第一弾 Slowdownスローダウン 減速する素晴らしき世界
加速の時代だった20世紀が、人類史上例外的異常事態であり、やって来つつあるスローダウンの時代がむしろ人類にとっては状態である
と言う仮説を
特に大加速の国、アメリカを例に置いて考える
BY ダニー・ドーリング イギリスの社会地理学者(2013年よりオックスフォード大学地理環境学部教授)1968年生。労働社会研究センター全国諮問委員会委員。公共政策研究所客員研究員。 王立統計学フェロー、公衆衛生学部名誉フェロー。1989年ニューカッスル大地理学、数学、統計学則学士号取得。1991年空間社会構造の視覚化に関する博士号取得
★ 呪いの解呪のための本
将来も技術変革、経済成長は永遠に続いていく
という前提
「呪い」=人から思考、行動の自由を奪う言葉。
観念のシステムバグを創る情報体系。→解呪には、事実の徹底的確認必要ー データーと、図表だらけの本です。
第一章 この先に待ち受ける未来ー時代とともに変化したこと
1.不安
●昔の人が不安に思っていたこと 地獄の業火に焼かれる。
●昔の私が不安に思っていたもの 殺人バチ
現在は蜂の減少が受粉を不可能にし食糧危機を招くこと。
不安は生き延びるための特性。
奴隷制の廃止(1865年米・1883英・1888年ブラジル)教会や礼拝堂に人が集まらず、ナイトクラブになること。ほとんどの国で塗料が無鉛化されているなど
スローダウンを最も強く推し進めているもの
女性の解放と言う進歩
⤵
働く、投票する、家族の人数を計画する という
「自由」を勝ち取った女性が、安定に向かう進歩を牽引した・
第二章 ほとんどすべてのことがスローダウンする
一家族当たりの子供の数が何年も何十年も平均二人未満の場所で暮らしている人が地球上にいる人間の大半
人口の減少がなにをもたらすかをほとんどが考慮していない。
変化は、振り返って初めて、わかるもの
自分が猛スピードで走っていることを知る。
本書は後ろを振り返るためのもの
人口増加は1960年代後半に劇的にスローダウンし始めた。
人口の増加率は世界規模で減少しており、
それどころか
ヨーロッパの大部分、極東、南北アメリカの大半では、
人口が減少している。
このころ、世界の若者がそれまでと違う行動をするようになった。
1968年歴史の転換点(以下様々な変化を一連の時系列線で証明)
*5月革命 パリ大新左翼学生による大学占拠・世界同時革命を目指す
(反ベトナム戦争)日本の学生運動へも波及。資本主義の変容・限界
動乱のように見えるものは変わっていないものへの反発として起こるP52
◆位相空間
ルードウィッヒ・ボルツマン 位相空間の考え方ー有名な公式を記述
アンディ・ポアンカレ 変化する惑星の軌道を記述するため数学的写像を作成
ジョサイア・ウィーラード・ギブズ 相図 概念導入
の三人の研究によって生まれた。
位相空間とは対象となる変数がとりうるすべての値をプロットできる領域である。位相ポートレートは、位相空間内で実際に取りうる軌道をまとめた図である。本書で使われるいそうポートレートの縦軸は対象の位置(値の大きさ)横軸は速度をプロットするために使われている。点の位置が右に近いほど急上昇。中央にある時は増減がに近く、左端に近いと急減している。それぞれの端に近ければ近いほど、減少率、増加率が高い。すべての値は曲線で結ばれ、隣り合った天点同士を時間順に結ぶ。
◆預言
余暇は増える。 エコツーリズムが盛んになる。
移住が盛んになり、やがて移住者さえ減少する。それもスローダウンが進む一つの要素となる。必要なのは若い世代が大量に地方に移住することではなく、地方が安定すること。
日本韓国オセニア諸国だけでなく、世界の貧しい国々でも、年の膨張に変化の兆しが見えている。
第三章 債務 減速の兆し
スローダウンは、原則(*根本法則)であって現象(*形として現れるもの)ではない。だからそれが起きていることに気付きにくい。
債務と富は表裏一体である。富の集中が進まなければ、債務が増え続けることはできない。
◆学生債務
学生債務は中国とヨーロッパ大陸の大半では存在しない。
学生の債務額が一番多いのがアメリカで、次がイギリス、その次がカナダやチリや韓国である。(*学生ローンは過酷な返済が要求される「奨学金」として、日本でも大きな問題になっている。珠注)
学生ローンが成り立つのは、インフレが進み、将来の給与が大きく上がることが予測される場合だけである。そうでなければこの仕組みは持続不可能だ。2008年の金融危機を契機として、アメリカの学生債務の増加率は下がっている。進学する学生の数が人口減少によって実際に減り始める前の段階で、債務の増加が減少し始めた。債務全体の額は増加しているが、それは利子が付くためと、返済できない学生が増えているためである。
◆自動車ローン
2003年から2018年までで、アメリカの自動車ローン残高は6220億ドルから、1兆2310億ドルに増えた。
2000年代初めには、ローン債務は3日ごとに10億ドルずつ増えた。その後2004年に新車を買う人が減った。2007年に債務減少。以降2011年にはローン総額が2003年を下回った。ローン残高は今も増加しているものの以前のような勢いはない。
よく計画された都市に住む人が多い日本では車の台数が減っている。
他の移動手段が見つかれば、アメリカもやがてそうなるだろう。
◆住宅ローン
アメリカの住宅ローンは変動金利である、金利は、時間や、借りての人となりや、住んでいる場所によって変わる。アメリカでは個人の信用力が数字で格付けされている。(本書86ページにヨーロッパは固定金利とあるが23.9.23の日経ではスウェーデン、日本が新規契約の7割が変動金利。アメリカでは9割が30年の長期固定金利を選択。とある。貧困層は家を購入すること自体ができない?もしくは低所得層のサブプライムローンが日本記事における住宅ローン総額に組み込まれていない可能性も。)
アメリカには低所得者向けの公営住宅や地方政府や慈善団体が管理し、安い家賃で貸す住宅がほとんどない。(全米で120万世帯、300万人が居住、スラム化しており、古い建物は壊され、新規には建てられていない。2005年「アメリカにおける儒環境の保証と住宅政策」岡田徹太郎。香川大)都市部では住居費が上昇、貧困層は郊外に押し出されている。
1909年、アメリカの住宅ローン残高は、借主の借入額と家計の借入額を含めても540億ドル。1919年4500億ドル。倍増を重ね、2002年に8兆ドルになったが、2008年第二四半期を境に、2013年第三四半期まで20四半期連続で減少した。
20世紀後半から、21世紀初めにかけて、アメリカ人の特に若い世代と貧困層は家を買えなくなった。2008年に崩れたのは、住宅を買う為に借りることのできるマネーの供給である。
◆すべての債務はつながっている
自動車を買う購入コストのほとんどは
車を買うために組んだローンの返済分である。
その次に、広告マーケティングコストとが来る。
アメリカは住宅費等の生活費がとても高い分、賃金も高くなる。
加速化はすべてつながっている
◆債務の発生
教育・車・住居
のように、誰かがそれを持たなければいけなくて
借金しなければそれを手に入れられない時である。
教育を受ける開かれた公正な機会があれば、学生ローンは発生しない。
債務が生まれるのは、お金を貸す人がいるから。
余っていると身があるからである。
◆アメリカの国家債務
1835年アメリカ 債務ゼロ。南北戦争による債務を税収で返済
1970年、アメリカ政府は徴税による資金調達を減らし、借り入れを増やすことを選択。高額所得者の最高税率は1900年代の70%からどんどん下がり、近年は35パーセント前後で推移。
富裕層に課税するのではなく、富裕層から借り入れることでアメリカ政府は巨額の債務を抱えることになった。
アメリカ政府が増税するか、借り入れるかをめぐる闘争は、政治闘争である。債務そのものが政治闘争でありこれまでずっとそうだった。
加速の国アメリカの債務の猛烈な拡大は止まっている
◆ポンジスキ―ム
(投資詐欺。高額配当を謳って資金を集め、後から集めた分から先に集めた人に「配当分」といって、資金を少しだけ還元する)
の循環が終わろうとしている。
全ては、若者が抱えている返済不能な債務をどう解消するかにかかっている。
第4章データ__新しいものがどんどん減っていく
第5章気候__産業活動、戦争、炭素、カオス
第6章気温__破滅へと続く例外
第7章人口動態__人口に急ブレーキがかかる
1940年代から1960年代 人口は世界規模で大幅に増えた。
増加率そのものが増加した。
しかし突然、驚くほど滑らかに増加ペースが鈍くなり始めた。誰かが巨大なブレーキペダルを踏んでいるかのように。
その後、増加はするが増加率が急減した。
1980年以降、世界人口の増加ペース、8000万人前後で安定した。
出生率が減ると同時に死亡数も減ったためだ。人間が長生きするようになった。2020年以降は増加ペースそのものが下がる。
国連推計は、2100年世界人口を「112億人」
人口の最大値
2030年代、7000万人
2040年代、6000万人
2070年代、3000万人
増加率のスローダウン
第8章出生数__過去最大のスローダウン
出生数
過去最大のスローダウン
表7
35世代(1から9、AからZ) P275
1901年以降、人間のありようが様変わりした
そこからの5世代の特別性を考察
第9章経済__生活水準が安定する
経済
生活水準が安定する
1964年以降、世界のGDPの増加率がこの年を
上回ったことは一度もない。
第10章スローダウンの時代の地政学
•インターネットにより、空間が急速に収縮し、消滅したという考え方
•特定の場所にある スローダウン「先進」国
•貧しい人の地政学(無視されてきた人の地政学)
•世界の金融センターのトップ
2017年 ロンドン ニューヨーク シンガポール 香港 東京
2019年 ニューヨーク ロンドン 香港 シンガポール 上海
民主主義と進歩
•すべての人が平等だったは当たり前だった
•世界全体の平均身長1896年から1996年 伸びているが1955年から1980年に10年あたり0.5cmしか伸びていない
•知能指数 水が出てこないシャワーを発明する人はいない
•知能指数上がっている
•富裕層から恩恵
•10年前ハイスピード社会という本が多かった
•1970年ころから結婚を延ばす人が出てきた
•未来都市の姿 政治の変化 種の変化 人のつながり方が変わってきた
•世界人口は1901年20億人 2000年半ば100億人
•結論 経済の不平等と気候変動
第11章大加速化が終わった後の暮らし
•大加速化が終わった後の暮らし
•政府は私たちの事がわかっていないと心の底から感じる
•キャロル リバプール 2017年
•発明は持続可能でなくては
•世界経済のスローダウン
•より平等な未来へ向かっている
•テクノロジーの幻想 100年後に瞬間移動はできない
•急激な絶滅 他の種は激減する。DNAはどこかにある。
•生物多様性の記録
•楽観的になる必要がある 超知性の問題 地球規模で考える
世界は裏切る 機能の絶滅 学術論文 気候変動 女性の自由の拡大
第12章人__認知とナマズ
•人
•認知とナマズ
•じゃぱにふぃケーション(日本化)
•何かを手放す
•水素爆弾 安心ではない
•世界の中心が変わる 格差スローダウン退屈娯楽
•変化が緩やかに
スローダウンの先頭に立つ 日本 東京 友と
トピックメモ
p.23 図の描き方丸の大きさが大きくなる、線の幅が太くなる、振り子についてもアナロジーで、データをミスリードしているのではないかと疑う仮にモデルであれば、という前提で考える
p.43 単純な縮小モデルならありか他の図もこうした形のほうがわかりやすいのではないか
p.49> スローダウンが進むために必要なのは若い世代が大量に地方に移住することではない。地方が安定することだ。
p.52> 1968年前後は、実際には、世界の大きな転換点だった。本書でこの後に出てくる一連の時系列先が、それを証明している。証明が足りない・・・
p.53 グラフの縦軸が適切でないように思われる下限が90.0くらいでないと、値の幅が大きすぎる
p.60 「相図」「位相空間」「位相ポートレート」の用語が適切でない
p.61> 曲線上の点は、丸印で描かれる。丸は縦軸に示される値によって大きさが決まり、日付が表示されるので、位相ポートレートが時間、変化、変化の速さを同時に示せるようになる。
p.62> 1つの統計系列のポートレートである。意味不明で、訳がおかしい
p.78> 債務が生まれるのはお金を貸す人がいるからであり、十分に強欲で余っている富があるから、お金を貸せるのである・・・債務は増える。前提が予断を含みすぎる
p.110> 言い換えれば、紙で保存されていたら捨てられていたであろう 情報が占める割合も大きくなっていくことになる。
ウィキペディアに載っているものに大きな価値はないと考えているなら、地球のデジタル埋め立て地にシャベルで投げ込んでいる他のものすべてのものを見て見ぬふりをしているのだろう。立論がおかしい
p.129 図12: 見方がよくわからない
p.139 メトリックトンと言う単位。単純に1000kg=1tなのではp.145>これは人類の歴史で初めてのことである。その後、1880余年以降、あらゆること、それこそ人間が行うほとんどすべてのことがスピードアップする。にもかかわらず、それが問題になると考えていた人はほとんどいなかった。なぜそうだったのだろう。
p.150> この表が物語るように、現在の汚染の過程が最近になって始まらなければいけない必然性はなかった。中国は世界を市場にしなかったからだと言う、単純な反論が思いつく
p.156 それはともかく、世界の人口はこの7年間に7000万人増えた。では汚染はどれだけ増えたのだろう。答えはこうだ。「汚染は減った」。人口が増えても汚染が減ることもあるし、人口が減っても汚染が増えることもある。間接的な影響はあるかもしれない
p.183 過去5世代地球の気温が目に見えて上昇しているのは、ここ5世代の間だけである。
p.194> 図16の排出記録を見ると、 1978年までの蓄積量が並外れて多かったことがわかる。・・・ 既によく知られている周期的なもの以外に、これといった大きな変化は見られない。 1つ確かに言えるのは、大勢の人の行動が1970年代後半から大きく変わっていると言うことだ。
p.198 図20 頭の19に比べて20のグラフの方がはるかにわかりやすい
◆ 読書意見交換会