気が抜けないバス停
タイのバスに時刻表はない。いや、正確にはあるのだけれど、あったとしても定刻にはまず来ないので、機能していないと言ったほうが適切かもしれない。
それがタイらしいといえばタイらしい。それでこそタイのバスなのだ。これで文句を言う人はタイに向いていないのだろう。
タイのバスには時刻表がない。じゃあそのいつ来るかもわからないバスを、一体どうやって待つというのか。
ひたすらバスが来る方向を監視して、自分が乗るバスを
見逃さないようにするのである。なんと原始的な待ち方だろうか。
バスが来たら手を上げたり振ったりして、「私、乗ります」というアピールをするのだ。
そうしなければ、バスは素通りして去ってしまう。そのバス停で降りる客がいる場合はもちろん停まるのだが、降りる客もおらず、乗りますアピールをする客もいない場合は、そのバス停に停車することはない。
つまり、ただバス停に立っているだけでは、「こいつは乗らない」と判断されて止まらないのである。
ドキドキしながらバスを待つ。タイ人もひたすらバスが来る方向を監視している。獲物を逃すまいと鋭い目つきで前方を睨みつけるピューマみたいな構えで。
タイのバスと比べると、「誰もいなくても停車する
日本のバスのなんと親切なことよ」と感心してしまうが、タイに住んでいると、バスとは本来こういうものだと、不思議と受け入れてしまっている。
「乗りたきゃ乗れ」と言わんばかりのバスを待つ。全く気が抜けないタイのバス停で、サバイバル精神が少なからず培われた気がする。
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