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葦原青
2021年6月24日 17:59
この話の1へ前の話へ いつ見ても雑然として美意識の欠片もない街並みだ――と、ロド・ギヨティーネは思った。 だが、それゆえ心に平穏をもたらし、離れがたい気持ちが湧くのもたしかである。 そんな、勝手知ったる街の景色が、いまのロドにはまるでちがって見えた。 幼き日に遊んだ広場。盗みを働いた店の者に追われて飛び込んだ生け垣。物心ついたときからずっとおなじ姿を晒し続けている廃屋―― それらすべ
2021年6月3日 17:49
この話の1へ前の話へ ファルタン・モールソンの三人の息子は問題児ばかりだった。 長男ザッドは頭は切れるが人望がなく、次男グラッド乱暴者、三男イグラッドは次男に輪をかけて乱暴で、あちこちでトラブルを引き起こしていた。 ザッドからははっきりと嫌われていたイグラッドだったが、出来の悪い子ほどかわいいファルタンや、性格が似ているグラッドからは好かれていた。 何度やらかしても父親と次兄が庇ってく