松岡正剛さん
松岡正剛さんがお亡くなりなってから1か月が過ぎた。発表されてから追悼文が溢れ、その数やコメントを見て驚いた。世間一般に誰もが知る有名人ではないにしても、広く多くの人に影響を与えたことは間違いない。
特に2000年から始まったインターネット上のブックレビュー「千夜千冊」は、本好きな人なら一度は目にしたことがあるだろう。その1850夜のページは、今も更新されず…のままだ。
さて、松岡正剛ってどんな人?何の人?と聞かれ、その都度、答に窮する。一般的には「編集工学」をつくった人?という答えになるだろうか。
一昨日は、イシス編集学校25周年、感門の盟に少しだけ行ってきた。松岡正剛さんの面影を感じたかった。
僕は2015年に松岡さんが校長を務める「イシス編集学校」に入門した。守(しゅ)コースを卒門し、その後少し時間を空けてから破(は)コースを受け、なんとかギリギリ突破(終了)を遂げた。守破離である。基本が守、応用が破、その後いくつかコースメニューがあったりして、そして離に進む。
僕はイシス編集学校に片足を入れた程度だ。ドップリ身体をつけたわけではない。松岡正剛校長から直接薫陶を受けたこともない。しかし相当程度影響は受けている。
特に「本」との付き合い方が変わった。千夜千冊で読みたい本を探したり、読んだ本の感想や疑問を確かめたりした。マーキング読書はまだできないが、松岡校長の「ガッツリ書き込め!」という言葉に、本との新しい関係が芽生えた。
「間(あいだ)」の概念も大きな学びだった。知らない未知と知ってしまった既知、その「間」を愉しむことができるようになった。「わかるとかわる。かわるとわかる。」というメッセージの深さにも気づかされた。
ビジネスの世界にいた僕だが、あらゆる分野に「編集」が存在することを知った。人の営みのずっと前、宇宙創生の起源から、何かしら「編集」によって情報は動き、うごめいていたのかもしれない。
松岡正剛さんの「日本論」にもハマった。ハマった所ではない。今も尚、「日本」の奥や底を知るために、探究の道は続いている。横たわるのは松岡正剛さんの日本の見方だ。
今、彼の最後の作品。「近江ARSいないいない場合BOOK 別日本でいい」をやっと手にいれた。編集ヘッドの広本旅人さんや、破コースの仲間だった阿曽祐子さんの名前を見つけると、不思議な縁を感じずにはいられない。
松岡さんの「編集」の概念は、僕たちの生き方や物の見方に大きな影響を与え続けるだろう。そして、読みたい本はますます膨らむばかりだ(笑)。
松岡正剛さんと僕は奇しくも同じ誕生日、1月25日。
勝手に感じている縁ではあるけれど、存在をこれからも噛み締めて生きていきたい。
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