夜間外出禁止令で同居人との距離感が崩れないか
タイで4月3日から続いている夜間外出禁止令の適用は、今のところ5月31日までとなっている。夜10時から朝4時までの間に外に出た者は逮捕されるらしい。
タイ人は今、どんな気持ちでいるのだろう。夜だけといえども、どこか軟禁されているような感覚に陥らないだろうか。
人間はいつでも外に出られるという前提があるからこそ、家の中にいても苦しくないのだと思っている。もし強制的に閉じ込められたら、家が好きな僕でも息苦しくて吐き気を催すかもしれない。
家を出られないということは、誰かと同居している人にとって、同居人と一緒にいる時間が長くなるということでもある。これが怖い。これまでの適度な距離感が崩れると、大体良くないことが起きるのだ。
僕はタイに住んでいた頃、友人と同居していた。ある日友人の恋人が家に泊まりにきたのこと。友人の恋人が家の洗濯機を使用した。
僕は友人の恋人が洗濯機を使った後に、自分の洗濯をするために洗濯機を使ったのだが、その際友人の恋人の取り忘れた靴下が槽に入ったままだった。槽の中が暗くて気付かなかったのだ。
これに友人は不機嫌を露わにした。ちゃんと確認してくれと言わんばかりの不快そうな顔をした。
「取り忘れた君の恋人が悪いのだろう」と口から出かけたが、我慢して止めた。同居とは我慢の積み重ねだと改めて感じた出来事である。
だからこのような状況下だと、適切に保っていた距離感が崩れてしまいそうで不安になる。近すぎてもいけないのだ。仲良くするためには。
僕は願ってしまう。家にいる時間が長くなるけれど、どうかタイの友人、恋人、家族みんなが一緒に住んだまま、良い関係を保っていてほしいと。
そしてできれば、タイの警察は10時15分くらいまでは、外にいた人を見逃してあげてもらえないだろうか。その人が急いで帰ろうとしていたのなら。
2020年5月10日
この記事が参加している募集
皆様からいただけたサポート代は、note活動費として使わせていただきます!よければTwitterのフォローも!