黄金の怪獣 レッドキング
S.H.Figuartsのレッドキングを塗装しました
手首にちょっとだけ手を加えてます
以下、制作過程をご紹介します
【なぜ塗るのか】
製品の時点で、塗装のクオリティは悪くないです
黄土色のベースカラーに水色のシャドウが細やかに施され、一見リペイントの甲斐が無いように思えます
では、なぜ塗るのか
実は、レッドキングって金色なんです
【黄金の怪獣】
本編映像やアップショットのスチールをよく見ると、レッドキングの色がソリッドではなく、煌びやかな黄金の光沢を帯びていることが確認できます
レッドキングは成田亨氏がシルバーの怪獣としてデザインし、その後に納品されたスーツを撮影現場の美術班がクリアイエローを塗ったことで黄金になったようです
その理由はなんと不明
デザイナーも造形工房も意図しないカラーリングだとは興味深いですね
これから、ソリッドなアーツを黄金に塗り替えて劇中の印象に近づけます
【塗装】
・下地
全身を黄金にするということは、
フルリペイントをするということです
可動フィギュアのフルリペイントは摺動部の塗装が剥がれやすいリスクを伴います
更に怪獣アーツは塗装が定着しづらいPVCで全身が構成されているため、なおさら注意が必要です
それを踏まえ、ソフビ専用塗料Vカラーのシルバーを下地として使用することにしました
VカラーはPVCへの付着性が良く、フレキシブルな塗膜が得られます
画像は、Vカラーのシルバーを塗布したレッドキング
成田氏の望んだシルバーのカラーリングに近いと思われます
・パール
厳密に言うとスーツのレッドキングはメタリックではありません
レッドキングのスーツを制作した高山良策氏
は、銀色を表現する際にメタリックを使わず
パール塗料を使って塗装をするそうです
それを再現すべく、パール系塗料のダイヤモンドシルバーをコートします
コートした様子がこちら
ほとんど違いがないです
とは言え、ややマイルドな輝きになったように感じられます
光沢の性質が変わったんですね
パール系塗料の持つ隠蔽力は極めて低く、厚塗りすることがリスキーだったため、やむなくメタリック系シルバーを下地にしたんですが、実物はすべて大量のパールで表現していたと考えるとすごいコストをかけてますね
・クリアイエローとスカイブルー
撮影現場の美術班が塗ったとされるクリアイエローは混色で再現します
パンツ部分にクリアーイエローを、
腹の凹部分にタミヤアクリルのスカイブルーでシャドウを入れている状態
シャドウにタミヤアクリルを使用した理由は、ミスをしてもマジックリンで下地を犯さず拭き取ることが容易だからです
知っておくと便利なテクニックですね
・つや消しクリアー
クリアーイエローを吹いた段階では全身が光沢を帯びているため、つや消しを吹いて質感を整えます
レッドキングは全身に強烈なガサつきがあります
それを再現すべく、つや消しクリアーをとことん吹きます
砂吹きしてザラつきを出します
砂吹きというのは塗料の濃度を濃くして塗膜をザラザラにするテクニックのことです
・眼球
レッドキングの目は一見真っ黒に見えますが、実は眼球があります
半透明のカバーで覆われているのですが、それが結構黒く、遠くから撮ったスチールでは眼球の存在感は薄いです
ULTRA-ACTでは眼球の白い瞳孔が彩色によって再現されてましたが、アーツでは表現されていません
ACTよりも小さいウルトラアーツほどのスケールでは表現がノイズに感じてしまうことでしょう
どう表現するか悩みました
結論として、眼球の彩色は入れつつ、その上にタミヤエナメルのスモークを塗ることで、普通に見た時にはほとんど眼球の存在を感じないくらいの表現をしました
完成したものがこちら
「めっちゃよくみたら眼球がある」
くらいの程度にできたと思います
【その他小改造】
彩色だけでは表現できない課題は改造によって解決しましょう
・握り拳
交換用手首として付属する握り拳を見てください
「レッドキングのデザインと遠近法の概念図」のような握り拳です
しかし、劇中のスーツではこういう握り拳は有り得ません
スーツアクターの指が先端まで入らないため、グーを作ろうとすると指の第一関節しか曲げられない潰れた拳ができるはず
劇中でも確認できます
それを再現するため、エポキシパテとプラ棒で拳を自作しました
盛り削りを繰り返し、彩色したものがこちらです
個人的には満足です
原型師の方々が作るような本物そっくりで精緻なものではないですが、表情付けとしては大きな価値のあるものになったことと思います
・手首の網目状モールド
レッドキングの手首には目元周辺と同じような網目状の模様があります
ULTRA-ACTでは再現されていましたが、
ウルトラアーツでは再現されていません
モールドスタンプとエポキシパテを使ってこれを再現します
〈モールドスタンプの作成〉
①プラ板を切り出し、ウロコ1つ分の形・大きさをしたものを用意
②それを爪楊枝の先端に接着する
③目元の網目のパターンをエポパテに押し付けてパターンを取る
④プラ板爪楊枝をそのパターンに沿って押し付ける
硬化すればモールドスタンプの完成!
〈スタンプ〉
網目状モールドが欲しいところにエポパテを伸ばし、そこへモールドスタンプを押し付けて
硬化すれば完成!
塗装したものがこちら
お手軽な改造ですが、結構それっぽくなります
是非お試しあれ!
【完成】
“知ってる色”で感動してます
かっこいいですね
手首のお陰でコミカルなアクションも表現できていると思います
【ウルトラマンと】
アーツのレッドキングの最高なところは、同シリーズのウルトラマンと組み合わせられるところです!!!!!!!!!!!!!!
最高です 本当に最高
ウラアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ウルトラマンの背負投げが炸裂しました
楽しい
似てて動いてウルトラマンと組み合わせられるレッドキングがあるなんて幸せです
テンション上がります
初代ウルトラマン、すごく好きなんですよね
レッドキングってデザインも活躍もキャラクターも唯一無二で、アクションさせるのが本当に楽しいです
握り拳の新造、めちゃくちゃ苦戦したんですが、とりあえず形になってよかったです
レッドキングにはあの手首が必須なんですよ
レッドキング2代目やアボラスを作るのもいいですね
今度挑戦します
最後までご覧いただきありがとうございました!
このnoteをみて興味を持った方!!
リペイントをしましょう、改造をしましょう
あなたの作例、待ってます!!
【参考にしたもの】
造形を担当した高山氏の証言はヤマダマサミ氏のブログ、
塗装については光跡の研究を大いに参考にしました
おわり