提供した拙作、『Brand New World』の解説をしていきたいと思います。
(また、以下に乗せるコード, コード進行の内容は詳しい方からすると指摘点だらけかと思いますがどうか見過ごしてください…。)
1. 依頼を受けて
今回のJapEn 2020のコンセプトは「新たな始まり」とのことで、「無色透明」「雄大」「清廉」をイメージした楽曲の依頼を受けました。また、リファレンス楽曲をいくつか用意していただけたので求める楽曲イメージを凡そ掴む事ができました。
それを受け、さっそくデモの制作へ移りましたが、実を言うと最初はなかなか思うように進みませんでした…。
私が今まで得意としてきた楽曲は短調(暗い, カッコいい曲調)だったので、今回の依頼内容から長調(明るい,感動系の曲調)の楽曲を作るのはなかなか苦労しました。
生ドラム音源を使ったバンド形式の楽曲にするか、自分らしくクラブ系の音楽要素を取り入れるか、イントロ制作に3つほどボツを繰り返しておりました。(JapEnシリーズすべてのメロディーを踏襲したものも作りましたが、雰囲気と合わずあえなくボツにしました…)
そんな密かに難航しているところに、本作の総合ディレクターである肄'teza様(@Iteza_JPSF)からJapEn 2020のキービジュアルを頂きました。
このキービジュアルが非常に助かりました。これを観てまず最初に浮かんだ光景が「日常の朝」でした。
それと同時に今回の楽曲タイトルを「Brand New World」にすることを決定しました。
2. イントロ
小鳥のさえずりと綺麗なピアノから始まる美しい朝をイントロで表現しました。
これに加えてスローテンポのTrapのドラムループを混ぜることで目覚め前の夢うつつな様子を表現しました。
これに加え、2回目のループ後に目覚まし時計の音をうっすらと乗せ、これから始まる朝を表現しました。
ここからAメロに向けて期待感を抱くような演出としてピアノの逆再生した音を入れて"グーーン"と来るようなイメージ(抽象的ですみません)で挿入しました。
コード進行は、『 I I/II I/III I/IV 』でベースがせりあがるように上げていき、朝の希望溢れる始まりをイメージしました。
また、Iの部分をIadd9にすることで、次に向けた曙光を想起させるようにしました。
コード進行(キー: E)
( | Eadd9 | E/F# | Eadd9/G# | Eadd9/A | ) ×4
3. Aメロ
Aメロは寝ぼけ眼の気怠さを少し含んだコード進行にしつつも王道の泣きメロっぽさを含んだものにしました。
ここで一つ私の大好きなコード1つ目!『 m7-5 』
個人的に大好きなコード進行である『 I VIIm7-5 III7 』を入れて愁いを含んだ展開にしました。(みんな『 m7-5 』というコードを好きになってください)
2ループ目から、アコギのカッティングを入れることで、爽快感を演出しました。
Aメロの締めはジャズとかにも多用されている『 IIm V I 』進行(厳密にはVm7 I7 IVM9 )に加え、 VIdimで終わらせることで、「下属調(♭+1)」へと転調させ、キーが E→A へと変化させ次の展開へうまく橋渡しするようにしました。
また途中、『Vaug/I#』という不思議な響きがするコード(いわゆるBlack Adder Chord,イキスギコードと呼ばれるコード)を入れて、展開に味をつけました。
↓この部分(0:41)とかに使われているコードです。(冨田ラボさんは神)
コード進行(キー: E)
| Eadd9 | Eadd9 | D#m7-5 | G#7 |
| C#m7(11) | C#m7(11) Cm7-5 | Bm7 | D#aug/F |
| Eadd9 | Eadd9 | D#m7-5 | G#7 |
| C#m7(11) | C#m7(11) Cm7-5 | Bm7 E7 | AM9 C#dim |
3. Bメロ
Bメロは、サビに控える爽快感に向けて準備するように組み立てました。
コード進行は、一歩一歩踏みしめるように『 IV V7 VIm 』とルートを一つずつ上昇する展開にしました。
エモさを引き立たせるために、V7, VImに9th, 11thを加えることで、愁いのある展開にしました。
ここで一つ私の大好きなコード2つ目!『 7-5 』
2回目のループの締めに『 IV#7-5 』に9thを加えた『 IV#9-5 』を使うことで、展開のスパイスとして作用させます。
そして皆さん大好きな『 IV V7 V#dim VIm 』で希望をもたらしたあと、元のキーに戻すよう、『 III9sus4 』で転調の準備をしました。
最後に、ピチカートのStringsとGlockenSpiel(カッコいい名前だけど鉄琴のことです)でアニソンっぽく魅せた後、『 I/II 』でEキーでいうところのIVへとうまく渡すようにすることで、「属調(#+1)」へと転調させ、キーが A→E へと変化させサビへと駆け出します。
コード進行(キー: A)
| D | E11 | F#m11 | F#m11 |
| D | E11 | F#m11 | F#m11 D#9-5 |
| D | E11 | Fdim | F#m11 |
| Bm7(11) | Bm7(11) | C#9sus4 | _ A/B |
4. サビ
さあサビです。
個人的にはコード進行もメロディーもかなり気に入っています。
主旋律には、ヴァイオリンを使用して、爽快感と感動を両方演出するように仕上げました。
コード進行は王道進行『 IVM7 V7 IIIm7 VIm 』でガッチリ掴みに行きました。
またここで、アクセントとしてご存じ再登場、『 II#m7-5 』でキメに行きました。
続けて『 IIm V I 』進行でオシャレに決めた後、『 Vm IV#m7-5 』でエモさを加えます。(Vmはのちに解説するドリアンモードからのモーダルインターチェンジコードです)この時のリズム隊も付点4分で刻むことで、ペン回しの締めに気持ちよく合わせられるようにしました。
2ループ目でまた、『 IV V7 V#dim VIm 』の展開でサビの終わりを予感させた後、『 IV/V (BメロラストのI/IIと同じコード)』で爽やかに締めました。
コード進行(キー: E)
| AM9 | B9 | G#m7 | C#m9 Gm7-5 |
| F#m11 | B9 | EM9 | Bm7 A#m7-5 A#m7-5 |
| AM9 | B9 | Cdim | C#m9 Gm7-5 |
| F#m11 | B9 | EM9 | A/B |
5. ブリッジ
サビが終わった後の次の展開に向けたパートです。
展開自体はイントロとほぼ同じなので詳細は割愛しますが、最後のパートだけ一つアクセントを付けました。
『 IV/V IIIaug7/IV#(II9-5の展開形)』を組むことで、次の展開への期待感をもたらしています。
コード進行(キー: E)
| Eadd9 | E/F# | Eadd9/G# | Eadd9/A |
| Eadd9 | E/F# | Eadd9/G# | A/B G#aug7/A# |
6. Cメロ
Cメロはしっとりとした雰囲気を一変させるエレキギターをツインリードで主旋律におくことで、豪華さと展開に締まりを生むことができました。
このパートは全体的にJ-POPの肝となるポイントを押さえた展開にしました。
ここで一つ私の大好きな技法!『モーダルインターチェンジコード(借用和音)』
最初は、『 IVM7 IIIm7 VI7 II#m7-5 』という展開で、このVI7がミクソリディアンモードからのモーダルインターチェンジコード(借用和音)というもので(必殺技みたい)、少し含みのある振る舞いをします。(このコードもしかしたら次のII#m7-5に対するセカンダリードミナントコードかもしれません。詳しい人教えて)
次は『 IIm7 IIIaug7 VIm7 VI7 』という展開でまたも『 VI7 』でモーダルインターチェンジコードを使用しています。
ここで一つ私の大好きなコード進行!『クリシェ』
3つ目の展開で『 IVM7 IVmM7 IIIm7 II#7-5 』というきれいに階段を下りていくようなオシャレなコード進行にしました。
↓この部分(0:51)とかに使われているコード進行です。(田中秀和さんは神)
4つ目は『 IIm7 V7 VI7 IV#m7 』という展開で、『 VI7 』でモーダルインターチェンジコードでキーが曖昧なところに、『 IV#m7 』(厳密にはIV#m7/VII )というコードを置きました。
このコードは、次のキーの着地点であるE→Bへと移る際のステップとして置いたもので、Eキーにおける『 IV#m7 』は、BキーにおけるIVの手前の『 VIIm7 』として作用します。
そうすることで、「全音上(#+2)」へと転調させ、雰囲気を一変させました。
↓この部分(3:35)とかに使われている技法です。
余談ですが、このモーダルインターチェンジという技法は、使用することで一気に楽曲が彩るので、もし作曲に興味ある方は、モーダルインターチェンジを勉強してみてください。
コード進行(キー: E)
| AM9 | AM9 | G#m7 | C#7 Gm9-5 |
| F#m7(11) | G#aug7(b9) | C#m7 | C#7 |
| AM9 | AmM7 | G#m7 | G7-5 |
| F#m7(11) | B7(b9) | C#7 | A#m7/D# |
7. Bメロ~2サビ
2回目のBメロは1回目と同じなので、解説は割愛してコード進行だけ記載します。
コード進行(キー: B)
| E | F#11 | G#m11 | G#m11 |
| E | F#11 | G#m11 | G#m11 F9-5 |
| E | F#11 | Gdim | G#m11 |
| C#m7(11) | C#m7(11) | D#9sus4 | _ B/C# |
2サビの入りは、展開の締まりを良くすることと、ペン回しMVの映えとして、一度静かに盛り上がってからドンとサビに展開しました。
2サビも1サビと同じなので、割愛してコード進行を記載します。
コード進行(キー: F#)
| BM9 | C#9 | A#m7 | D#m9 Am7-5 |
| G#m11 | C#9 | F#M9 | C#m7 Cm7-5 Cm7-5 |
| BM9 | C#9 | Ddim | D#m9 Am7-5 |
| G#m11 | C#9 | F#M9 | B/C# |
8. アウトロ
今回の楽曲をきれいに締めくくる最高のアウトロです。
イントロ部を踏襲するのと併せて、サビから続いたヴァイオリンが終わりを予見するような旋律で楽曲を包み込みます。
コード進行はイントロとほぼ同じで、『 I I/II I/III IIm7/V 』となっており、IIm7/V で少し展開を匂わせます。
そして楽曲を締める一番最後、当初の予定では、『 I 』でトニック(主和音)に回帰することで、曲の終わり感の思わせるコードにしようと思っていました。
しかし今回依頼を受けたテーマは「新たな始まり」なので、楽曲に”終わり”を設けたくないなと感じました。
そこで、サブドミナント(下属和音)である『 IV 』を選択しました。
サブドミナントは終止感なく楽曲を締めることができるので今回のテーマにはもってこいの効果でした。
また、ここまで一度も登場していない13thを加えることで、あたかもこの先の続きを連想させる振る舞いをもたらしました。
コード進行(キー: F#)
| F#add9 | F#/G# | F#add9/A# | F#add9/B |
| F#add9 | F#/G# | F#add9/A# | G#m7/C# |
| BM13 |
以上で、「Brand New World」の解説を終わります。
9. さいごに
余談になりますが、改めて自分の楽曲を考察してみるとなかなか難しいことをしてるなと感じました。
ただ、実際作曲しているときはこんなにコード進行を考えながらしていません。
感覚で良いと思ったものを組んでいたら自然とこうなったというのが正しいです。
さて、今回「JapEn 2020」に楽曲として参加してみた感想ですが、
本当に感動しました。
自分が制作した楽曲が、昔から見続けた動画に参加できていることに未だ夢見心地の気分です。
実際動画をリアルタイムで視聴しているときは、次世代スピナーたちの凄まじい技量にただただ凄すぎて笑いながら観ていました。
最後のエンドロールに自分の名前が出たときに、思わず感極まって「いやぁ~」という感嘆のため息が漏れました。
楽曲依頼をくださった肄'teza様、JapEn 2020に関わった皆様、そして、ご覧になった皆様に感謝します。
本当にありがとうございました。
これから始まるJapEnの新しい世界を皆様と共に歩んでいけたら幸いです。
以上
Ashrount
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