サンデーとロビンに関する与太考察【崩壊:スターレイル】
4/24 私の見落としを訂正、2.2予告番組について、今後の予想について、さらなるこじつけ考察を追記しました
はじめに
この記事は、サンデーの運命と実装有無とが気になるあまり日常に支障を及ぼしかねない人間が、思考の整理のために書いたものである。思いつきや願望が入り混じっているので、あまりしっかりとした考察だとは捉えないでいただければ幸いだ。
キャラクター情報おさらい
サンデー
五大クランの一角、政治を担う「オーク家」の当主。まだ若いながらピノコニーの実質的なトップを務めており、その手腕と人望がうかがえる。
ロビン
芸能星イプシロンを中心に銀河で活躍するスーパースター歌手。ピノコニー出身で、サンデーの妹でもある。大人になってからピノコニーを出ており、今回は調和セレモニーで歌を披露するためにゲストとして戻ってきた。
ヒット曲に「傷つく誰かの心を守ることができたなら」がある。
2.0~2.1での動向おさらい
2.0開拓クエスト
・(時期不明)ロビン、リハーサルの間を縫ってサンデー宛に手紙を送り、サンデー以外の四大当主を疑って調査している旨を伝える
・(時期不明)兄妹、ダンスパーティに出席(紀行PVより)
・兄妹、ホテル・レバリー(現実)で「ファミリーの実質的管理者」と「ゲストの歌手」として列車の一向を出迎える
・サンデー、アベンチュリンと会談。このとき、「基石」の入った箱と謝礼金の鞄を没収
・兄妹、黄金の刻で落下激突した開拓者を見舞う
・ロビン、サンデーの提案に応じて開拓者を「調和」の共鳴で調律(精神状態を調整して、夢境で快適に感じるようにする)
・ロビン、ミーム「死」によって夢境で「死亡」。アベンチュリンが目撃
・サンデー、黄金の刻で花火と対峙。「時計屋」への敵対を明らかにする
2.1開拓クエスト
・(時期不明)サンデー、ルーサン家当主から夢境セレモニーに専念するよう手紙を受け取る
・サンデー、列車組に、ホタルの身元確認について正式に協力要請
・サンデー、朝露の館でDr.レイシオと密談。星核の研究成果と引き換えにアベンチュリンの計画を聞き出し、「基石」を箱から取り出す
・サンデー、朝露の館にアベンチュリンとDr.レイシオを呼び出す。ロビンの死とカンパニーの計画についてアベンチュリンに問い、「調和」の洗礼、審判を下す
・サンデー、朝露の館で無断侵入したヴェルトと黄泉を注意
・サンデー、朝露の館でギャラガーを待ち受ける。彼の行為と素性を糾弾するも、ミーム「死」によって死亡
兄妹に関する話題
1. サンデーと星神エナ
ピノコニーを治めているのは「調和」の派閥ファミリーである。が、この「調和」の星神シペは、過去、宇宙の蝗害の最中に「秩序」の星神エナを呑み込んで同化したという。
エナの姿は、ヘイローを持つ操り糸に繋がれた人型と、それを背後から見つめる巨大な目として描かれており、星神を表すシンボルマークが目であることから、この目が本体であると推測できる。ヘルタはエナについて、支配欲が強いこと、古く強大な星神であるがためにシペが呑み込むのは容易ではなかっただろうことを記している(模擬宇宙)。
サンデーは、ヘイローを持つこと、服やヘイローの随所に目のような模様があること、支配欲の強さを度々言及されること等、エナとの関連が疑われる。シペがエナを呑み込んだものの完全に同化しきれていないのならば、エナの影響を受けるオーク家当主サンデーこそが、ロビンの声に不調をもたらしている、純粋ならざる「調和」の原因ともいえそうである。
2. 「夢の主」に引き取られた兄妹
2.1開拓クエストでのルーサン家の当主オーディからの手紙から、サンデーとロビンは「夢の主」に引き取られたことがわかる。
この「夢の主」は表に出ず、オーク家にピノコニーの管理を委任する形を取っている。「夢の主」の行動で明らかになっているものをまとめてみる。
・サンデーとロビンを引き取る
・一介の使用人だったミスター・マコーに姉と弟を「消す」よう要求
・最近のサンデーの行動に不満を示す
自分で仕事をやらずに部下に難題を押し付けるパワハラ上司のような趣がある。ギャラガーが「面倒な上司」と称したのは的を射ていそうだ。よい養い親だったのかも定かではない。ロビンはサンデーへの手紙で「兄さんは私にとって、唯一の家族」と語っている。
ともかく、サンデーとロビンは「夢の主」の里子であるともいえるが、この場合気になるテキストが存在する。
2.1の時点で、ハウンドの中で我々が最もよく親しんでいるギャラガーは、ミーム「死」によってサンデーとロビンを「殺して」いるが……。
3. 兄妹の「約束」とは何だったのか
2.1開拓クエストで閲覧できたロビンからサンデーの手紙には、このように記されている。
ファミリーには五つのクラン(家)があるが、そのうちのオーク家の当主である兄を疑わない理由が「約束」であるというのは、いささか含みのある言い方とも捉えることができるが、読解としては「感情的に兄は無実だと信じているが、約束があることで客観的な証拠になる」というところだろう。そこで今度は、この「約束」の、
①当事者:サンデーとロビン二人が交わしたのか、第三者を交えたのか
②内容:兄妹愛など個人的なものか、ファミリーへの忠誠など公のものか
③形式:その場限りのものか、物的証拠があるか、宗教的な誓いか
が問題になってくる。
情報が乏しいが、まず第一に、サンデーとロビンも用いていた「調和」の洗礼が考えられる。特にサンデーがアベンチュリンに施したものは、嘘偽りの誓いを口にできなくするものである。これをファミリーへの加入時(おそらく二人の場合は「夢の主」に引き取られる際)に施され、ファミリーへの忠誠心を確認されていたならば、少なくとも自分の意志でファミリーと「調和」に背く行動はできなくなっているはずだ。
第二に、光円錐「二人だけのコンサート」から、サンデーとロビンが「ロビンがより大きなステージに立てる歌手になる」という約束をしたのではないか、という想像。これについてはロビンが「私たちの夢」と言及しているので、「約束」という表現はあたらないかもしれない。ただ、調和セレモニーはファミリーにとって間違いなく重要な行事であるから、そこで歌うロビンの妨げになるような行動をサンデーがするはずがない、というロビンの考えはあるかもしれない。
最後に、ギャラガーのモチーフ光円錐のテキストから一節。
4. 「ロビン」役は本当にロビンなのか
ヨーロッパの文化において広く親しまれている鳥の「ロビン」=ヨーロッパコマドリは、ピノコニーの開拓クエストにおいても元ネタとして意識されているだろう。2.0開拓クエストの終盤、アベンチュリンに導かれロビンの死を知る「誰が殺した……」は、マザーグースの一編「Who Killed Cock Robin?(誰が駒鳥殺したの)」に由来していると思われる。
ところで、この鳥「ロビン」は、古くはすべて雄とみなされていたという。「ロビン」と対になって言及されることの多い鳥ミソサザイはすべて雌とみなされており、美しい声でさえずる小鳥として有名である。
となれば、男性のサンデーが「ロビン」、女性のロビンがミソサザイの役割を持っていることも考えられるのではないだろうか。
この推測に立つと、「傷つく誰かの心を守ることができたなら」についても一考の余地があるかもしれない。この歌の英語タイトルは「If I Can Stop One Heart From Breaking」であり、同名のエミリー・ディキンソンの詩に由来している。
列車の蓄音機で見られる曲の説明にも次のようにある。
この詩を元としたタイトルの歌をロビンが歌うことには意味があるのではないだろうか。
すなわち、今後、「秩序」エナの駒となってしまい倒されたサンデー=「気絶したロビン」を、ロビンが安全になったピノコニー=「巣」にもう一度連れ戻す……という筋書きを勘繰ってしまう。
ただし、2.0開拓クエストの序盤で言及されていたこととして、二人の名前は偽名の可能性があり、上述の通り兄妹を引き取った「夢の主」が名付けたとも考えられる。「夢の主」がロビンに「ロビン」と名付けたのならば、特に捻りなく考えたほうがいいのかもしれない。
また、「ロビン」の別の逸話も気にかかる。十字架にかかったイエス・キリストの痛みを癒すために歌ったとか、イバラの冠を外そうとして胸が赤く染まったとか……。これについては後述する。
5. 兄妹の元ネタは何か
兄と妹というのは、童話や神話によく見られるモチーフである。私がざっと調べた範囲で、これは……と思ったものを列挙してみたい。
・青い鳥(メーテルリンクの戯曲)
チルチルとミチル兄妹が、幸せの青い鳥を探して夢の世界を探索する物語。先日公開されたアベンチュリンのタイムラインにて、ロビンは青い鳥をアイコンにしている。
・森のふたりの幼い子ども(Babes in the Wood、イギリスの童話)
両親を亡くした幼い兄妹が、引き取った叔父が遺産目当てに雇った殺し屋に森に置き去りにされて亡くなり、遺体にロビン(鳥)が落ち葉をかけて弔う……という、陰鬱な物語。
兄は利発でかわいい、妹は美しさの片鱗を見せていると描写されている。
・ねずの木の話(グリム童話)
継母が殺してバラバラにした兄の骨を妹が集めたところ、美しい鳥に生まれ変わり、父と妹には贈り物をし、継母の頭上には石臼を落として復讐を果たすと人間の姿に戻る、という話。
この物語で注目すべきは二点。妹は継母の実子であることと、継母が偽装のために切った兄の首をつないだ上で妹に叩かせて頭を落とし、妹が殺したと思わせていることである。無理筋ではあるが、継母=「調和」シペ、兄の母(故人)=「秩序」エナだとするとどうだろう。
「秩序」の影響を受けたサンデーが敵となり、開拓者一行やプレイヤーに倒されて素材を取られるようになるが、「調和」の申し子ロビンがサンデー(の精神)の残滓を夢境で集め、復活させる、という話は……。なお、シペはヘルタに「万物の母」と形容されている。
……以上はまあとんでもないこじつけであるが、実はスターレイル内の先行設定で、サンデー&ロビン兄妹を彷彿とさせる物語が存在する。模擬宇宙・宇宙の蝗害、「天外聖歌隊-異象紀」。
天外聖歌隊は「秩序」エナを信仰していた派閥である。奇物「天外聖歌隊のレコード」によれば、エナがシペに吸収された時、天外聖歌隊は信仰を失ったのだという。
・その1
「※王冠を戴く※王位に押し上げられる」「監獄」というワードは、サンデーとピノコニーを思わせる。
・その2
「若い歌い手とその兄」は、共にミーム「死」の刃にかかったロビンとサンデーを思わせる。さらに、サンデーはピノコニーを「高い壁」と形容している(開拓クエスト2.0)。また、観光客に開放されていないホテル・レバリーの夢境は、深海に沈んでいくような状態にあるといわれている。
・その3
これはきょうだいにまつわる話ではないが、エナが「太陽」と称される点で注目に値する。最初に消えた「太陽」はシペに呑まれたエナ、返された「太陽」はシペのことを指すのであろう。宇宙の蝗害の豊穣Ⅱでは、「『秩序』が消えた後、『均衡』は太陽を返した」と述べられている。
Ver.2.0予告番組において、シナリオライターの焼鳥さんはピノコニー編の終盤であるキャラクターが「今 皆に太陽を直視する権利を与えよう」と発言するとしている。これがエナの復活を指すものであるならば、発言者はサンデーか、あるいは彼を使ってエナの復活を目論む何者かでしかあり得ないのではないか……。
「調和」の中に「秩序」がしっかり存在していることは、調和の新素材のテキストからも明らかである。
6. サンデーに対する「狂人」評
罵詈雑言ならもっと他にもあるが、「狂っている」を意味する言葉だけ挙げると上記のようなところか。
注意すべきは、サンデーが上記のような言葉を投げかけられたのは、いずれも結果的に正しい推測を行ったときであることと、彼は「狂っている」と言われたときに特に不快感を示していないことである。上記はいずれも2.1のものだが、この間サンデーはもっぱらロビンの死の真相を探るために動いていたといってよく、目的の前では対峙する相手からの印象など些事であるのだろう。
一方で、サンデーが感情を露わにしたのは、花火がロビンに扮して軽口を叩いたとき、およびギャラガーにロビンを殺した理由を問い詰めたときであり、ロビンへの愛情深さが伝わってくる。
※ただし、サンデーの疑心の深さや周到さ、「支配欲(他人の行動や状況をコントロールする欲求)」は愛情だけで説明がつくものではなさそうだ。朝露の館の円卓を調べると、次のようなテキストが読める。
私は専門の知識を持っていないので、深く言及することは避けたいが、「支配欲」が合わせて強調されていることから考えれば、強迫性パーソナリティ障害である/あった可能性はあるのかもしれない(参照元:MSDマニュアル)。2.2以降で掘り下げが欲しいところだ。
7. 朝露の館と稚児の夢の類似
突然だが、以下の二つの画像を見比べてほしい。
暖炉やカーペット、ソファーなど、この画像に映っていない調度品も同じだ。ほとんど同じ部屋なのである。
稚児の夢は誰かの過去の記憶からできている。その記憶の主はおそらくミーシャであろうと思われる。サンデーではなく。であるならば、なぜ朝露の館と同じ建物なのか。元々ミーシャや「時計屋」陣営が使っていた建物を、ファミリー(オーク家)が接収したのだろうか。
8. カタルス像のテキスト
朝露の館のロビーを抜けると、カタルス像が六つ並んだ部屋がある。このカタルス像をそれぞれ調べていくと、以下のような話が読める。
興味深い内容だ。シャドウ家のカラヘナイトなど、まさに「夢の主」の正体ではないのか。
ただし、もう一度調べると、テキストが変わる。
「神秘」の派閥、虚構歴史学者がピノコニーの歴史に一枚噛んでいることはギャラガーの語る通り(「神秘の手先」を信用してよいものか……)である。このカタルス像も「神秘」派が手を加えたもののようだ。
「実際」バージョンも、どこまで信じていいのかは不明だ。これも虚構かもしれない。しかし、各ファミリーの初代当主のステータスを眺めてみると、あることに気づく。
ファミリーとカンパニーの登場人物に、妙に符合しているのだ。ピノコニーは元々カンパニーの監獄で、ファミリーが夢の地にしたことは周知の歴史であるが、ピノコニー独立戦争時と同様、諸派閥が集結する開拓クエスト中で、ピノコニーの体制の再構築を行うとでもいうかのように……。
9. ファミリーの「やり方」と記憶操作
朝露の館にいるミスター・マコーのクロックトリックを触ると、サブクエストが発生する。これが大変な話になっている。
要するに、ミスター・マコーは「夢の主」に命じられて「裏切り者」の姉弟を「ファミリーのやり方」で夢の中で消し、姉弟の怨念はミームに化けた。ミスター・マコーはこの悪夢に苦しみ、記憶を差し出して忘れることで楽になった__という話である。
このサブクエは非常に重要なことを明かしていると考える。「夢の主」はきょうだいを粛清できるかでメンバーの忠誠を測っていること、ファミリーは夢の中で人を精神的に殺す方法と、記憶を操作する方法を持っていることである。
カタルス家当主のサー・ホイッタカー(サンデーはサー・ウィテカーと発音していたが、おそらく表記揺れであろう)も、「ファミリーのやり方」について言及している。
さて、この情報がサンデーとロビンにどう関係するかといえば、朝露の館で厳重に保管されていた光円錐「二人だけのコンサート」との意味と、サンデーがロビンの、おそらくは同じような「死」について激昂していたことの意味に関してであろう。
光円錐はサンデーが大事にしている記憶であることは疑う余地がないだろう。しかし、ファミリーに記憶を消す技術があるという事実を踏まえると、保管の厳重さには、おそらくは我々が大事な写真アルバムを本棚に安置したり、ロックをかけたりするよりも、もっと切実な動機が現れてくる。すなわち、「夢の主」にロビンとの思い出を奪われるのではないかという恐怖。「夢の主」がロビンの死の捜査にかかりきりになっていることについて不満を持っていることを、彼自身も知っている。もし「夢の主」が強制的に調和セレモニーの準備をさせようと思ったなら、取りうる手段であろう。
次にロビンの死についてのサンデーの反応である。あくまで夢の中で死ぬだけかもしれないが、ホタルの「死」の衝撃を思い出してもらえば話は早い。その上、我々プレイヤーは実のところ、ミーム「死」に殺された人が現実世界でどうなるのか、リカバリーする方法があるのかを知らない。
「ファミリーのやり方」がミームと同じ結果をもたらすなら、夢境での犠牲者は現実世界で昏睡状態に陥るのだろう。幼い頃、ロビンが歌う姿を目を輝かせて見つめていたサンデーにとり、ドリームプールに浸かったままぐったりして動かないロビンは、無残に殺された、死んでしまったも同然だ。また、「ファミリーのやり方」をされた人物が目覚めるには、「夢の主」の判断があればよい……のかもしれないといわれているが、「夢の主」の機嫌次第である。確実に犠牲者を呼び戻す方法はないのだろう。
余談として、ミスター・マコーの肩書きを見てみたい。「牧羊犬」とある。
牧羊犬は放牧中の羊の見張りをする犬だ。羊は宗教的には生贄と見做される。また民を迷える羊とするならば、神が羊飼いである。牧羊犬は羊飼いの部下ともいえる。先ほどのサブクエストで、一介の下っ端だったミスター・マコーにサンデーを飛び越えて命令し、のちに彼を朝露の館に招いて配属したのは「夢の主」である。「牧羊犬」がミスター・マコーなら、羊飼いは「夢の主」、羊はサンデーのことではないのか?
10. 朝露の館のコンフェッサー
朝露の館にはもう一人、特徴的なNPCがいる。「コンフェッサー」のカンナである。
「コンフェッサー」はカトリックで懺悔(告解)を聞く司祭を指す。カンナの話を聞いてみてもこの役割で間違いないだろう。彼女は気になる発言をしている。
オーク家の真の「鐸音」ならば、告解者の苦悩を消し去れると彼女はいう。「苦悩を消し去る」とはどういうことか。前述したミスター・マコーのサブクエストを踏まえると、文字通り「記憶を消す」ことか、あるいはクロックトリックのように感情チャンネルを変更することが想像される。サンデーのいでたちは司祭と呼んでもいいようなものだ。オーク家当主の彼がこの「鐸音」だという可能性もあるだろうか。
なお、この「鐸音」は英語では Bronze Melodia となる。Bronze(青銅)といえば、「Gold、Silver、Bronze(金銀銅)」という具合に序列を想起する人もいるのではないだろうか。これに関して次項で考えてみたい。
11. 調和衆弦
本編では触れられていないが、アーカイブにひっそり追加されている用語が「調和衆弦」である。まず着目したいのは「音階の区別」。上述した「鐸音(Bronze Melodia)」は序列を思わせるネーミングだったが、ファミリーには明確に身分規定が存在するということだ。「第Ⅳ音階」以上であれば「調弦師」になれるという。調弦師は「調和」の化身を顕現させる役割である。「調和衆弦」とは、①「調和」の化身が顕現する現象、②そうして現れた「調和」の化身自体、の両方を指す言葉なのだろう。
では、これを本編に当てはめるとどうなるか。
ルーサン家当主のオーディが「ドミニクスの降臨に不手際があれば」と手紙で述べているように、今回の調和セレモニーで顕現する予定の「調和」の化身は「ハルモニア聖歌隊」衆願のドミニクスであろう。このドミニクス(Dominicus)、ラテン語で「主の日」すなわち「日曜日」を指す語であり、日曜日といえばサンデーの名前にもなっている。オーディは同じ手紙で、サンデーに「一挙手一投足」に気をつけ、調和セレモニーの準備に専念するよう要望する。歌を捧げる予定のロビンが死んでも、調和セレモニーは滞りなく行われるらしい。サンデーこそ、今回の調和セレモニーの調弦師ではないだろうか。
気になるのは、「調和」の化身は「必要な時にはファミリーの中の1人として顕現する」という文言だ。ドミニクスと同じ意味の名を持つサンデーは、ドミニクスの降臨の依代にされるのではないか? 「其に光を降臨させるよう願」ったサンデーは、「調和」の力の一部を借り受けていた。星神の一面でさえも儀式を行えば降臨させられるのだとしたら……。
12. 宴のスター:ゴフェル
ピノコニーで獲得できる書物に「宴の星コレクションカード」がある。現地の出版社が発行したスターカードで、現時点で集められるのは全七種。
・ロビン
・オーディ・アルファルファ(ルーサン家当主)
・エディオンさん(スラーダ発売、エディオンコインなどに名を残す)
・レスリー・ディーン(銀河の大スター、サブクエスト参照)
・ハムーツ(ハムスターボールの騎士?)
・メーフン・アイリス(アイリス家当主)
・ゴフェル
最後のゴフェルのみ素性が一切知れない。そもそもこのカードの選出基準は何なのだろうか。ハムーツに至っては人間ではないし、エディオンはかなり前、夢の地ピノコニーの黎明期の人物のようだが……。
ゴフェルは黒髪、黒羽の、現時点でサンデーを除いて唯一の天環族の男性である。
(4/24訂正:クラークフィルムランドに「ウォルト」という天環族男性NPCがいました。……ウォルト・デ◯ズニーですか?)
記述から考えるとオーク家の関連人物だ。胸元には「目」のような意匠がある。書物を抱えており、まさに先ほど触れた「司祭」を思わせるいでたちだ。肩に乗せているのはワタリガラスだろうか。サンデーの「使用人」と似ている。
注目したいのは左の羽である。傷つき、欠けているのだ。サンデーは左の羽に、二つの釘のようなピアスをつけている。これを無理矢理に外したなら、ゴフェルのような傷跡が残るだろう。他にどうしたら羽だけこのように傷つくのだろうか……。
ゴフェルが誰なのか、皆目見当もつかないが、オーク家の過去の当主、「夢の主」、サンデーの先祖、サンデーとロビンの「先生」……と、想像は尽きない。
ちなみにゴフェル(Gopher)とはノアの方舟の材木であるらしい。ノアは鳩を放つ前にカラスを放ってもいたが、でき始めていた陸地で餌を漁って帰ってこなかったという。
13. 光円錐「二人だけのコンサート」
ちいこサンデーとロビンの光円錐「二人だけのコンサート」であるが、よく見ると変なものがいる。前にいるのはウサギとクマのぬいぐるみだが、サンデーに似たヘイローを持っているこれは、どう考えてもぬいぐるみではない。しかも意志を持ってロビンの歌に聞き惚れているように見える。ジブリのこだまとか、先ほど調和の軌跡素材で見たこびと妖精に似ているような気がしなくもない。「秩序」に関連する何かだろうか……?
今後の予想
以上を踏まえて、今後の開拓クエストにおけるサンデーとロビンの運命を予想してみたい。
サンデーは死に、そして蘇る
一度目の「死」は、ミーム「死」によるものである。サンデーはこの「死」により、「真の夢境」に行ったものと思われる。しかし、私はサンデーはもう一度「死ぬ」と予想する。
唐突だが、サンデーの外見をもう一度観察してみよう。
ヘイローは最も目立つ特徴である。エナを思わせる目のモチーフがやはり不穏だ。が、ここで注目してほしいのは、ヘイローの模様である。ヘイロー全体を伝うように、いばらの模様が入っている。これは衣服も同様である。 キリスト教において、荊の冠といえばイエスが磔刑のとき被せられたもので、受難の象徴とされる。 次に目を引くのがピアスである。揺れるタイプの、ファッション的ピアスを両耳にした上で、さらに羽に釘のようなピアスを刺している。
耳の後ろの羽を、花火は「手羽先」と呼んでいる。揶揄しての言い方であるが、「手羽先」は鳥の手にあたる部分である。夢境ステッカーで、ロビンは「沈黙を保つ鳥」と形容されていた。であれば、同じく天環族で羽を持つサンデーをも鳥と考えてもおかしくはない。羽、すなわち手に釘を打たれることからは、イエスの磔刑を連想する。
また、先ほど鳥のロビン(ヨーロッパコマドリ)について、十字架にかかったイエス・キリストの痛みを癒すために歌った、イバラの冠を外そうとして胸が赤く染まった、というキリスト教の伝承を紹介した。
以上より、サンデーは黒幕ではないが、エナの復権を抑えられなかったファミリーの「罪」を濯いで死ぬのではないか、と考える。サンデーの痛みを癒し、のちに彼を「巣」に戻すのがロビンである。
実際の黒幕? この記事は真面目な考察ではないが、パワハラ上司もとい「夢の主」以外に悪巧みをしていそうなやつがファミリーの中にいるだろうか。
もう少し具体的に筋書きを考える。
「夢の主」は調和セレモニーで、「調和」シペの中に潜む「秩序」エナの化身ドミニクスを、サンデーを依代に降臨させ、ピノコニーをエナ優位の栄光ある「秩序」世界にすることを目論んでいる。
サンデーは「秩序」の影響を少しずつ受けて、支配欲が表に現れるようになってきている。適応上のトラブルも治まり、順調に「秩序」の器となる用意は進んでいる。
ロビンは今は「調和」の歌を歌っているが、ゆくゆくは取って代わった「秩序」の聖歌を歌い広めることになる。声が出なくなったのはにわかに強まった「秩序」の影響にあてられたものであるが、元々「調和」の中には「秩序」がいたのだから、いずれ慣れることだろう。
……と「夢の主」は考えていたが、思わぬ変数が発生した。「時計屋」による外部勢力の招待と、それと結託する「神秘」陣営によるロビン、サンデーの「暗殺」である。
歌姫ロビンは最悪いなくてもよいとして、調弦師サンデーの不在は看過できないので、「夢の主」はサンデーを「夢死」状態から引き揚げる。これ以上の計画の逸脱を許せない「夢の主」は、サンデーの記憶、もしくは感情に手を加え、強制的にセレモニーに注力させる。
一方、真の夢境を彷徨うロビンは、やはり「夢死」から蘇ったホタルの導きでそこを訪れた開拓者一行と邂逅する。ギャラガーたち「時計屋」陣営とも邂逅し、「調和」のノイズの原因と「裏切り者」への認識を擦り合わせたロビン、「時計屋」、開拓者一行は、ファミリーの真意を確かめるため、黄金の刻に戻り、セレモニー会場のサンデーの元へ赴く。
サンデーは既に「夢の主」の思惑通りに「秩序」の意志で動いていた。「さあ、歌ってください。『調和』の歌を、ね」……ロビンを操ろうとする精神波には、はっきりと「ノイズ」が現れている。洗脳攻撃を受けながらも、ロビンは、幼かった頃の「コンサート」で歌った歌をサンデーに聴かせる。
歌姫の声をバックグラウンドに、「調和」、改め「秩序」のドミニクスはサンデーに降臨する(「今 皆に太陽を直視する権利を与えよう」)__が、サンデーはロビンの歌で失われた暖かな記憶を取り戻しかけていた。「今のうちにどうかワタシごと……、ワタシが、其に抗っていられるうちに……!」
ここでボス/中ボス戦となる。力を合わせる諸派。サンデーはドミニクス≒エナを道連れにしたまま、ロビンの歌を聴きながら「死ぬ」。
この光景を、直接であれ中継であれ、ピノコニーの民と観光客、外界の報道陣は息を呑んで見つめている。あの人望篤きオーク家当主こそ「裏切り者」だったのか、と考えて。しかし本当にそうなのか……。衝撃と疑念が渦巻く前で、計画を台無しにされた「夢の主」は、自らをエナに捧げる生贄とすべく、ついに姿を表して一行の前に立ちはだかる。
またここで戦闘。「裏切り者」ながら最期はファミリーに殉じたサンデー、兄の死を受けながらも気丈に立つロビン、楽園ピノコニーを守るため彼らと共闘せんとする「時計屋」、列車組、そして開拓者。異なる派閥が手を携える真の「調和」の実践を目の当たりにして、シペはとうとう開拓者に加護をもたらした。(調和開拓者が解禁)
真の裏切り者たる「夢の主」とその狂信的な野望を下したのち、シペはエナの残滓を今度こそ完全に呑み込んだ。クリフォトは旧き友エナが完全に消え去ったことを哀しみ、しかしピノコニーが崩壊の危機から「存護」され、「調和」のもとに「秩序」が戻ってきたことを寿いだ。カンパニーは琥珀の王の大槌が、えもいわれぬ感傷から震えるのを観測した。
ロビンはサンデーを表向きは弔いながら、水面下では兄の魂が夢境に散ってはいないかと捜索を続けていた。
「三日」後の日曜日、サンデーの遺骸を安置した石室がもぬけの殻になっていると報告が飛んだ。ファミリーの「支配」に不平を持っていた市民の仕業なのか? 慌てて現場へ向かうロビンは、道中で、何か……誰かを探すように彷徨いていた天環族の青年に出逢う。彼の戴く光輪には、「目」の形は見られない。それでも、彼は紛れもなく__。
憑き物の落ちたようにやわらかくはにかむ兄を前に、妹は堪えきれずに嗚咽する……
ピノコニー・ファミリーの再建
ファミリーの真のトップであった「夢の主」は裏切り者として死んだ。サンデーは蘇ったが、ピノコニーとファミリーは混乱の只中にあった。ここで先述したカタルス像を思い出してほしい。
「狂人」サンデー、歌手ロビン、やはり「死」から蘇っていたカンパニーの使者アベンチュリン、博識学会のDr.レイシオ。
ファミリーとカンパニーそれぞれの代表として、彼ら四人は協議した。遺恨はひとまず流しておいて、カンパニーは不良資産ピノコニーを占領する代わり、投資を行って復興を手伝い、そうして生じた利潤の一部を精算に充てることとなった。こうしてファミリーは真にフェアな「調和」へ、ピノコニーは人間を清濁合わせて肯定する「楽園」へと、新たなる一歩を踏み出すのであった……。
いつ実装される?
気が気でないので一刻も早く、明日にでも天外衛星通信してもらってもいいくらいだが、敵として戦うことになるなら2.3ではまだ来ないだろう。ピノコニー編のエピローグがこのバージョンになるということなので、2.4は別の星に戻るのだろうか。
先ほど、サンデーをイエスにたとえて予想した。イエスの復活は「三日後」である。ということは、2.2の3バージョン後、2.5でピノコニーに戻ってきてサンデーが生き返る話をやりつつ実装なのではないだろうか!? フォフォやルアン、Dr.レイシオ実装時のような感じで。
(4/24追記)
案の定というべきか、2.3での実装も見送りとなった。
2.2のタイトルも大概ひどい。「涙は目覚めの後で」「Then Wake to Weep」……泣くのは誰か? 2.0のように開拓者? サンデーを亡くしたロビン?
そもそも「焼鳥」さんが書いているのだからタダで済むはずがなかったのかもしれない。
しかし希望は捨てないでいただきたい。慰めにもならないだろうが、実装状況の整理と予想を開陳しておこう。星4はわからない! サンデーが星4である可能性は一切考えていない。
この旅が、いつかサンデー実装に辿りつかんことを。
2.2:ピノコニー編クライマックス
ロビン、ブートヒル(確)、調和開拓者
2.3:エピローグ
ホタル、ジェイド(確)、ピノコニー五家の誰か
2.4:既出の他の星 宇宙ステーションか仙舟
ステーションの場合:スクリューガム、スティーブン・ロイド
仙舟の場合:懐炎(朱明の将軍)、雲璃(彦卿の幼馴染)
2.5:ピノコニー再訪
サンデー、メーフン・アイリス(アイリス家当主)
おしまい!
長すぎる駄文を最後まで読んでくださってどうもありがとう。サンデーが無事実装されることを、一緒に祈ってください。
おまけ
追記
深読み邪推こじつけここに極まれり。
何かを考えて作業していたい衝動の産物なので、流し読みしていただければ幸いだ。
14. 花火の光円錐「ショーの始まり」
(4/24追記)
マザーグースの引用に近いことは、花火モチーフの星4光円錐「ショーの始まり」でも行われている。
最初の三節はマザーグースほぼそのままだ。花火は「ピノコニー混乱の夜」と名付けた「大舞台」で「彼」の死を見届け、血を持ち去り、お墓を掘ったというが、この「彼」=「ロビン」は誰なのか。もちろん度々その前に現れていたアベンチュリンなどである可能性もあるが、順当に(?)読むならサンデーだ。
「大舞台」=調和セレモニー、「混乱の夜」=ドミニクスの降臨〜「夢の主」との決戦、「彼」=サンデーを指すとしたらどうか……。
ちなみに、サンデーとはあまり関係ない話だが、マザーグースでコマドリの死を見届けたのはハエ、血を取ったのは魚、墓穴を掘ったのはフクロウである。光円錐のイラストを見ると、PVやモーションで金魚が出てくる花火が「魚」、アッハの一部と思しい変な鳥が「フクロウ」、サンポが「ハエ」役ではないかと思える。花火の遊び心か。
……この二人と一匹、糸で操られている。まるでエナの姿のように。それに、彼らが踊っている舞台は、調和セレモニーの会場を暗喩しているのではないか?
15. ルーサン家当主オーディ・アルファルファ
(4/24追記)
サンデーに「夢の主」に負けず劣らずの手紙を送ったオーディという人物、実はしれっと日々我々に依頼をしてきている。その内容がこうだ。
要するに夢境の朝食の材料を用意してほしいということだが、なかなかの字面である。流行っているというからそこまでオーディ個人に紐づけるのもなと思うが、彼はルーサン家の当主であり、ピノコニーの経済を掌握する立場にある。経済を司るということは流行の作り手でもある、といってもいいのではないだろうか。つまりこれはオーディの好みの可能性がある。
朝食の材料を見てみよう。
朝からこんなもの食べてよいものかと問い質したくなる。
考えすぎの性として、安逸の説明が少し気になる。金曜日の夜から逃避し、日曜日まで休み、外界との連絡を絶ち、月曜日にイヤイヤ出てくるという、我々の宿命の……まあ共感できる話なのだが、サンデー自身が「日曜日」のアイデンティティを持っているというから……。日曜日に連絡を絶つ安逸をスプーン3杯分入れるということは、やはり3バージョン待てということか……?
この話はいちゃもんであるから置いておいて、本題に移ろう。
ルーサン家は英語ではAlfalfa Familyといわれているようで、この文の植物はアルファルファを指している。とはいえ、アルファルファは別名ルーサンとも呼ばれているから、呼び方はあまり気にしなくてよさそうだ。気になる(こじつけられる)のは以下二点。
1. アルファルファは主に牧草として育てられているという。ざっと調べた感じでは、羊もこれを食べる。
2. アルファルファは上記からもわかる通り草原を形成する。草原は放っておくといずれ遷移して森林になるので、庭師がこの草原を維持したければ、樹木が生い育たないように注意しなければならない。サンデーはオーク家当主だが、オークは落葉樹ヨーロッパナラを意味する。
つまり。
「夢の主」寄りの手紙を書いて寄越してきたオーディ・アルファルファは、「羊」であり「オーク」家当主であるサンデーを年長者として(調和セレモニーまで無事であるように)見守る役目を負っている、かつ彼が力を持ちすぎてルーサンの草原を乱さないよう警戒しているのではないだろうか。
オーディが「夢の主」と「秩序」の派閥かどうかは別の話だ。彼はあくまでルーサン家の利益と「調和」に立っているだけで、結果として「夢の主」に利用されているだけなのかもしれない。
関連するネタとして朝露の館というネーミングにも突っ込んでおきたい。英語でも「Dewlight Pavilion」なので(dew=露)、朝露というワードには意味があるだろう。
私的な経験として、かつて牧草地を朝方に歩いたとき、草の上の露が朝日を受けてかがやいていたこと、気づけば靴が湿っていたことを思い出す。厳密にいえばこのときのものは朝露ではなかったにせよ、朝露から草原、牧草地を連想するのはそう突飛な話ではあるまい(突飛だろうか?)。
羊が犠牲のときまで自名義で所有し、育つ場が朝露の館なのだとしたら?
もしかしたら朝露の館に似た稚児の夢の人物は、サンデーの「前」に犠牲になった人物なのかもしれない……。