大好きな黒いホワイト餃子 柏店
僕の生まれ故郷、千葉県柏市で是非オススメしたい店がある。それは1軒の餃子屋だ。ラーメン屋や中華料理店ではなく、餃子屋だ。その店には、浪人生・大学生の頃に友達とよく行った。柏を離れてしまってからも、月に1回ほど仕事で柏に行くのだが、時間が許せば必ずその店に行く。そんなお気に入りの店が、ホワイト餃子 柏店だ。「ホワイト餃子」はチェーン店なので、野田本店の他、全国に20店舗以上あるが、店舗によって味もメニューも違うため、またとある理由のため、あくまで柏店をオススメしたい。まずその餃子の特徴は、普通の餃子より小ぶりで、俵型、見た目が焦げた茶色である。その油で揚げたような皮は、食べると表面はカリっとしながらも分厚くモチモチして良い食感だ。中身の餡はシナモンが入っていて独特な風味がある、そして皮も餡もかなり熱々で提供され、なかなか冷めない。それを(これは僕のオススメの食べ方なのだが)醤油皿へ 、酢6:醤油1:ラー油3の割合で入れた後、一味唐辛子をたっぷり目にかけたタレで食べる。ビールにも合うし、ライスにも合う旨い餃子だ。
画像:オフィシャルサイトより引用
以上のような普通の餃子と比べて独特な味や食感が魅力なのだが、ホワイト餃子 柏店の本当の魅了は、餃子以外にある。それは、お客さんに媚びないそのお店の姿勢だ。まずメニューが少ない。焼餃子と水餃子が基本で、あとはスープとライス、おつまみ(キムチ、塩辛、ザーサイ、中華わかめ)しかない。そして店員さんもお世辞にも接客が良いとは言えない。つまり無愛想だ。また、この餃子の作り方の特徴の故に仕方ないことなのだが、提供時間が長い。オフィシャルサイトに記載があるが、焼くのに15分かかる。実際には頼んでから20分程度かかる。そして前述の通り熱々なので、猫舌の人には優しくない。そんなお客さんへ媚びない姿勢が、ホワイト餃子 柏店のもう一つの魅力なのだ。そんな高飛車なお店は嫌だと言う人もいるかもしれないが、僕には何故か心地よい。
何故心地よいのかを説明したい。ホワイト餃子 柏店へ通い始めたのは、もう30年前1990年代だ。因みに当時のホワイト餃子 柏店は、もっと尖っていた。ライスがメニューに無かった。大量の餃子をつまみにビールかジュースを飲むことしか許されない店だった。店員さんも、今よりもっと無愛想、あわや態度が悪いとさえ感じる位だった。だが人気がある。そんなお店がホワイト餃子 柏店だった。そしてその不思議な魅了の源泉は、1990年代の柏で高飛車な黒いもう一つの存在に根拠があるのではないかというのが僕の持論だ。1990年代の柏で高飛車な黒くて魅力的だった存在、それは、黒ギャルだ。
1990年代当時の柏駅周辺は、マルイVAT館という渋谷109のようなギャル向けの店舗ばかりが入ったビルがあり、千葉の渋谷と呼ばれ、千葉県のみならずJR常磐線の土浦、水戸など茨城の人間をも集客していた。その頃の柏を我が物顔で歩いていた存在、それが黒ギャルだ。当時の黒ギャルは、毎日TVや雑誌で取り沙汰されて、時代の寵児であった。人気者だった。その黒ギャルは、男に媚びず、逆に男に対して上から目線の態度だった。目上の人間にもタメ口、通常男がするはずのナンパを女がする逆ナンと呼ばれる行為もためらわない。当時20代だった僕は、女性上位的なその風潮に、抵抗感なく、むしろ心地が良いと感じていた。さらに、その黒ギャルたちに好かれようとオシャレをして、自分も日焼サロンで日焼けしていた。つまり高飛車な存在は時に心地よいのだ。ただこれでは、お前の好みを押し付けているだけだろうと言われてしまいそうだし、やっぱり高飛車なお店は嫌だという人へ、それでもホワイト餃子 柏店へ行かなければならないという話をしたい。皆さんへ問題定義をしたい。今のジェンダーギャップについて、このままで良いのか?という問題だ。僕には6歳の娘がいる。娘がこの日本でこれから生きていくことを考えると、日本のジェンダーギャップについて真剣に考えざるを得ない。2021年3月、世界経済フォーラム(WEF)が公表した「ジェンダーギャップ指数2021」によれば、日本は156カ国中120位だ。ゆゆしき事態である。そこで黒ギャルだ。1990年代の黒ギャルは、ちょっと乱暴な言い方をすれば、女性の地位向上に一役買っていたと考える。明らかに時代の主役は女性だった。一例として1990年代の女性に関するニュースを見てみよう。
1992年 育児休業法施行、労働組合の 34 %が休業取得。
1993年 男女の産み分け希望者増加、女の子。の希望が増える
1996年 総理府調査で成人男女の半数以上が夫婦別姓を容認
1999年 男女雇用機会均等法、改正労働法施行で性別求人禁止、
セクハラ防止措置の義務化、女性の深夜勤務可能
※ 女性をめぐる社会的環境の歴史的展開 平 野 敏 政 平 井 一 麥より
いかがだろうか、社会的にも女性の地位の向上の機運が伺える。コレに対して、2000年代は
2005年 育児・介護休業法の一部改正、次世代育成支援対策推進法
の施行
2007年 改正男女雇用機会均等法施行 間接差別の禁止、男女両方を対象とした性差別禁止法
※ 新宿区ホームページより
女性の地位向上というよりも、男性を女性に近づかせる。つまり男性も育児休暇を取ろうという流れや、男性も看護師や保育士に差別なくなれるといった、流れになっていった。1990年代と2000年代で改正された男女雇用機会均等法の改正内容を比べても、1990年代は女性の地位向上なのに対して、2000年代は男女平等の内容になっている。男女平等が悪いわけではないが、もっと女性の地位向上せずして男女平等というのは、感覚的に馴染めない。
図:厚生労働省 男女雇用機会均等法の変遷より引用
また、90年代活躍した女性アーティストを上げてみよう。安室奈美恵、椎名林檎、宇多田ヒカル、浜崎あゆみ、SPEED、Chara、aiko、現在も変わらずビッグネームばかりだ。そして彼女たちの現在の姿を見ると、離婚やシングルマザーや独身者が多く、男性から自立して生きている事も特徴だ。対して2000年代はどうか?2000年代に世間を席巻したのはやはりAKB48グループだろう。彼女たちのスタイルは、男性秋元康の庇護の元に活躍しているという印象は拭えず、自立した女性の印象は薄い。2010年代の欅坂なども同様の流れだ。という訳で僕の結論は、90年代の女性上位の雰囲気を取り戻さなければならないという事だ。
黒ギャルは、タメ口や逆ナンが倫理的に問題視されるかもしれないが、あれだけ数多くの女性が男勝りであったという点は、今までの日本になかった存在ではないだろうか?当時の黒ギャルに比して、現在の女性のありようはどうなのだろう?僕にはジェンダーギャップが埋まっていきそうな気配が感じられない。そこで僕はこう思う。もっと、女性に高飛車になって貰う必要があり、我々男性はそれを許容できる男性になる必要がある。そのためにもホワイト餃子 柏店に行き、その媚びない姿勢、高飛車な態度を受ける心地良さに触れ、堪能し、慣れようではないかと。
参考:
素敵なヒットソング RAG MUSIC 編集部 90年代の女性アーティストのデビュー曲
女性をめぐる社会的環境の歴史的展開 平 野 敏 政 平 井 一 麥
新宿区ホームページ 資料
厚生労働省 男女雇用機会均等法成立30 年を迎えて
厚生労働省 男女雇用機会均等法の変遷