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葦原青
2021年2月18日 17:53
前の話へ「マキト。よくわからんもんに、うかつにさわったらダメだよ」「お姉ちゃんにいわれたくないんだけど……」 真顔で諭すと、マキトに呆れ顔で返された。「これまで、私以外にこの生き物が見える人に会った?」「お姉ちゃんが初めてだね」 マキトがふるふると首を振る。「でも、私は見えるだけでさわれない。マキトだけがコイツを捕まえることができる……と。ねえ、ほんとにさわってもなんともな
2021年2月11日 18:55
序文へ「ヤバい。ダルい」 シャービィ・グランソールは、埃っぽい部屋の底で呻いた。 睡眠欲を満たせるだけ満たしたはずなのに、爽やかさは皆無だった。 雑然とした室内に、窓から入る光が差している。 脱ぎ散らかされた衣服、食べ物の包み紙、読みかけで放置された本。 住居というよりは、巣と呼んだほうがふさわしい惨状である。 いったいいつから、こんなふうになってしまったのだろう。 昔はもうち