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『花は窓』坂本沙季22.通り過ぎるものを眺めて。私と一緒に


だいたい待ち合わせても、ちゃんと時間通りに来ない。忘れ物も多くて、左右違う色の靴下を履く。ランドセルを学校に置いて帰る。

大きい口で食べ、甘いお菓子としょっぱいものが好き。胸ポケットに花束を入れていて、右手で吸う。制服のリボンがいつも無い。

いつも夢を見ていて、ここにいない。夢見てるんじゃない?なんでもできる気がする。「宿題見せて」と言ってくる。それなのに写しはしない。夢は覚めないと夢だって気がつかないもんね。

通過電車を待って、だまる。いつも走ってやってくる。手に色を持たず、夢を持つようにしているらしい。走る道中で落として、誰かが拾ってもらえばいいらしい。髪の色を染めるようになって、派手な色にしかしない。

生きることに飽きていて、大切なひとを持たない。植木に水をやらなくて、代わりの誰かがあげるのを待ってる。

春の嵐は嫌いらしい。
「それならもっと熱を求める」と言う。

これから、その人は別のものになるらしい。




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