『ミルキー・ロール・ケーキ』公演中止となりました。
【大切なお知らせ】
今週末~公演予定でした『ミルキー・ロール・ケーキ』を中止させていただきます。
私が熱を出してしまいコロナ陽性となったのが理由です。
台本を仕上げるところからの長めの稽古期間でじっくりとクリエーションを積んで来ましたが、寂しい幕切れとなりました。
公演を楽しみにして下さっていた皆様、出演者・スタッフの皆、ほんとうにすみません。今はまだぼーっとしていて先のことが考えられません。
ご予約のお客様への個別のご連絡はいたしますが、行き届かないかもしれません。周知にご協力ください。
どうぞ、よろしくお願いします。
劇団鳥や 白鳥英一
以下は、当日パンフレットに掲載予定でした。対談記事です。よかったらお読みください。おはなしてっちゃんとのやり取りを通して多くの気付きがありました。
インタビュー6/28-29
本日はよろしくお願いします。
『ミルキー・ロール・ケーキ』について、伊藤 哲(おはなしてっちゃん)からの質問に、鳥屋主人の白鳥英一、脚本・演出の芦口十三が答えるという形で進めて行きます。どうぞ、よろしくお願いします。
哲 よろしくお願いいたします。
さて、早速ですが、『ミルキー・ロール・ケーキ』を作るにあたって、何かきっかけはありますか?
芦十 いつも次のはどうしようと、その時々集まってくれてるひとの顔や声を思い描きながら書き出しちゃう。オープニングあたりを書き始めてそしたら どうも ぽくて、
哲 ぽくて、
芦十 これは鳥屋版の銀河鉄道の夜だなと。
哲 そういえば、お芝居にしたことがあったと記憶していますが……?
鳥 杜の都の演劇祭(@ステーキハウス伊勢屋)と、みやぶん・スタッフラボで。どちらもリーディング劇でした。
哲 そうそう、2度上演しましたね! ちなみに、自分も「どんぐりと山猫」(仙台文学館、緑水庵)でお世話になりました。宮沢賢治さんの作品にはご縁があるようですが?
芦十 でも、その二本だけ。これと思ったのをレパートリーに出来たらなと思うくらいかな。
鳥 今回、当時、関わりのひとたちも何人か参加してくれています。
哲 なるほど……。今回は鳥屋版銀河鉄道の夜、ということもあり(?)、登場人物が9人(一部ダブルキャスト)とたくさんのみなさんが集まってきましたね。
鳥 ダブルではなくて、ペアで、キャストは10名です。割と早いうちから自分は出演しないことを決めていたので、みんなにガヤガヤ賑やかに演じて欲しいなあって…。
哲 台本を読ませていただいたのですが、演じる側も観る側にとっても、シーンごとに様々なやり取りのテイストが楽しめそうだなあ、と思いました!
鳥 分かりづらくなかった?
芦十 (咳払い)
哲 分かりづらさにも様々な要素があると思うのですが、
①作品中の時間の流れがあちらこちらと飛ぶ、
②様々なテイストのお芝居が、コラージュ(貼り絵?)のように次々とくり広げられるので、つながりを理解しようとすると分かりにくくなってしまう、
──ということがあり得るかな?と思いました。
芦十 なるほど。
哲 ただ。個人的には、逆に大好物な台本でした!
芦十 (盛んに頷く)
哲 様々な要素が散りばめられていて、楽しそうだなあ、と思いました! 出たかったです(笑)
鳥 出演予定でしたもんね。
芦十 稽古場で、シーンの解釈や どんな風に演じるかを、どんどん試して欲しいと言ってて、固まっても行くだろうけど、本番もトライをずっと続けていってくれたらなと。
鳥 ここであらすじを紹介しますね。
★【あらすじ】
今際の際の美宇。走馬灯の渦の中で、いつかはぐれてしまったネコのかなたに出会い旅に出る。家族友人との懐かしくも甘酸っぱいエピソードの数々。『銀河鉄道の夜』の世界観にも立ち寄りながら旅は続く。辿り着いた先に待っているものは…!?
哲 ありがとうございます。
自分の観方としては、各シーンをじっくりご覧いただき、感じたものを手がかりにしていくと、観終わった後に浮かび上がるもの、感じられるものが現れるかと思います。そこを信じます。
芦十 そうね。
哲 なので、全体をつかまえる前に、目の前でくり広げられるお芝居をお楽しみいただくことからをオススメしたいです。
鳥 あざす笑 タイトルやチラシのデザイン、どうですか?
哲 タイトルは、『ミルキー・ロール・ケーキ』と、「・(なかぐろ)」が打ってあるところに、何か意図があるのかな?と思いました。あとは、単純に「美味しそうだなあ」と(笑)
鳥 美味しそう は言われます、ロールケーキね笑 「・」は、なんか雰囲気で。意味はまあない、いや、あるにはありますが…。天の川・役割交換(演劇のこと)・a piece of cake(めっちゃ簡単/多くのエピソードがある)とか、意味を区切ってる。
哲 チラシを見て、紙のチラシなのに3D感、立体感を覚えました。面白い手法だなあ!と思いました。余計にあたたかみを感じました。立体物好きなので、次元を超えたような感じを味わえました。タイトルも、チラシのケーキも裏面の色みも!
鳥 タイトルは 絵の具をチューブから直接押し出して盛ったんですが、出来た!って最初にすぐ写したものが採用されました。乾くと艶が消えひび割れるんですよ。
芦十 元は『ファミリー ・ロール・ケーキ』。家族 役者が役割を交換して っていうコンセプトの劇だったんだけど、
哲 書き進めるうちに、“ファミリー”から“ミルキー”へ変わっていった、と。
鳥 えーと、別の企画のタイトルを、今回バージョンにシフトしました笑 コンセプトも継承していると思います。結局 お盆のあたりの星空、 天の川の話だよね ってなったので、ミルキー…と。
哲 このお芝居の本筋、メインテーマに美味しくデコレーションがされて出てきた感じがして、ニヤッとしました。ケーキ屋さんに走りたくなりました(笑)
鳥 ケーキ屋さんの看板も参考にしたり、あとはもちろん食べて笑
哲 (笑)
鳥 チラシの絵 あれ 孫とおばあちゃんに見えるじゃないですか
哲 絵そのものを見るとそう見えるのでしょうが……キャラクターイメージ、というよりは、関係性が描かれた絵、なのかな、と。寄り添う者と看取られる(≒生を祝福される)者と。美宇が無意識的に見たかった(≒見た?)ビジョンの1つ……?
鳥 どちらも美宇なんです。
哲 え、
鳥 4歳と88歳の誕生日の日の美宇です。
哲 ほう! どちらも赤い服を着てるし! 祝福(≒旅立ち)の一場面、か! 人物が2人描いてあると、つい“2人”と認識してしまいますが……なるほど。
鳥 はい。
芦十 本筋といえば これは、美宇の今際の際の1分間ほどのお話で。
哲 でも、亡くなる当人からすると上演時間90分、もしくはそれ以上の時間となって表れるという……実に膨大な人の記憶をここで解き明かそうという意味では、この舞台は、架空の人物とは言え、一人の女性が存在した証、というか、人の尊厳を大切に表したものだと思い、えらく感動しました。
鳥 うわ、それも是非伝わって欲しい!
哲 実は、この台本を読んで、個人的にグッときたところがありました。
この作品が“鳥屋版、銀河鉄道の夜”として作られるにあたって、一冊の本に思い当たりました。相対性理論から賢治さんの作品に迫る「宮沢賢治・時空の旅人」(竹内薫/原田章夫著)。その中で、銀河鉄道の夜がお盆の頃を舞台にした物語ではないか?と、難しい数式やら相対性理論やらを用いて解き明かしたのを思い出したんです。この台本の成り立ちが実に不思議だ、興味深いなあ、と思いまして。
芦十 その本は知らないけど いろんな偶然が重なってそうも取れるような また皆がいろんな解釈で意味を付加してくれて日々 稽古場でそれが強化されていってるのがすごく面白い。
哲 この本は、宮沢賢治生誕100周年ブーム(1996年)の頃に出版された本の中の一冊なので有名ではない、むしろマニアックな本なので、知らないのも無理はありません。今は絶版、かも。
鳥 タイトルやビジュアル イメージ それから 内容 それとともに 是非、#天の川銀河 で検索をしてみて欲しいなと思います。
哲 (検索してみて)おお、大銀河うず巻き!
入院している最中に、病院のコンビニで「眠れなくなる宇宙のはなし」(佐藤勝彦)という本を読んで、眠れなくなっていましたっけ(笑)
鳥 身体に障るよ笑
哲 (爆笑)
さて、そろそろお時間ですが、最後に一言ずつお願いします。
哲 お盆前後という時期にこの舞台が上演される意義は、銀河の謎同様深いかと思っています。楽しいシーンもたくさんあるのでお楽しみいただきつつ、今はご自身から遠く離れた方、身近にいらっしゃる方に、ひとかけらでも思いやりをかけられるような気持ちになる舞台だと思います。そして舞台を後にしたら、ぜひ何か1つ行動にしていただきたいです。自分にも、これをお読みいただいているみなさんにとっても、ひとりひとりにかけがえない尊厳がある──みな“おたがいさま”である、と言うことで……なんか偉そうなことを。どうもすみません(苦笑)。
芦十 演出は最初の観客であると言われるが、自分の場合は俳優たちがそうで、その中にあるもの、わかるを見つける、増やすのにほとんどの時間を使う。
時にそのセリフは解釈を変え、舞台美術となり、音楽、演技となり、ただそこにあるということに気付けた時に、仕事は終わる。俳優なくして舞台は成り立たないし、自分の創作は成し得ない。暑い時期の稽古でもあり、コンディションキープをと言いたい。それだけ。そう、ここにあることに気付くだけ…。
鳥 いろんなところで知り合った素敵な面々と今 、稽古をしています。私たちが感じる 良いな 素敵だなを、 観客にも届けることができたらなと思っています。
哲 観る側である自分たちは、時々刻々変わる創作を覗かせていただくということで……おじゃまいたします。
本日は、ありがとうございました。
これは、前宣伝で部分的に使われるのと、当日パンフレットに記載されるものです。観劇前、観終わった後にでもふむふむと 読んでいただければ幸いです。
伊藤 哲(おはなしてっちゃん)
芦口十三/白鳥英一
伊藤 哲(おはなしてっちゃん)
人形遣い。
大学時に人形劇活動を開始。卒業後『人形劇団ひとみ座』に入団、全国を巡演する。現在は仙台市在住。ソロユニット『おはなしてっちゃん』の活動を中心に各種舞台に参加。亘理町のラジオ局『FMあおぞら』の「おはなしあっつこっつ」「音楽さしすせそ♪」に出演中。
白鳥英一(俳優・ナレーター・劇団鳥や主人) |1971年仙台市出身。1989年劇団I.Q150入団。11年間所属。2011年「鳥屋」(後に「劇団鳥や」)発足。年2回の演劇公演や小学校へのアウトリーチ活動、客演、講師、ナレーター等も。作・演出時は 芦口十三(あしのくちじゅうぞう)と名乗る。令和元年度宮城県芸術選奨受賞。
最初に書いた通り、公演は中止となりました。残念なんだと思うのですが、まだ熱かったり寒かったりでぼーっとしていて感情が湧いてこないでいます。落ち着いたらまた、何か記します。
白鳥