執筆支援AIの「AI BunCho」と「AIのべりすと」、どっちを使うべきか?
執筆支援AI「AI BunCho」(サービス開始:2020年5月21日~)がリニューアルされたので、似ているサービスである「AIのべりすと」(サービス開始:2021年7月9日~)と比較してみようと思う。
筆者は「AI BunCho」の開発者の方とTwitter上で交流があるが、なるべく公平な視点で比較するよう努めた(つもり)。
結論から先に言うと、「AI BunCho」は無料版でも生成回数に上限が無く、タイトル生成、あらすじ生成などもできるのがメリット(2022/02/19追記:現在は未ログインだと10回、ログインしていると100回の上限がある。有料プランでは無制限)。課金時の一度に生成できる文字数のコスパも良いので、ライトユーザーならこっちがおすすめ。
「AIのべりすと」は、オプションを細かく指定することができ、プレミアム会員になればMODが使えて、AIも細かくチューンできるのがメリット。細かいところまで調整をしたいヘビーユーザーにおすすめ。
文章の自然さは同等
「AIのべりすと」は自然な文章を書くということで話題になった。試しに、私の書いた小説の冒頭(最初の7行。「……光の粒が瞬いている」まで。)を使って生成させたのが以下の文章。
一方、リニューアルされた「AI BunCho」で小説の本文を生成できる「対話型執筆」も、「AIのべりすと」と同等の文章を生成できる。同じ文章を使って生成させた例がこちら。
どちらも、なんとなく前後のつながりがあるように感じる文章になっている。生成できる文章のレベルでは差はないだろう。
ここからは、「AI BunCho」と「AIのべりすと」の機能面での違いを3点紹介していく。
1:生成回数上限の違い
「AI BunCho」は、一度に生成されるのは50文字くらい(筆者推定)だけど、今のところ無料版でも「対話型執筆」の生成回数に上限は無さそうなので、その点で気軽に使いやすい(2022/02/19追記:「AI BunCho」は、現在は未ログインだと10回、ログインしていると100回の上限が設定されている。有料プランでは制限回数は無い)。
「AIのべりすと」は一度に100文字くらい(筆者推定)生成できるけれど、アカウント無しで約500文字までしか生成できない。フリーアカウントだと1時間あたりの出力回数が約45回までに制限されているらしい。プレミアムになると制限は無い。
そう考えると、無料で使いたい人は「AI BunCho」が向いていると思う(2022/02/19追記:現在は上限が設定されたので、どちらのサービスも無料で使い続けることは難しくなった。課金する前提で考えたほうがいいだろう)。(結構なサーバー代がかかっているらしいので、ゴリゴリ使う人は課金してあげるといいかも)
一方、「AIのべりすと」は、課金するとオプションが増える(後述)。細かい調整ができるので、使い込みたい人にはメリットになると思う。
2:一度に生成できる文字数の違い
一度生成ボタンを押した時に生成できる文字数を無料版で実際に比較してみると、「AI BunCho」だと50文字くらいで、「AIのべりすと」は100文字くらいだった(システムでの実際の設定は少し違う可能性がある)。
これは、どちらも課金して増やすことができる。金額あたりの文字数では「AI BunCho」の方がコスパが良い。修正の手間が多くても、一度に生成する文字数は多くしたいなら「AI BunCho」がおすすめ。
筆者が実際に利用したわけではないので確実なことは言えないが、「AIのべりすと」ではプレミアムに入ることで生成される文章を調整するオプションが多くなるので、思い通りの文章になりやすく、修正の手間が減るメリットはあると思う。
参考までに、2022年1月22日時点でのプレミアムプランでの生成文字数の比較を載せておく。それぞれ課金することで他に使えるサービスも増えるので、生成文字数だけで単純比較できないことに注意。
【AI BunCho】
500円: 約120字
1000円: 約400字
2000円: 約500字
3000円: 約1000字
【AIのべりすと】
900円: 約280字
1500円: 約420字
2700円: 約520字
3:オプションの違い
「AI BunCho」は、タイトル生成、あらすじ生成、対話型執筆、AI TRPGなど、複数の機能が無料で利用できる(AI TRPGは上限あり)。
タイトル生成、あらすじ生成などは、2022年1月22日時点では古いモデルを使っている印象(2022/02/19追記:2022年1月30日にアップデートされ、より精度が上がった)。もっと良いモデルで使いたいという人は、今後のアップデートを要望するといいだろう(要望が無ければ、将来的に機能が無くなる可能性もありそう)。
一方、「AIのべりすと」は、プレミアムプランに加入することで、キャラクターブックの上限を解放したり、スクリプト、MODが使えるようになる。ただし筆者は課金したこと無いので、使い心地は分からない。
キャラクターブックは、キャラクターを設定して文章に反映させることができる。無料版だと25人分使える。長編を書くなら課金した方がいいのかなと思う。
スクリプトは、単語を置換したりできる。どちらかというと正規表現が分かるエンジニア向け。
MODはAIの生成する文章のスタイルを調整できる機能。より思い通りの文章になりやすいらしいので、長編書くなら使うといいのかもしれない。
(2022/02/19追記:2022年2月3日にはプラチナ会員向けに英語版200億パラメータモデル「ノイマン20B」が利用可能になり、2月13日には有料会員向けに「とりんさま7.3B V3」が、フリーアカウント向けに「とりんさま6.8B beta V2」が利用可能になるなど、精力的にアップデートが続けられている)
おわりに
以上の点をまとめてみる。
「AI BunCho」は無料版でも生成回数に上限がない(追記:現在は上限あり)。機能も、タイトル生成、あらすじ生成、TRPG生成など多い。プレミアムで一度に生成できる文字数のコスパも良い。ライトユーザー向け。
「AIのべりすと」は、オプションを細かく指定できる。プレミアム会員になれば、AIを自分好みにチューンできる。ヘビーユーザー向け。
(2022/02/19追記:各種アップデートにより、どちらも課金して利用した方がよく、「AI BunCho」はあらすじやタイトルも自動生成したいユーザー向け、「AIのべりすと」は最新のモデルを使いたいユーザー向けという印象に変わってきている)
今回は機能面で比較したが、「AIのべりすと」はサイトデザインが見やすく、使いやすい設計になっているのもメリット。
「AI BunCho」は個人開発ということもあり、ややUIが使いづらい印象がる。これからアップデートされていく部分だと思うので、期待したい。
今後も新たな執筆支援AIサービスが登場してくると思う。筆者も作ってみたいなと思っていた時期はあるけれど、個人ではなかなか難しい領域にありつつあるなと感じている。
今後はユーザーとして執筆支援AIサービスの発展につながることができたら嬉しい。
【訂正】
AIのべりすとのキャラクターブックについて「無料版だと3人分しかないので、長編を書くなら課金した方がいいのかなと思う。」と記載しておりましたが、25人分の誤りでした。お詫びして訂正致します。