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小説

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異形ひしめく船上都市での群像劇『バラックシップ流離譚』他連載中
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2019年1月の記事一覧

『バラックシップ流離譚』 幻槍無双・2

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 保管庫前の通路は、一面血の海だった。
 むせかえるような臭気が鼻を突き、修羅場には慣れているはずのクロフでさえ、一瞬嘔吐感をおぼえたほどだ。
 散乱している傭兵たちの死体には、どれも上半身がなかった。
 巨大な武器で殴られたのでも、爆風かなにかで吹き飛ばされたのでもない。
 なにか、ものすごい力で内側から弾け飛んだというような有様だ。
 いったいどんな攻撃をされたら、このような死体が

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『バラックシップ流離譚』 幻槍無双・1

序文へ

「痛てて! 畜生ッ、放せ!」
 クロフが男を組み伏せると、彼はぶざまに足をばたつかせた。
 ヤルキッシュ・ファミリーの縄張りで、無許可で盗品を売り捌いていた男だ。あたりには、どこで発掘されたかもわからない壺や本、装飾品やらが散らばっている。
「やれやれ。つまらヌことで手を煩わせないでほしいものデス」
 カツ、カツと靴音を立てて、クロフの背後に男が現れた。
「抵抗しても無駄デス。その男はク

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『バラックシップ流離譚』 キミの血が美味しいから・8

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 きっかけは、いつものようにニーニヤの読書に付き添っていたときだった。
 読み終えた本を書架へ差し込んでもどってくると、ニーニヤが不思議そうな顔をしてこちらを見ていた。

「キミは、本の場所をすべて暗記しているのかい?」

 読書の際、ニーニヤは本を十冊単位で持ってきて席につく。
 装丁はどれも似たり寄ったりで、古いものになると書名がかすれて判読しづらくなっていたりする。

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『バラックシップ流離譚』 キミの血が美味しいから・7

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 ジャングルの夜は、思っていたよりも肌寒かった。
 しかも、地面は湿っていて、横になっているだけでも体温を奪われる。
 もっとそばに来て寝たまえよ、とニーニヤが提案してきたが、それは断固として拒否した。
 ついさっきあんなことがあったばかりだというのに、ミツカの誤解をさらに深めてどうするのだ。
 しかし、いまはすこし後悔している。
 深夜、尿意をもよおし、目が覚めた。
 

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