マガジンのカバー画像

小説

87
異形ひしめく船上都市での群像劇『バラックシップ流離譚』他連載中
運営しているクリエイター

2019年6月の記事一覧

『バラックシップ流離譚』 蓑皿・4

この話の1へ
前の話へ

 別室で待つように言われてから、かれこれ三十分ほどが経過した。
 僕らのためにと用意された食事は、木の椀に入った、なんだかよくわからない粥のようなものだった。
「なあ……なんか、肉みたいな固形物が混ざってるんだけど、まさかな……」
「大丈夫だと思うけど。ほら、彼女にも同じものが出されてるだろ。まさか共食いさせるなんてことは――」
 どうなんだろう……?
 偏見はよくないけ

もっとみる