願った存在の証明を。(2023年度入試・甲陽学院中学国語2日目分析)

本日は甲陽学院さんの国語、2日目を見ていきます。
二日目の入試問題は、一日目の分析に記したものでいうと、大問一の随筆文は完全に①型(現代社会の問題を踏まえて筆者独自の目線や考え方に気づかせる文章)、大問二の物語文は②型(出来事や過去の経験から内面の動きに気付かせて主人公の変化に目を向けさせる文章)を踏襲した形のものでした。ただ、そこに付け加えられたエッセンスまで正しく読み取って記述解答に反映させることが出来たかどうかが、勝負所を分けた可能性があります。

大問一は寿木けい(すずき・けい)さんの「木陰の贈り物」(『泣いてちゃごはんに遅れるよ』(幻冬舎・2022年1月))より。寿木さんはご自身を「エッセイスト・料理家」と名乗られている人物です。

文章内容としては長年の男友達から会社を辞めようか悩んでいるという相談事を持ちかけられた筆者が、自らの経験(自分の娘が重度の障がいを持って生まれてきたので生き方を変更しながら生きてきた)をふまえて、アドバイスをしつつ、かつて出会った建築現場の人々が木陰で休んでいた様子が人生における息抜きや安息の必要性に気付かせてくれたと思い、そういったことの大切さを語る、というものになっています。
いわゆる、実体験を元に自分自身の人生観を語るという、そこまで堅苦しくはない随筆文です。

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