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沖縄とお線香1「神人の上原先生、神様の合図」

 今はもう再開発されてなくなったが、2017年までは那覇市に農連市場という、戦後の雰囲気のままの古い市場があった。そこで、沖縄に住む直前の沖縄旅行で知り合った神人(かみんちゅ)のおばあちゃんの上原先生がいた。上原先生は、普段は神棚や仏壇に飾る榊やチャーギ(イヌマキ)の葉を売っていて、拝みの依頼がある時は神人の仕事をしていた。
 
 沖縄に住む直前の沖縄旅行で上原先生の弟子の人と偶然、国際通りの横の商店街の休憩スペースで知り合って、後日、上原先生を紹介してもらった。弟子の人が僕を自分の先生に会わせたいと言うので、この時に沖縄での用事が週明けの2日後に延期になったので会うことになった。
(この弟子の人が上原先生を紹介するまでの下りは別記事で書く予定)
初めて上原先生と会った時は、沖縄のお線香の風習なども知らないただの旅行者で、半信半疑で話を聞いていた。
  
 上原先生曰く、僕は「自然番」という自然の神様や存在の力と仲が良く、力を貸してもらえるということだった。「確かに、超晴れ男だから合ってるなあ」と心当たりがないわけではないという感じだった。なにせ、沖縄旅行や住んでいた1年5カ月で台風に当たったことが1回もなく、せいぜい夜の間は荒れても翌日は晴れていた。
 
 上原先生と会った1カ月後ほどで、那覇での仕事が決まり、引っ越すことになった。面接が午前11時で、当日の午後4時に採用の連絡が来た。面接で、仕事が欲しかったので「いつから来れますか?」との質問に、「3日で来れますよ」と答えてしまい、本当に勤務開始は5日後、それまでに健康診断を受けてきてくださいとなった。結局、東京の部屋はそのままにして、スーツや着替え、パソコンなどを必要な物だけトランクケースに入れて沖縄に再び飛んだ。
 
 仕事は始まったが、部屋はまだ見つかってないので安いビジネスホテルや、「Mr.KINJO」(ミスター金城)というマンションタイプのホテルに泊まっていた。「Mr.KINJO」は、フランチャイズのホテルチェーンで、牧志にあるホテルで泊まると、翌朝思い切り首を寝違えていた。
 これまで、あまり寝違えで首が曲がらないって経験はないのだが、しかもダブルベッドのいい部屋で泊まって寝違えって変だなと思ったが、部屋探しできる状態ではないし、休日で知り合いもほとんどいないので、農連市場の上原先生のとこへ行くことにした。
 寝違えた首をかばいながら歩いて昼すぎに農連市場に着いたが、上原先生は不在だった。お線香を組んでいた先生のお弟子さんに聞くと、先生は拝みの仕事に行っているという。先生に電話をかけても拝み中だからつながらなかったが、お昼休憩中に折り返してくれて、午後4時には戻るとのことだった。

 歩くと首が痛いのと、軽くダルさもあったので、市場の先生のスペースで待つことにした。4時前に先生が帰ってきたので、いい部屋で寝たのに見事に寝違えて首が回らないと話すと、
「かかってるから外そうね」
といって、むにゅむにゅと1分ほど何か唱えると
「外したからもう大丈夫」
と言うので、首を恐る恐る回してみた。
「あれっ治ってる!ほんとだ、痛くないよ」
 朝から何時間も経ったのもあるだろうが、歩く時も体ごと回さないと痛かった首がすっきり治ってた。

 先生に理由を聞くと
「泊まったホテルのある土地の神様が祭られてないから、それできちんと祭ってほしくて合図をかけてきた」
「えー、僕は泊まっただけで、ホテルとは関係ないんだよ。ホテルの人にかければいいじゃん。それとも、泊まったお客全員に片っ端から合図かけてるの?心霊ホテルじゃん」
「全員にはかけない。してくれそうな人にだけ合図かけるさぁ」
「そんなこと言われてもなあ。もうチェックアウトしたし。あっ、荷物は預けたままだから夜ホテルに取りに行かないといけない。どうしょう、また何かかけられても困るんだけど」
 原因がわかったらホテルに戻るのが怖くなった。
「ホテルの敷地に入る時に、荷物を取りに来ましたので入らせてくださいとあいさつしてから入りなさい」
「うん、そうする。だけど先生、別の宿でかけられてても困るんだけど、泊まった場所でかけられないようにするにはどうすればいいの?」
「泊まる時に、土地の神様に『旅行で来ました、今夜この土地に泊まらせていただきますので、よろしくお願いします』と、あいさつしなさい」
「わかった、そうする。一般人の僕にかけても仕方ないのになあ」

 この時、土地の神様などから合図をかけられることは実際にあること、そして神人はそれが外すことができるのを身をもって知った。あれだけはっきりと寝違えが治ると、そりゃあ信じる気にもなる。単純な合図のかかる・外すは、実際にある。
 だけど、なぜ東京から来た僕に土地の神様が合図をかけたのか、どうして何かしてくれそうと判断したのか、その時はわからなかった。

今は再開発で取り壊されてなくなった那覇市の旧農連市場。ここで上原先生と出会って、時々遊びに行っていた。
 

「沖縄とお線香」は長いので分割しました。
沖縄とお線香2「宿とラップ音」|池さん (note.com)に続く

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