モノローグ:ハイエルフの恋③
前編
おはよう、妖精たち
今朝は...寝不足よね...うふふ
みんな、見てたんでしょう?
ちょっと恥ずかしかったかな...なんてね
騎士様のお話、面白かったわね...
蜂の巣を取りにいったり、14歳でギルドの仕事を請け負ったり
ワインしか持たずに迷子を探しにいって、酔っ払わせて一緒に帰った話は笑っちゃった
この方はきっと、人と、冒険と、そして妖精に愛されているんだわ
それにしても、あんなに饒舌(じょうぜつ)にお話されるとは知らなかったわね
人に愛されなくては良い騎士にはなれない
しかし冒険に愛されなくてもまた、良い騎士にはなれない
そして最後、妖精王と呼ばれた歴史の中の王様のように、妖精に愛される事
良い騎士、そして良い王の条件ね
この方は悪名を轟かすにはあまりにも純粋すぎる
剣を向けた相手すら愛してしまいそうな、そんな大きな器を感じる
いつかと言うにはわたしにとってはとても短い、そのいつか
この方は敵をも斬るのではなく、その器の大きさでひれ伏させる
そのような大きな王になるに違いないわ
ねえ、信じられる?妖精たち
朝日の中のルミナス(光の妖精)たち、夜のランプの光に混じって見ていたのでしょう?
そんな偉大になるだろう方が、今こうしてわたしに全てを許して眠っている
わたしは全てを告白したわ、この方を愛してしまったこと
まるで子どものように大喜びをして、そして夜を共にしてくれた
幸運というには、わたしは幸運、幸せすぎるのかも知れないわね
ルミナスたち、そんなにこの方に口づけして
本当に妖精の祝福を受けた人ね、どの妖精もこの方にかかったらただの恋する娘
でもね、わたしだけが唯一この方を射止められた、うふふ、うらやましい?
森を出なければ想像もできなかった幸せが、そして感動がこれからまっているわ
これからはじまる生活
見て、ルミナス、騎士様の左腕にはわたしの頭があるの
これから騎士様の隣には、左には必ずわたしがいるのよ
右手ではいつ如何なる時も剣を取り、戦いながらわたしを守ってくれる
わたしはあなたたち妖精を召喚しながら騎士様に力を与える
無敵の騎士様になるわ
わたしは騎士様のように早くは老いない
だからこそ、わたしは騎士様の唯一の女になれるわ
お母様はお亡くなりになったようだから、母のようで、そして妻として、いつまでも若い恋人として、どう?これほどの女の幸せがある?
男が欲しがる女を全て満たす事ができる、これほどの女がいて?
あら、ねぼけてるみたいね、またあなたの唇をわたしのものに…
2024/7/25 みゆき・シェヘラザード・本城
参考資料
https://youtu.be/ix6lSIJzRmY?si=d_fZT5_nXayRupdV