『アンチヒーローズ・ウォー』 第一章・8.5

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 私は、嘘をついた。
 あなたを応援する……応援……応援ですって?
 いったい、どの口が。
 私の本心は結局のところ、彼女と戦う前となにひとつ変わっていないのに。
 彼女が変わってしまったこと。
 なにもかも忘れてしまったこと。
 なにもかも忘れてしまったくせに、なおもあの人を追いかけていること。

 結局。

 結局あなたは、私を振り向いてくれない。
 気にかける素振りだけ見せて、私を置いていってしまう。
 あなたの背中を追いかけるのは、もう飽きた。
 ならばいっそ、徹底的に落ちぶれて、華々しい私の活躍を後方から眺めてくれていたほうが、どんなにかマシだろう。
 でも、こんなこと言えない。言えるわけがない。
 それは、私の抱く安い期待や、醜い嫉妬ももろともに吐露することに他ならないから。
 だから私は嘘をついた。
 焼け爛れた地面を雪が覆うように、優しいフリをして本心を隠した。

 シュガー。シュガー。
 甘くて苦い、私の宝石。
 あなたはすっかり弱くなってしまったけれど。
 強引で、まっすぐで、無邪気に笑う愛らしさだけは、やっぱりかつてのあなたのままで。
 だから私は。

 だから私は――ああすることしかできなかった。


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