坂本沙季27.「うちの水は」
ばっさりショートヘアにした。昔の写真を見返したら、一年半前くらいにも短くしていた。
私たちの夏には毎年、不穏が一緒に来る。今年はいっそう不穏。
この不穏 たぶん私くらいの人生じゃ、なくなることのない記憶だから、これからも毎年、祈って白い鳥を飛ばすんでしょ。
ため息を聞くと不安になる。隣でため息、つかないでほしい。
花は窓 で使った花がとうとう枯れてしまって、捨てました。来てくれてありがとうと、私たちは心から思っていたし、何事もなく、終わることをいつまでも祈ってる。会いたい人に少しだけ会えたり、私の作品を観ることが夢だったと言われて、この行為がとても意味あるものになったと感じた。
感じた、この意味ある行為というのは、誰も傷つけたくないと思いつつもそんなの無理で、最近気づいたのはその努力、私、諦めそうじゃない?って、悲しくなった。
わたしの上を飛ぶ鳥がどこかへ行って、私が考えることを何にも知らないで、どこかの水を飲んでる。私もどこかの知らない水を今日も飲んで、夏をやり過ごそうとしてる。髪を切ることくらいしか今できることがない。
大雨が降って、雲が消えて、空が晴れて、雨雲を追いかけて、私も知らない水を飲んで夏になる。
今年の夏も暑いし、そのため息ついてるの、去年と何も変わってないよ。
だから、私は隣でため息つかないようにするよ。うちの水はいつもペットボトルにでも入れてどこまでも持ち歩けるようにしよう。どこへ行っても同じ水が飲めたらいい。
夏だー!
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