【かもめAI小説塾】面白いコンセプトの作り方
「面白い」という言葉の曖昧さ
「コンセプトを作ろう」の記事では「コンセプト」という言葉が「テーマ」と混同されて使われている話をしましたが、「面白い」という言葉もテキトーに使われている言葉の一つです。
映画の感想を例に出すと、『シャイニング』のようなホラー映画を「面白い」と言う人もいれば、『ブレードランナー』のようなSF映画を「面白い」と言う人もいます。『シン・ゴジラ』が「面白い」と言う人であっても、特撮が好きな人と、ゴジラが破壊の限りを尽くしているのが好きな人と、官僚の人間ドラマが好きな人では意味が異なります。「面白い」という言葉は多義的なのです。
それゆえに、様々な意味で「面白い」が使われているテキストを学習しているChatGPTは、「面白い」という言葉を正確に判別できません。大規模言語モデルは、大量のデータが生み出す重力に引っ張られるのです。だから「面白いコンセプトを作って」と言われても、それがホラー的に面白いのか、SF的に面白いのか判断できず、平均的な「面白いコンセプト」、つまり大して面白くもないコンセプトが出力されることになります。
というか、そもそも人間の作家に「面白い作品作って」と丸投げしても良い作品は出てきません。まともな作家であれば、どんな作品が欲しいのか根掘り葉掘り聞いてくるはずですし、その質問にあいまいな答えばかり返していれば、結局良いものはできません。優秀な作家とは、優秀なライターであるとともに、優秀な編集者でもあるのです。その編集者の部分を実力のない他人が担当すれば、クオリティーは当然落ちます。もしそれで良い作品ができたのであれば、それはあなたのおかげではなく作家のおかげです。あなたに創作的寄与は微塵もありません。
それと同じことがAIを使う場面でも発生するのです。AIを使う我々は、優秀な編集者にならなければなりません。それにAIは、良い作品を作るために必要な質問を能動的に聞いてはくれません。
AIは「知の宇宙エレベーター」です。ITの発達によって多くの人が効率よく学習できるようになったことを「知の高速道路」と言いますが、AIはそれをさらに上回り、宇宙へと飛び出すことすら可能にするものだと言ってよいでしょう。しかしAIを扱うための勘所は、使用者であるあなたが理解している必要があります。宇宙へのチケットは、あなたの手の中にあるのです。
「面白さ」とは何か
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