【光の観光資源 Vol.1】 観光資源だと気がつくまで。
観光資源だと気がつくまで。
イルミネーションが日本の経済的に意味を持つ文化になった時期
イルミネーションがいつしか日本の文化に強く浸透し始めたかは、正確に学問として展開されているわけではないため業界内の人間でも立場によって議論が様々であろうと思います。
私としては、様々な目的はあれど観光資源としての意味合いで日本の商文化におけるイルミネーションの黎明期はかつての阪神淡路大震災後の神戸ルミナリエがきっかけの1つではないかと考えています。もちろんそれ以前にイルミネーション自体はありますが、光によって人を集客し経済効果を見込んだ施策で大規模なもので大きく解りやすい代表事例だと思っています。
もともとはフィラメント球のペッパー珠と呼ばれていたクリスマスツリーに付随していた簡単でカラフルな交換式電球が始まりの1つだったのかもしれませんが、歴史を遡ると明治時代(内国勧業博覧会)までイルミネーションと呼ばれる「光」は、人々を魅了し続けて来たわけですが現代史におけるセンセーショナルな歴史事象の1つである震災からの復興支援としての神戸ルミナリエが担った、光を用いた観光資源化の施策は今後の冬季年末商戦における多大な貢献の実績を世に打ち出したと思います。
私がイルミネーションに決定的なインパクトを抱いた時
震災当時(1995年)、そしてルミナリエ初年度の私は13歳。まだ光の世界に足を踏み入れる前であったが主に美術やコンピュータアート、プログラム開発に興味を抱いていた私にとってはまだ若く事の重要性の認識に至っておりませんでした。ただ、いざ大学へ入学という2000年。地元愛知でメディアアートの専攻の学科を立ち上げた中京大学への入学(当時、情報科学部メディア科学科)。
また2000年という年は、名古屋駅にJRタワーズが開業された年でもあり、なおかつ「タワーズライツ」と呼ばれる大規模イルミネーションがスタートした時期でもありました。私がルミナリエの光の世界をテレビ越しで見つつ、地元愛知での名古屋駅タワーズライツの登場。そして実際に足を運んだ際の人の多さ。このセンセーショナルな事象はメディアアートを専攻した自分にとってはかなり強いきっかけになったのは間違いありません。
観光資源としての光
JR名古屋駅のタワーズライツは新しいビルの建築やリニア工事等の複合的な理由が重なり結果的に2010年で終了をしてしまったが、今だから言える最終段階に於いては私のタワーズライツのプロジェクトに関わっていたこともあり、この光のプロジェクトが生み出す経済効果や導引人員の数字を聞いていたこともあり、名古屋駅界隈の店舗や飲食店がどれだけ経済的な恩恵を得ていたのかを目の当たりにしていました。(実際、名鉄山王駅(旧ナゴヤ球場駅)の目の前で居住拠点を作り自転車で名古屋駅の現場に通っていた程)
クリスマスの時期を華やかに彩るだけの装飾品が、経済効果を生む観光資源としての光の文化に直接的に目の辺りにした瞬間を体験していた時期です。
観光資源としての光の意義
先のタイムラインの図で示したとおり、2000年直前の時期に大規模商業施設のイルミネーションの流れがスタート。青色のLEDの開発に伴うイルミネーションのLED化もかなり早い段階で取り入れられ始め、すぐさま2000年頃にはLEDイルミネーションが高価ながらも街を彩り始めました。
商流が豊かになり並行して低コスト化が進んだこともあり、自宅をイルミネーション装飾した「ホームイルミネーション」が始まったのも2000年前半の時期。中にはかなりの投資をかけ町の観光資源化しているご自宅もテレビやネットで話題になっておりました。
観光資源はかつて夜景や星空といった要素が主流だった点に際し、イルミネーションという文化の到来と一般化は様々な場所で夜の需要や経済効果の創出を可能とし、日本全国の様々な施設が取り組み始めました。
もともと舞台照明の技法の1つであったプロジェクションも屋外での展開がしやすくなり、映像のレンダリングスピードや描写処理の向上でプロジェクションマッピングなども一般化し始め、私の大学時代の専攻でもあったインタラクティブアートもイルミネーションなどの光の展開に多様に組み込まれ、多様性や地域特性を取り組みやすくなったこともあり幅広い訴求展開がなされるようになりました。
いつしか2000年始めには光を観光資源として大規模イルミネーションが日本の文化圏に数多く登場しました。残念ながらイルミネーションの業界自体はまだ新しい分野でもある為、正確な経済効果や示される数字が存在しないのが欠点ですが、誰しもが冬のきらびやかなイルミネーションの輝きの下で楽しく華やかな体験をしているのは間違いないと思います。
光の観る、観光。
「観光」という言葉の成り立ちは誰が考えたのでしょうか。光を観ると書いて観光です。もともとの成り立ちとして光=脚光という意味合いなのでしょうか、夜を主眼とした用語として生み出されたとは思いませんが、イルミネーションで観光資源を作り出している身としては、これほどマッチした日本語はないと思います。
行政が注目する理由
20年ほどイルミネーションを始めとした光の世界で過ごしている自分にとって、様々な行政が光の観光資源について多大な注目を得ている理由は様々あると思いますが、何よりも宿泊や夜の経済効果をわかりやすく期待できることにあると思います。
ただ、光の施設を作り出せば観光資源として成立するかどうかは、ハードを主軸に考えがちな日本の文化に於いては疑問符が出る案件を数多く見てきました。
光の観光資源についての考察は段階をおって、また事例を用いながら私の考察をまとめていこうと思います。
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