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西安旅行記

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過去の旅や思い出や経験を共有することで、同じ場所を訪れる人や過去の旅行に興味がある人に役立つことを願っています。
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#歴史

陕西八大怪第四怪:大きすぎる飯茶碗でかきこむ、農家の食事

陝西省第四の不思議陝西省の飯茶碗、老茶碗陝西人は食事の際に、まるでたらいのような大碗を使う文化があります。 その大きさは、金魚鉢ほどの直径があり、まるでたらいのよう。 陝西の人々はこの大きな茶碗を、碗が「老大(大きい)」という意味で、「老碗」と呼び、それを手にして集まる食事を「老碗会」と称します。家ではなくても、老碗さえあれば、おかずや主食を一緒に盛りつけ、場所に縛られずに誰かと食事を楽しむことができます。 老碗文化の起源老碗や老碗会の文化がいつから始まったのか、正確な

玄奘三蔵と大雁塔:仏教の旅人とその遺産

唐代、中国の歴史の奥深くに輝く一人の高僧が大胆な旅に出ました。 玄奘玄奘三蔵。 彼は仏典を求め、未知の地を踏破しました。明代に創作された西遊記の三蔵法師のモデルとなったのが玄奘三蔵です。史実としての彼の冒険と遺産は、時代を超えて今もなお多くの人々の心を魅了し続けています。 玄奘三蔵進んだ道なき道玄奘三蔵の旅は、中国の歴史における重要な冒険譚です。当時は、現代のように整ったルートや豊富な情報はありませんでした。彼は盗賊が横行する道や、険しい山脈や砂漠地帯を越え、荒野を進み、定

西安大清真寺、イスラムと漢文化の融合

西安大清真寺 西安のムスリムストリート(回民街)にある西安大清真寺は、中国で最も古いモスクの一つといわれており、その歴史は742年の唐の玄宗時代にまで遡るとされています。でも現在はまだ、それが確かであると言い切れるような、信ぴょう性の高い記録は見つかっていません。 現存する建築物は明代に再建されたものです。 一説には、イスラム教徒が政治経済両面で重要視された元代や、元代直前に建立されたのではないか、ともいわれています。当時の西安はシルクロードの重要な交易拠点であり、東方か

古代の遺産、兵馬俑へ

秦の始皇帝による兵馬俑 今から2200年前、秦の始皇帝は広大な領土を統一しました。 ちょうど日本は縄文時代の頃で、まだ文字もなく、それがどんな時代だったかについては、わずかな古代の遺産から推測するしかない時代です。 そんなことを考えながら、実際の兵馬俑を目の当たりにすると、その圧倒的なスケールに言葉を失ってしまいます。始皇帝が持っていた、すみずみまで組織化された権力に息を呑みます。 兵士たちのリアルな再現 ずらりと並んだ兵士たちは、当時の人々にとってはただの人形ではあ