『花は窓』坂本沙季26.「青だから死なないよ」
いつまでも思い出にすがっていてしまうから昔よく行った公園にいって、ぼーっとしたりする。前はよく待つほうだったのに、いつの間にか待たせるほうになってた。
待ち続けていたけれど、ほんとに好きだったものが壊れてしまって、器みたいな、外面の形式だけが残ってる。
あんまり人に言わなかった私しか知らない特別な大切なものだった。壊れてみて、自分が本当に好きだったことを改めて知る。去年もそれがあったからなんとかやってこれたところがあったし、いつも支えてもらっていたのに悲しみを生むものになっちゃった。
どうせ壊れるなら思い出せないくらい跡形もなく無くなって欲しかった。自由になれない時間だけが増えて、いつの間にか20代を終えて、このときのことが形だけで中身のない言葉だけで引きづられていくんだったら、考えていたこと全部やめてしまおうかなとかも思った。
バイトをしてたら間違えてハサミの刃を思い切り掴んでしまって血がどばどば出て焦った。
こういうことに1人で冷静に対処してしまったり、高校生のとき渋っていた金額をいとも簡単に使えるようになったり、母親から今では想像できないくらいひょうきんだったよっていう文と共に小さい頃の写真が送られてきたりして、私は子供のころの思い出にすがってちゃダメかもしれないと思って公園をあとにする。
あとにするけど、立ち去るんだけどまたどうせ来ちゃうんだよ
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