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葦原青
2019年12月13日 18:59
この話の1へ前の話へ 美味しそうな匂いが鼻腔をくすぐり、リーゼルは目をあけた。 テーブルの上に料理が並んでいる。 耳になじんだ喧噪。 周囲にたくさんの人の気配があった。「おはようさん。なんか食いたいものある?」 女給の格好をした猫人《マオン》が声をかけてきた。 それで、ここが酒場〈酔鯨〉だと気づく。セレスタと何度も来たことがある店だ。 即答できずに「あ゛~」と唸っていると、
2019年12月4日 16:21
この話の1へ前の話へ まず、尻尾がひきはがされ、次に足のフックが外された。 どちらも力任せだ。 ありえない。 竜人族《フォニーク》同士、身体能力にそこまで差がないのであれば、そんな外し方のできる技ではない。(でもっ……あれこれ考えるのは後!) 脱出したリーゼルは、間髪を入れずにこちらへ向かってくる。 離れれば、また霧で身を隠される――そう判断したかは怪しい。 彼女の目からは