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『花は窓』石川朝25.「東京」

山口で生まれて、3歳の時に福岡に行き、幼稚園卒園と同時に東京に来た。
もうずっと東京が長いし小さい時だから、「生まれは?」って聞かれても「東京です」と答えてしまう。
地元の中学校に行き高校で念願の池袋の定期を手に入れるも、本当にありがたいことに大学もまた家の近所になってしまったのでシケた定期しか持っていない。だから都会に出てブイブイ言わせる機会は全くなく渋谷は昼間でもドキドキするし新宿まで行くと建物が高くてビル酔いしてしまう。
だけど高校生でも演劇を見ようと思ったら部活の帰りに制服のまますぐに行けて、映画だって家から10分で観に行ける。
そんな娯楽に簡単に手が届く生活が東京に住んでいるから当たり前だったことを大学生になってから初めて実感した。
どこか遠くに行きたいと思う時は大体人間関係で距離が欲しいだけで物理的にどこかに行きたいわけじゃない。そういう時わたしはなんとなーく「遠く」に行く。ぶっちぎったりはしないように、地味ーに、栃木県ぐらいの場所に逃走する。そっと行かないようにするとかやめる、とかそういうかんじ。
めげずに体当たりしていって破壊!みたいになる前にいつもしれっと方向転換してしまうのでしんどいことと極限限界まで向き合う、みたいなのあんまりしたことないんだけど
「東京」っていう場所と「演劇」っていうものはこれからも向き合っていかねばならないものだと思っていて、
だけどなんでもあって、なんだってすぐにできる場所で、
だから演劇をやる限りわたしはずっと東京にいるよ

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