自他を同一視するコミュニケーション
私は、16パーソナリティ(MBTI)のうちINFJに該当する性格を持っています。この記事では、そんな私のコミュニケーションの傾向を説明したいと思います。
人は自分が「そうだ」と思ったことをする
自分のコミュニケーション・スタイルを再確認するにあたって、書籍『MBTIへのいざない』は大変参考になりました。
少し厚めの本なのでとっつきにくいところはありますが、非常に良い内容だと思います。構成はおおまかに、性格タイプの解説、自己を成長させる方法、コミュニケーションと相互理解の方法に分けられます。コミュニケーションのセクションでは、MBTIのタイプ別に、彼らがもつ偏見や先入観、尊重させる方法などが詳細に記述されています。自分を知り、他人を知るために、大きな助けになると思います。私が印象に残った部分を引用しましょう。
私のコミュニケーションは自己流で、心理や社交を学んだわけでもありません。ただひたすら、①自分にされたら嫌なことを相手にしないこと、②周りの雰囲気が嫌な感じにならないことを追求した結果、今の方法に至ったわけです。それを、この引用文を読んで気付かされました。
少し話が逸れてしまったので、本題に戻します。私のコミュニケーションの傾向について、いくつか並べてみました。
傾向①:温和で優しい態度であること
初対面の人に対しては特に、温和で優しい態度と穏やかな口調に徹します。なぜそうするのかというと、先に述べたように、自分が不愉快な思いをしたくないからです。
どうやらINFJは外向的感情(Fe)を二番目の心理機能に有しているため、相手の気持ちを不愉快にさせないよう振る舞う人が多いらしいです。
傾向②:かけ離れた価値観に対しても寛容であること
例えば、相手が社会通念上まずいことを言い出しても、「そうなんですか」と、淡々と受け止めます。「あなたは間違っている!」と相手を咎めることはまずないです。
私が寛容につとめるのは、自身が周りから「おかしい」「普通じゃない」と言われ、孤独感に苛まれてきたからです。ただし、相容れない価値観の人間が、私の領域に入り込んできたときは例外です。容赦なく遮断します(まさにINFJのドアスラム)。
蛇足ですが、ビッグ・ファイブのテストで「誠実性」に低いスコアがでるのは、寛容すぎるのが原因なのではと思っています。
傾向③:直球の質問をぶつけない
エンジニア界隈では、「なんで?」のような簡潔で直球の質問をする人が時々おられます。多くの場合、純粋な興味からの質問であって、他意はないと思います。もし長い付き合いであれば、こういう人なんだと割り切れるのですが、初対面だとその真意をつかみかねることがあります。
私は質問されるのが少し苦手です。というのは、質問されたとき、その内容だけでなく、相手の意図も考えてしまうからです。「なんのために?」「なぜ今?」「私に至らないことがあるからこの質問をするのか?」などなど。様々な考えが頭をめぐります。
このような背景もあって、簡潔すぎる直球の質問は私にとって負担になってしまいます。ですから、私が雑な質問をしたら、相手にも同じような負担を掛けてしまうのだろうと根拠もなく心配するのです。そのせいか、私は質問に付帯情報をやたら加える傾向があります。
聞きたいこと:
「相手が部品Aではなく部品Bを採用した。別にどっちでもいいんだけど、Aでない理由が知りたい」
直球の質問:
「Aじゃダメなん?」
私がする質問:
「Bなんですね。そういう方法もありますよねえ。そういえば、本当にただの興味本位の質問なんですけど、Aは使わなかったんですね。例えば、Aだと性能に問題が起きたりするからですか?」
この質問での私の意図として「B案でいいんだぞ」「これからどうでもいい質問するから身構えるな」「答えやすいように、とっかかりを与えておこう」などを含んでいます。
これはこれで、良い効果もあるとは思うのですが、質問を受ける側からすると、私が神経質だったりよそよそしい印象を与えてしまっているようです。ええ、その通りです。ものすごく頭を使いますから、会議の後はすっかり疲れています。
傾向④:コミュニケーションのギャップを探る
私の仕事はソフトウェアの開発ですが、業界の特性上、お客様はソフトウェアに詳しくなかったり、依頼内容が抽象的すぎて、お客様自身も何をしたいのかぼんやりとしか分かっていないことが多いです。
その際には、ソフトウェアで何を成し遂げたいのか、お客様に何度もヒアリングをします。ところがヒアリングの場面では、コミュケーションのギャップが頻繁に発生します。
会話がちぐはぐになる、質問に対して変な答えが返ってくる、さっきと同じ会話が繰り返される…こういった状況はコミュケーションがうまくいっていない兆候です。このときに間違っても、相手の頭が悪いとか、知識がないとか、気難しいとか、邪推してはいけません。それは自分自身の苛立ちにつながり、この後に行うべき会話の立て直しに失敗するおそれがあります。
私が抱いている思い込みの一つに、人間はその価値観に沿って合理的に行動する、というものがあります。
会話において彼らはベストな行動をしている、と仮定すれば、コミュケーションのギャップは価値観や前提条件の歩調が合っていないことで発生する…私はそう考える傾向があります。
ギャップが発生した会話を立て直すために、私が多用するのが質問です。質問を重ねて会話を巻き戻しながら、相手の意図や前提、価値観に近づいていきます。対話を重ねて深掘りしていくことで、お客様も気が付かなかった「思い」が引き出され、明確になるのです。
うまくいかないことだらけ
できる項目ばかり並べていますが、そうでない状況も多いです。例えば私が苦手なのは、研究者・法律関係者との会話や、口のうまい交渉相手との会話です。
研究者・法律関係者は、職業柄のためか、言葉と論理を厳密に扱う人が多いようです。私は言葉をなんとなく使ってしまうところがあり、彼らからすると適当に喋っているように感じるようで、会話が大混乱に陥ってしまいます。上で書いたギャップ解消も効果はありません。なぜなら言葉の定義が違うから。
口のうまい交渉相手…私はなかなか克服できません。社会のため、人情のため、それがルールだから、あなただって〇〇してたじゃないか、と言われると反論材料が頭に浮かんでこなくなってしまいます。場数を踏んで、乗り越えたいところです。
コミュニケーションの自己認識、難しいですね。まだまだ浅いところしか掘り出せていません。今後も続けていき、知らない自分に会いたいと思っています。
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