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沖縄離島ひとり旅 scene4 〜スパムと涙は塩辛い〜

【2日目:波照間島】

沖縄離島ひとり旅の二日目。朝6時に起きて日本最南端の朝日を拝みたいと、早朝からカッチコチに硬いサドルの自転車にまたがる。この旅に来てから私の常備食となっているスパムとコッペパンを自転車のかごに積み、無心で南の方角を目指した。

最南端のハテルマ・ドリーム・ザ・ライド

海に向かうまで、途中で急降下の坂が2回ほどある。そこを自転車で猛スピードで下っていくのがスリリングで楽しい。ちょっとしたジェットコースター気分を味わえるので、ハテルマ・ドリーム・ザ・ライド(BGMは「島唄」の一択)と勝手に名付けていた。
2回の急降下の他にも、ヤギに出会えるスポットやサトウキビ畑のザワワを鑑賞できるスポットもあり、なかなか楽しめるコースとなっている。そしてなんといっても無料。私は波照間2泊のうちにこのスリリングを3回も満喫させてもらった。

飲食店に縁のない私

こちらに来てから妙に塩辛いものが欲しくなる。とはいっても、そろそろスパム以外のちゃんとした食事がしたい。手作りのご飯が食べたい。お昼ご飯はKukuru cafeというお店のカレーを食べに行く予定だった。宿から歩いて5分、お店に着くとどうやら臨時休業のようで、昨日の日本最南端の居酒屋に引き続き、行きたい店にことごとく行けていない。なんだか少し虚しくなってきた。
完全にカレーの口になっていたので、気を取り直して共同売店でインドカレーの缶詰を買って宿に戻って食べる。スパムに引き続き缶詰だらけの食生活。夜こそは、人の手作り料理が食べたい。

日中は宿にこもってブログしか書いていないのに、19:00を過ぎるとまたお腹が空いてきた。
もう日本最南端の居酒屋に行く気は起こらず、おでんが美味しいと評判のお店が宿の近くにあるらしいので、そちらへ行ってみることにした。

「1名様」の緊張感

自転車を店の前に止めて階段を上がり、店員さんに「1名なんですけど」と伝えると外のテラスにある4人テーブル席に案内された。
正直、違う土地の居酒屋へ1人で入るのは勇気がいる。周りは夏休み中のファミリーやカップル、女性2人組のお客さんが多く、自分は1人だという妙な緊張感が時々ある。
ただ、今回の旅では1人とか何人だとか、細かいことは気にしない旅にしたいのだ。

席に座ってしまえばこっちのもの。人気メニューのおでん、もずく酢とオリオンビールを注文した。1人でもビールはいつ飲んだって美味しいし、おでんのテビチも絶品だった。店内からは沖縄民謡のBGMが聴こえてくる。私がイメージしていた沖縄って、こんなかんじだった。私はだんだん楽しくなってきて、1杯目のビールを飲み干す前に定員さんを呼んで「泡波」という波照間の泡盛を追加で注文した。
1人でまぁまぁのボリュームのおでんを食べ、泡盛の水割りをセルフで作っては飲む。次第に自分がこの店に溶け込んでいくのが気持ちよくなってくる。 結局2時間くらいは滞在していただろうか、他のお客さんはいつの間にか皆帰っていて、テラス席は私1人になっていた。

波照間の夜に、おもいがポロポロ

いつのまにか辺りは暗くなって星が見え始めた。椅子から立ち上がって柵の方へ進み、柵にもたれかかって星空を見上げてみる。今夜もまた木星と土星が出ているようだ。その間に天の川もちゃんとある。

星を眺めながら、ここ何年かの出来事を思い返してみた。

ようやく、ここまで来れた。

仕事がうまくいったりいかなかったり、恋が実ったり失恋したり、元気な日もあれば体調を崩してみんなを心配させてしまったり、助けてもらったり、本当にいろんなことがあった。いろんなことがあったけど、私がずっと求めていた働き方や人生が、ようやくこれから動き出そうとしている。

一緒に頑張ってきた人、応援してくれる人、力を貸してくれる人、笑わせてくれる人、これから一緒に挑戦していく人、星空を眺めながらいろんな人達の顔を思い浮かべると、ふいに涙がポロポロ出てきた。なんの涙か自分でもよく分からないし、ただ泡盛と沖縄民謡に酔ってるだけかもしれない。でもきっと、マイナスの涙ではないと思う。
周りに誰もいないのをいいことに、ポロポロ出てくる涙を何度も手でふいた。

波照間2日目の夜が終わろうとしている。
明日の夜も、綺麗な星空が見れたら幸せだ。

今日の食事代は3,500でなかなかリッチな飲食だった。領収書をもらうのを忘れた。

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