見出し画像

ビジネスにストーリーを~6つの素敵な物語(事例)

吹けば飛ぶような事業をしている中小企業は、他社に吹かれないようにする工夫をしければならない。

「では、どのように吹かれないようにすればいいですか?」

私は答えます。

「それは、あなたのビジネスにストーリーを作ることですよ。」

ビジネスモデルにストーリーを付与していくことで、中小企業においての長期的利益の獲得につながると何度も書いてきました。

ストーリーの重要性については上のブログを見ていただくとして、このストーリーの重要性を認識していただいた経営者様から、そのストーリーの作り方についてよく質問をいただくため、今回は優秀なストーリーの事例をご紹介しようと思います。

オリジナリティあふれる商品もサービスもいらない。

その普通の商品やサービスを、新しい価値観の観点で発信するんです。新しい価値観、生き方をあなたが提案できれば、お客様はあなたの商品またはサービスを継続的に購入するようになります。



商品を売るのではなくストーリーを売る。



これが中小企業が長期にわたり生き残っていく術です。

皆様のヒントやきっかけになるエピソードが見つかったら嬉しいです。


事例①USJのクリスマス

「近年のマーケティングで成功した事例は?」と問われれば、多くの人がUSJのケースを挙げるのではないでしょうか。P&Gからやってきた森岡毅さんは、入社早々矢継ぎ早に手を打ち、低迷するUSJの来園者数をたった5年で700万人から1400万人へ倍増させました。ここで森岡さんが率いるUSJが発信したストーリーを紹介します。

森岡さんはまずクリスマスの集客に目を付けます。このシーズンにまだ集客の見込みがあると考えました。そして彼はテレビCMに目をつけました。当時のテレビCMだと、『昼にパレードあります。』『夜になるとイルミネーションあります。』のような何が行われてるかの説明のようなCMでした。

コアターゲットを「小さな子供連れファミリー」と定め、「子供と本気で楽しめるクリスマスはあと何回もない」という親の切ない深層心理に訴えかけ、

「いつか君が大きくなってクリスマスの魔法が解けてしまうまでに、あと何回こんなクリスマスが過ごせるかな・・・」

「楽しいアトラクション」や「きれいなイルミネーション」という遊園地のクリスマスという商品を、「こんな体験してみたくありませんか?」という顧客の心情にダイレクトに問いかけるストーリーを新しい価値観として提案しています。商品を説明するのではなく、そのビジネスモデルが発信するストーリーに誘い込むことに成功したとても優秀な事例です。


事例②ジャパネットたかたの一眼レフ

ジャパネットたかたの高田さんは、皆さんもご存じのとおり、テレビショッピングの天才です。一代で会社を立ち上げ、ラジオショッピング、テレビショッピング一本で年商1,500億円の会社を作り上げました。

高田さんは、一眼レフのカメラを売ろうとしていました。綺麗な写真が撮れる高性能のカメラです。あなたなら、この一眼レフカメラをどうやって売りますか?

「◯万画素なので、ものすごく綺麗な写真が撮れます!」
「望遠レンズがついているので、遠くの景色も鮮明に撮影できます!」
「一眼レフの中では最軽量なので、どこでも気軽に持ち運べます!」
など、ざっとこんな感じでしょうか。

でも、高田さんは、こんな風に売ったんです。

「お子さんが生まれたら、毎年1枚、良いカメラで写真を撮って、それを新聞の大きさに伸ばしてください。すると、成人の日までに20枚の大きな写真が揃います。それをお子さんにプレゼントするんです。最高の贈り物になると思いませんか?それが出来るのが、良いカメラなんです。皆さん、スマートフォンで撮りますね。でも、誰もプリントしない。それでは感動は生み出せません」

いかがでしょうか?高田さんが売っているのは何でしょうか?カメラでしょうか?いいえ、「カメラを通じて新しい家族のつながり方」を提案しているのではないでしょうか?

カメラはどこで買っても一緒。もっと言ってしまえばどれを買っても一緒。でもそこに提案されてくるストーリーは他の誰にもまねできない。そのストーリーを研ぎ澄ませていくことで、他の商品ではまねできない圧倒的な差別化ができてくるのだと思います。


事例③ライザップは高いのか?

私は2022年にライザップにお世話になって、体重を10キロ以上減量して、今でも食事管理とジム通いで体をキープしています。

ライザップも基本的なコースは3か月間で約50万円と、なかなか利用するには腰が引けるレベルの価格帯です。

私もお願いしようか悩んでいた時にライザップの瀬戸社長のインタビューをたまたま見て、その場で入会を決めました。

正確ではないかもしれませんが、こんな感じのインタビューだったと思います。インタビュアーが瀬戸社長に対して「3か月間で50万円というのはさすがに高すぎないかとお考えにはなりませんか?」と。瀬戸社長は答えました。「いえ、私は自分にとっての理想の体を手に入れるということは世界中のハイブランドの洋服に身を纏うと同等かそれ以上の価値があると思うんですよ。だから全然高いとは思いません。」

ダイエットという言葉ではなく、ダイエットを通じて、自分がどう生まれ変わるかというイメージを白黒レベルではなくカラーで伝えたのです。ダイエットを成功させた自分が、好きな服をおしゃれに着こなす姿をイメージさせることで、ライザップは「ダイエットではなく、理想の体と生きる人生」を提供することに成功します。比較対象はダイエット商品ではなく、ハイブランドの洋服だとするところもニクいですね。

事実私も、減量後、スーツを全てオーダースーツで着るようになり、毎日ワイシャツやスーツに手を通す時間がとてもワクワクするようになり、自然と背筋も延びて歩くようになり、まさに理想の体と生きる人生を手に入れた気分です。


事例④戦争を無くすためにあるLCC

たとえば、LCC(格安航空会社)として独自の存在感を放っている日本のピーチ・アビエーションを取り上げてみましょう。全日空から転籍されたピーチの井上慎一社長と創業当時にお話しさせていただいた際、筆者からの「ピーチは何のために存在する会社なんですか」という不躾な質問に対して、井上社長は「よくぞ聞いてくれた」という表情をしながら、ゆっくりと「それは戦争をなくすためですよ、山口さん」と即答されていました。

格安航空会社と世界平和とはそう簡単に結びつきません。当惑する筆者に対して井上社長は次のように説明してくれました。「過去には日本とアジアの国々とのあいだで不幸な出来事がありましたね。ああいうことを二度と起こさないために、友達がいろんな国にいるという状態にしたいんです。そのためには若いうちからどんどん外国に出て、いろんな文化に触れ、たくさんの人と知り合ってほしい。ではどうするか? 財布の軽い若い人でも乗れて、いろんな国に行ける、そういう航空会社が必要なんです。ピーチはそれをやるんです」極めてわかりやすい「意味」です。

この意味があるからこそ「コストを下げよう」「路線の数を増やそう」という経営上の課題に対してシラケることなく、創意と工夫を引き出すことができるのです。なぜなら「コストを下げる、路線を増やす」という「量的目標」に、ちゃんと「意味」が裏打ちされているからです。今日、苦戦が続く日本のLCC業界において「唯一の勝ち組」と言われるピーチですが、その勝因の1つは、井上社長の掲げる「意味」にもあると考えられます。

ダイヤモンドon-line「【山口周】「部下が使えない」と嘆く管理職が
決定的に勘違いしていること」

LCCの会社の目標が「戦争を無くすこと」だなんて誰が想像するでしょうか?ですが、そんな理念を掲げた飛行機、乗ってみたくなりませんか?

飛行機が載せているのは、人や荷物だけではないと感じさせていただけるエピソードです。

そして、それは購買するお客様だけではなく、その企業のスタッフにもつながる価値観です。そんな理念を掲げる企業で働きたいという志の高い人材が提供する航空サービスの質が高まっていくのは必然なのかもしれません。


事例⑤100食しか売らないから売れる

佰食屋では、中村さんが発信する、
「お客様はもちろんですが、うちにとってはスタッフが一番大事です」
「だからこその1日100食限定のお店です」
というメッセージ(=ストーリー)がお客様やスタッフ、利害関係者に明確に伝わることで人を集めることに成功しています。

私はお邪魔したことはないですが、おそらく佰食屋のお店は1つのショーを観に行くといった感覚で行かれるお客様も多いのではないでしょうか。「1日で100食だけ、おいしいステーキ丼を最高のパフォーマンスでお客様に提供する」という明確な目的がある中で働く人のモチベーションは必然的に高い。おいしいステーキ丼、だけではなく、中村さんが発信するストーリーに共感して人が集まる。私がお伝えしたい中小企業のストーリー作りということを実に明確に表現してくれている1つの見本として考えています。

↓詳しく知りたい方はこちら


事例⑥「遺すから、伝えるへ」

最後に手前味噌で恐縮ですが、弊社のサービスである人生を変える遺言動画「結いごと」のご紹介です。

「うちには遺すような財産は無いから」「うちの家族はもめたりしないから」と遺言を書かない方がほとんどです。ですが結果としてもめてしまう相続が今激増しているんですね。そんな中で、なぜ人は遺言を書こうと思わないのかを研究していたところ、遺言はあくまで自分以外の他人事、自分のことではないと考えている方が非常に多いことに気づきました。

遺言は、家族のために書く意味だけではなく、自分の生きるためにも作る意味があるというところまでアップデートしていきたいと考えるようになりました。そこで完成したのが「結いごと」という新しい形の遺言で、自分の財産をどう遺していくかだけではなく、自分の想いを大切な方に伝えていくことも相続の1つだと提案しました。また、大切な方へどのような思いを伝えるべきか考えていく過程で、自分の人生にとっての誇りだったり愛だったり本当に大切なものに気づいてもらう体験を通じて、自分のこれからの人生をより充実させてもらうことを目指しています。

「財産が無いから遺すものがない」この定義を変えていきたかった。遺していくものは財産だけではないはず。想いも伝えていくこともふくめ「相続」というべきなのではないか。そんな思いで、相続の定義を「遺すものではなく、伝えるもの」に変えていきたいです。

某ラジオのインタビューにて

↓詳しく知りたい方はこちら


経営お役立ちコンテンツ「となりのブレイン」

いかがでしたでしょうか?

となりのブレインでは、中小企業の事業を飛躍させる仕組みづくりに特化したメソッドを体系的に無料公開しております。

今回は、事業の飛躍に必要な3つの要素のうち、ビジネスモデルについて、「ストーリー作り」の事例紹介という観点から切り込んでみました。

少しでもお役に立てた部分があれば幸いです。

今後も色々な角度から事業を飛躍させる仕組みについてお話していきますので、よろしけばフォローをお願いします!

下記コンテンツでも事業を飛躍させる仕組みについて公開しています!

となブレちゃんねる(YouTube)

となブレMagazine(note)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?