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すごいガメラのソフビ ファルシオンガメラの制作記録



伝説のソフビキットメーカー、ファルシオンが生み出した傑作、
ガメラ大怪獣空中決戦1/250スケールソフトビニールモデルキット」の完成品を
奇跡的にヤフオクで落札しました

ファルシオンは現在活動停止しており、
1997年に発売された当時品を購入するしか手に入れる手段が無いんですよね
憧れのキットを遂に入手し、感動です


現状確認

しかし他人の作った完成品なので、
自分好みの仕上がりでは無いです
やけにビビッドだし、塗装も厚ぼったくて
本来のディテールが消えています

古いキットなのでベタつきも凄い
ホコリが全身にびっしり


塗装剥がし

全身が接着されていたので
鍋で煮て分解します
歪みも取れるのでいいですね

ツールクリーナーで塗装を剥がしました
ディテールが復活しているのわかりますか?

爪が分かりやすいですね
皮膚に施された細やかなディテールも復活


これが、垢を全て拭い去った本来の姿

全身のディテールがハッキリしました

作業前と比較
ベタつきもホコリも無くスッキリ


資料を集めて塗装開始!

塗装

“ガメラは甲羅が命”
原口智生氏も言っていました
今回の塗装では明るいグリーンから色を立ち上げて表現することにします

スミ入れやシャドウ吹きをして質感を整え
いい感じ



肌の色を混色で作りました

全身に塗布し、ガメラらしさを模索します

爪にはウォッシングを施し、より生物的にかっこよく仕上げます

口内も生物的に塗装しました
迫力がありますよね

眼をくり抜き、プラ板のヒートプレスのカバーを内部に仕込みます
アップ用スーツと同様の工夫を施し、本物のカッコ良さへ迫っていきます












しかし……、、、、、、、、、、、、














あれから3年の時が流れました。

少年は、大人になりました。





時の揺り籠に託す……


すいません
理由としては、ヒートプレスの眼を再現することが難しく面倒だったこと、全身に施した塗装に自信がなく確証が持てなかったことが挙げられます

僕がマゴマゴしている間に原口智生氏によるアップ用スーツレプリカがクラウドファンディングで製作されたり

当時の造型スタッフの証言に基づく
スゴイ資料集が発売されたりしました


こうなったらやるしかありません
公式が救いの手を差し伸べてくれています
これらを徹底的に参考にし、完膚なきまでに製作してやりましょう



現状確認その②

「誰かの作った完成品なので自分好みの仕上がりでは無い」
と思って現状確認から始まった製作でしたね
3年経った今、自分の作例を確認するときもほぼ同じ感覚です

今見ると爪やキバのウォッシングが汚い
甲羅は比較的良いけど、皮膚の塗装が緑っぽすぎる


「生物的で迫力がある」と思って塗った口内も、今見ると汚い

全面やり直し

気に入らない箇所は新しい資料と
新しいノウハウを用いてやり直します

・爪、キバ
透明樹脂で作られているプロップの印象に近づけるべく、塗装にも透明感が求められます
EXホワイトで立ち上げ、クリアオレンジで影を入れました
ガメラの製作をしていない間に経験した美少女フィギュア塗装で培ったノウハウです

・皮膚
造型写真集にて「ガメラの色はタミヤのシーブルー」と記載が有ったので、それを使うことにしました

⇧アクリル エナメル⇧
アクリルとエナメルで色が全然違うけどこんなもんなんですかね?
右側がアクリルシーブルー
吹いただけで一気に“ガメラ色”になりました
なんだか悔しい

・口内
造型写真集にて、真っ白なエバーシートを口内に貼っている写真があったため、それを参考にEXホワイト立ち上げで塗装することにしました

肉感を表現するため、エナメルクリアレッドで血管模様を描いておきます
サフレスフレッシュオレンジで全体をコートして歯を塗ったらできあがり

・レンチ挿入用の穴
ガメラ'95アップ用スーツの目の下を見てみると、結構目立つ穴があります
限定キャスト版の説明書やホビージャパン97年11月号に掲載されていたファルシオン代表小林光生氏の情報によると、これはの六角レンチを挿入するための穴だそうです
穴の奥に目線を調節するボルトがあり、六角レンチを差し込んで目の向きを変えていたんだとか

このキットにもその穴が造型されています

赤く点滅している小さな窪みがその穴
画像は右目の下ですが、左目の下にもあります

今回はピンバイスで実際にその穴を開けてみました

穴を開けただけでもカンジがでますね

・眼
眼球にはセリアで買ったビーズを使います

これに被せる透明カバーをヒートプレスで製作するのですが、
ヒートガンとビーズの間にプラ板を敷いて
強引にプラ板を圧着させるという方法で製作しました
もっといい方法があると思いますが、安価でお手軽にヒートプレスができるのは良いと思います

amazonにて1500円ほどで購入したヒートガンです
コレをいくつも量産して、出来の良いものを装着します
接着にはクリアレジンを使用しました

続いて眼球の製作です

ツールクリーナーで塗装を落とし、
それにEXホワイトを吹きました
瞳を塗り、白目にクリアオレンジでグラデーションを塗ったら装着
ひっつき虫で留めてるだけなので自由に角度を調節できます







 完 成  

FALCHiON
ガメラ大怪獣空中決戦1/250スケールソフトビニールモデルキット
原型 : 稲田喜秀


アップ用スーツを徹底的に再現した迫力の
造形は原型の稲田喜秀氏によるもの
劇中のカッコ良さを精緻に写し取るその技術には畏敬の念すら抱きます

その原型のシルエットやディテールをソフトビニールキットとして量産してしまうファルシオンの超技術にも拍手を送りたいです


大好きな95年版ガメラが目の前にいることに
僕自身が強く感動しています
改めて「自分はガメラ大怪獣空中決戦の事が大好きだったんだな」と思いました





口を閉じた表情が特に気に入っています
強い意志を感じる凛々しい瞳と、愛嬌のある表情のバランスが絶妙で、他のガメラにはない魅力を感じます



正面から見たときに、目が合うんです 
正面はヒートプレスのカバーと眼球が最も機能している角度だと思います

人間と心を通わせるガメラということで正面から見たときに目が合うよう原口氏がデザインしたそうです


ほぼ積んでたので制作には長い期間を要しましたが、遂に製作完了です
このクオリティは3年間前の自分も納得してくれると思います

ガメラ大怪獣空中決戦29周年、僕はこのキットと共に過ごします

おわり


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