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葦原青
2021年7月8日 18:56
この話の1へ前の話へ なにかが足りないと、感じ続けていた―― ぽっかりとあいた胸の穴。 まるで、はじめから失われていた、大切な、たったひとつの部品《パーツ》。 愉しいときも、苦しいときも、 我を忘れるほど目の前にある物事に夢中になっているときさえも、 その空白《穴》はあり続けた。 ぼうっとしているとき。 夜中、ふと目が覚めたとき。 空白《穴》は忘れていた痛みを蘇らせ、しくしく