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視えにくくなる中で自分の力で歩き続けるためにー相棒「あしらせ」と共に歩む

みなさん、こんにちは。この記事では、あしらせをご利用いただいているユーザーさんのインタビューをお届けしたいと思います。

今回インタビューさせていただいたかたは、東京郊外にお住まいの柴﨑さん。西多摩新聞社の社長をされていらっしゃいます。

柴﨑さんは、徐々に視力が低下している中でも、できることに目を向けて日々アクティブに過ごされています。歩くことへの思い、そしてその中での「あしらせ」の役割についてお話を伺いました。あしらせの利用を検討されているかただけでなく、使い始めて間もないかたにも参考になるお話をいただいています。(インタビュー時期:2024年6月)

また、柴﨑さんがあしらせを使って日本点字図書館に行かれる様子をサンデーステーションの番組内で特集いただきました。以下、番組の公式YouTubeアカウントより動画をご覧いただけます。リンクをクリックするとYouTubeに遷移いたします。


自己紹介

柴﨑さんが笑顔でインタビューに答えている姿を正面から映した画像
いつも笑顔で明るく接してくださる柴﨑さん

ーいつも温かい応援をいただきありがとうございます。自己紹介をお願いします。

小学校のころから網膜色素変性症で夜盲、視野狭窄でしたが、両目で0.5程度は確保できていましたので、日常生活は支障なくスポーツなどしていました。
40歳代から症状が進みました。50歳代からは目のかすみが目立ち、日光がまぶしくなり、中心視野がゆがんできました。57歳で両目の白内障、硝子体の手術をしてかすみは和らぎましたが視力低下が進み、60歳の現在、右は光を感じる程度、左が0.15くらいで見えています。

ー今はあしらせはどのような時にご利用されていますか?

2023年のクラウドファンディングで先行販売モデルを購入し、夏に手元に届いてから使っています。最初は、毎日の通勤でちょっと困ったときに使う程度でした。ただ、最近、転居して通勤ルートが複雑になったのであしらせと白杖、信号の色読み取りアプリのOKOを駆使して緊急時でも徒歩帰宅(2.8キロ)が出来るようにしています。
2024年2月から、自治体に日常生活の自立訓練を申請して、毎週2回、日本点字図書館でパソコン操作や白杖での歩行訓練を受けています。

ー昨日、会社の懇親会が終わった後、会場から夜遅くにお一人で帰られたそうですが、あしらせはお役立ちできましたか?

とても心強かったですよ!普段歩いている道でも夜になって暗くなると精神的に少しきついんですが、あしらせがとても頼りになりました。こういう状況の時や、道が分かりづらい住宅地やたまにしかいかない場所を歩くときにはあしらせをよく使っていますね。

よく使われている機能(AI画像認識)

ーAI画像認識機能はいかがですか?

とても良いですね。僕は冊子を読んでその感想を書く、という仕事をする時がたまにあるんですが、その冊子を読み上げてくれるととても助かるんですよね。AI画像認識を試してみたら、しっかり読んでくれたのでとても助かりました。

ー嬉しい!それは良かったです。

色んな場面で使用できそうな機能ですよね。バスに乗った時に間違ってないか運転手さんのアナウンスを待つまでドキドキすることもあるのですが、この機能で案内板付近を撮って「○○行き」というのを把握するのに使えそうです。
あと、自動販売機やコンビニのおにぎりを買うときも、今までは出たとこ勝負で、口に入れて自分が買いたかったものと違ったという時もありましたが、そういった場面でも使えそうだなと感じています。

よく使われている機能(アイコサポート)

ー他によく使われている機能はありますか?

アイコサポート連携機能(※)を使っていますね。駅の乗り換えをするときなど、改札付近で教えてもらっています。
ちょうど最近アイコサポートの良さを感じたことがありました。アイコサポートのオペレーターさんに案内してもらっていたときに「ちょっと待ってください、今電車が着いた音が聞こえました。人が何人か降りてきたので待ちましょうか」と言ってもらったんですよね。
なるほど、ただ伝えるだけじゃなくて、ガイドヘルパーさんと一緒に歩いているときのような配慮や危険が起きないかなどの想像力も含んだ経験値があるんだなと感じました。

※アイコサポート連携機能について
専門のオペレーターが、スマホカメラで写した映像と位置情報を確認し、お困りごとをサポートします。アイコサポート連携プランにご加入いただくと、あしらせアプリからワンタップでご利用いただくことができます。あしらせでのアイコサポート連携プランでは、アイコサポートの通話が月12分まで利用できます。月額440円(税込)の有料オプションです。(2024年12月現在)

歩く力を鍛える

柴﨑さんが白杖を持ちながら、あしらせを装着した靴で道路の歩道を歩いている後ろ姿
柴﨑さんが白杖とあしらせで歩いている後ろ姿

ー先ほど一緒に歩かせていただきましたが、とてもスムーズに歩かれていらっしゃいましたね。

歩く訓練はしていますね。歩きかたも気をつけています。以前、歩き方教室をやっている人から歩き方を学ぶ機会がありました。最初は全然できなかったんですが、今ではペットボトルを頭の上に乗せて歩くこともできるようになりました。
正しい歩きかたの方が転倒も少ないし、膝や腰も痛めないらしいので、白杖を持ちながら、かっこいい姿勢で歩くことを意識しています。長時間歩いて、もし身体を痛めたりしたら、歩く機会が減って、それで筋力が落ちて一層歩かなくなってしまいますからね。歩くことがなくなると一気に精神的に引っ込んでしまう気もしているので、そこは気を付けていますね。

ー他のかたから、見えなくなっていく中で、外出の頻度が極端に下がったというお話を伺うことがあります。

僕自身、今後どんどん見えなくなっていくわけですが、そうなったとしても歩ける力を鍛えておくというのはとても大事だと思っています。
今は点字図書館で訓練も受けていますが、そこでは例えば歩くこと以外でも、相手に意図が伝わるような補助の求め方であったり、色々な生活訓練を受けています。今は妻と暮らしていますが、自分がいつかひとりになっても暮らしていけるように、というレベルで訓練していますね。

ーそういった訓練を受ける中で、あしらせはどのようなものとして受け止められていますか?

自分はよくあしらせとOKO(信号の色読み取りアプリ)を起動させながら歩いています
ただ、それに完全に頼り切るのではなくて、機械の不具合があっても、最後は自分の力で歩けるように鍛えておくというのは大事だと思っていますね。
自分が判断したものに対して、あしらせが正しいと言ってくれている、ぐらいのつもりで歩いているのが良いと思っています。だからといってあしらせがなくてもいいというわけではないんですけどね。
自分の一歩目を安全に歩くために白杖はすごく大事なんですけど、10メートル、25メートル先っていうのは、あしらせでないとキャッチできないですよね。これから視力が落ちていく中で、どうやって自分の安全を守るための情報を得ていくかは、さまざまなマッチングをしていくことで最適化できていくのかなと思っています。

ーあしらせを頼りにしつつも、それに完全に依存しない、ということですね。

そういった意味でも、ITリテラシーを高めることはとても大事だと思っています。技術はどんどん進化しますし、あしらせもどんどんバージョンアップしますよね。そういったことも一度使えないとなってしまうとどんどん分からなくなっていきますので、積極的に情報を取りに行く姿勢というのは大事だと思っていますね。
今使わないと思うような機械や訓練だったとしても、いずれ必要になるかもしれないと思って知っておく、試してみるというのは大事だと思います。あしらせについても同じですね。
そういった意識が、点字図書館のような色んな情報が集まる場所に行ってみよう、行って役立つ情報を取得できるようになるというような良いサイクルができると思います。

ーありがとうございます。あしらせを使い始めたときはどのような練習をされたんですか?

まずは歩き慣れた道を歩いて、こういう言い方をするんだ、こういう案内をするんだ、というのを把握していきましたね。そうすると、「あしらせって凄いなあ」と思う部分も見つかるし、同時にちょっと弱点も見えてくるんです。そういったことを理解していきながら、だんだんと自分の相棒だなと思えるようになっていきましたね。

ーあしらせの癖を理解しながら、うまく付き合っていったという感じでしょうか?

そうですね。あとはあしらせで歩くことを目的にするんじゃなくて、他のことを目的にして、そのためにあしらせを使って歩く、ということもしていました。以前、点字図書館で知り合ったかたに、富士山に行くサークルがあると紹介された時があって、その時は俄然やる気になりまして。富士山に行くために頑張って毎日歩く、その時にあしらせを使う、という感じで使っていきましたね。

ーなるほど、良い目標の持ち方ですね!

あしらせのような最新の技術について学んでいると、できないことではなくて、できることに目が向くようになりますね。1日8,000歩を歩く目標をたてたとき、昔も力技でなんとか歩いてましたけど、あしらせを使うようになってからのほうがクリアできることが増えました。
あしらせを使うことで、できることが増えていく喜びみたいなものが生まれて、そうすると生活の見方が変わっていくと思っています。

ー嬉しいお言葉を頂き、ありがとうございます。

でも、いきなり凄いところを見て始めなくてもいいかなとも思っています。あしらせを利用し始めるかたの中には、できることができなくなる不安の中のかたもいると思います。
まずは慌てずに小さく始めることが大事かなと思っています。
10分で行けたところが20分かかるようになっても、行けないよりは行ける方がはるかに楽しいですし、ゆっくり20分かけて歩くからこそ分かることだってあると思うんですよね。

「できないこと」に囚われない

症状が現れ始めると、気持ちが内向きになりがちで、できないことが増えていく感覚に陥るんです。たとえば、以前は普通にできていたことができなくなり、「自分はもうダメなんだ」と思い込んでしまう。そうすると、外出を控えるようになったり、場合によっては仕事を辞める方もいらっしゃいます。
実際、私も行けなくなった取材は諦めることがありますが、それでも「この場所なら行ける」と思ったときには録音機材を持って取材をすることがあります。それで1つでも記事を書ければ、チームの誰かが少し休めるし、自分も「役に立っている」という感覚を得られるんです。
また、私が、あしらせのように少し珍しいデバイスを身につけていたことがきっかけで、新しいお客様と繋がれたりすると、それもまた意味のあることだと感じていますね。そのとき、自分のメンタルは「できないこと」に囚われていないんです。むしろ、できることが増えていく喜びを実感しています。他にも、点字図書館に行ってワープロを使えるようになったり、歩けるようになったことでタクシー代を節約できたりすると、日常生活の中で「できること」の視点が広がっていくんです。
あとは、自分の意見が、あしらせの開発プロセスに反映されることも大きな励みになります。それによって、生活が前向きに変わっていく実感を得られるのは、とても嬉しいことですね。

ーこれからも、どのように日々を過ごしていきたいと思われますか?

孫がいるんですが「おじいちゃん、目が見えにくいのに山に行ってたよね。いろんなところに行ってたよね」と言ってもらえるような姿を見せたいと思いながら過ごしています。
障害というか、いわゆる苦難に直面したとき、それとどう向き合うかがとても大事だと思っています。そして今は、その苦難をサポートしてくれるテクノロジーが発達していて、さまざまな選択肢がある時代に生きていてよかったなと思っています。

終わりに

いかがでしたでしょうか?柴﨑さんのお話から、歩く力を鍛えることの大切さ、そして、あしらせがその歩みを支えるパートナーとして寄り添えていることを嬉しく感じました。歩ける喜びを支える存在として、皆さまの日常をそっとサポートできるよう、これからも尽力してまいります。
この記事でご紹介している視覚障がいのかたのためのナビゲーションデバイス「あしらせ」は、2024年10月より新モデルの販売を開始しております。ご関心をお持ちの方は、あしらせWebサイトをご覧ください。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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