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葦原青
2018年12月26日 19:39
この話の1へ前の話へ 一瞬の静寂は刹那ののちに雷鳴じみた轟音へと転じ、すさまじい衝撃が一帯を駆け抜けた。 身体の軽いサタロはころころと転がり、ラムダ以下三人も踏みとどまるのがやっとだった。 破壊音波とでも呼ぶべきほどの金切り声。 ウィルの位置でも頭が割れそうになったほどで、至近距離にいたラムダたちは、うずくまったまま動けなくなっている。 絡まっていた角を網から外し、ビークが口をひらい
2018年12月19日 13:55
この話の1へ前の話へ「感動だよウィル! ボクらはいま、本物の大地に立っているんだ!」 探索組を乗せたボートから海岸に降り立つなり、ニーニヤは人目も憚らず叫んだ。 頬を上気させ、何度か足を踏み鳴らしたのち、しゃがんで砂に手を這わせる。まるで子供だな、とウィルはため息をついた。「ふつうの砂浜だろ」「馬鹿を言うな。砂粒ひとつ取っても、微生物の死骸や鉱物種類など、場所による特色は表れるも
2018年12月11日 15:48
この話の1へ前の話へ 翌朝。 異世界ヤルヒボール5.3に到着した日から数えて六日目。 テンションMAXのニーニヤとともに、ウィルはふたたび甲板に降りた。 初日には精鋭数名だったという探索組は、百名近くの大所帯に膨れあがっていた。 なんでも、レムトの持ち帰った石や木材を調べたところ、その有用性が認められ、かなりの高値がつくことがわかったらしい。 そのせいで個人、組織を問わず、参加希望
2018年12月5日 07:14
この話の1へ前の話へ 皆、一様に渋い顔をしていた。 最年長のエルガードなどは、禿頭をゆであがったように赤く染め、こめかみをひくつかせていた。「正気ですか?」 マーカスが口をひらく。まったくいつもの調子なのだが、あまり辛辣とも思えないのは、ウィルも含めたこの場にいる全員の総意だったからだ。「もちろん正気だし、掛け値なしに本気だよ。いったい、なにが問題なんだい? 外出日の前倒しはた