夢日記20240420
後輩のというか生徒だった女性と歩いている。夏の暑い日らしい。
「あいつ(同級生の男子)、覚えてますか、いつも稽古や公演、どうなのって気にしてんすよ」
自分は、「何だそれなら顔出せばいいのに」と答えた。
「そうなんすよ、私もそう言ってんすけど、忙しいみたいで」
「そうか」
あとふたり、後から来るらしいが、今は自分の実家に向かっているところだ。近況を聞きながら歩いている。
彼女はまだタレントや声優として活動しているらしいと人伝にも聞いていた。大変かもしれないが、がんばって欲しいなと思っていた。
「先生は、◯◯なの?」 と、彼女は、気さくに質問をぶつけて来る。その度に、立ち止まりこそしないが、考えて振り返って答える。まるで試されてみたいで汗が流れる。
「ただいま」、と、実家につく。
見覚えのない広い居間、夏の昭和の実家といった風情。懐かしいのは確かだ。ランニングシャツの親父がこちらを見て、「うん」と唸る。「おかえり」とおふくろ。
彼女は何も言わず、茶の間に上がりこむ。
「何だあいさつぐらいしろよ」
「どなた、もしかして…」と不安そうな、なんとも言えないような顔のおふくろ。
「ああ生徒、あとふたり後から来るんだ」
「そう」とおふくろ、さっと麦茶を出してくれる。
自分はさっきの質問がグサッと突き刺さったままの心地。
「だって声優になりたかったの? 所属したりとか」
すぐに答えられなかったが、なんの気なくぶつけられたその問の答えを探しながら歩いていた。
いや、「まるで思わなかった」が、答えなのだけど、そうそのままは返せなかった。
俳優に役者になりたいとは思っていたし、実際、稽古や舞台と未だやり続けてはいる。が、そのまま答える自信がなかった。未だがんばっている彼女に、自分はこうだと胸を張れるほどの結果も経験も持ち合わせていないように感じていた。けれど、その質問が不快だった訳ではない。ただ振り返り、身につまされるような心地であったのは確かだ。夏の暑い日の心地そのままで、妙に腑に落ちていた。
彼女は麦茶を飲みながら、スマホを覗いている。彼女は、どこにいても居心地が悪いということはないんだろうなとふと思った。
自分は大人になったんだなと思った。居心地が悪くとも焦りはしない、そのままやり過ごせるように、誤魔化せるようになってしまったのかなと…。ちょっと寂しくなった。