マガジンのカバー画像

西安旅行記

17
過去の旅や思い出や経験を共有することで、同じ場所を訪れる人や過去の旅行に興味がある人に役立つことを願っています。
運営しているクリエイター

#中国

陕西八大怪第四怪:大きすぎる飯茶碗でかきこむ、農家の食事

陝西省第四の不思議陝西省の飯茶碗、老茶碗陝西人は食事の際に、まるでたらいのような大碗を使う文化があります。 その大きさは、金魚鉢ほどの直径があり、まるでたらいのよう。 陝西の人々はこの大きな茶碗を、碗が「老大(大きい)」という意味で、「老碗」と呼び、それを手にして集まる食事を「老碗会」と称します。家ではなくても、老碗さえあれば、おかずや主食を一緒に盛りつけ、場所に縛られずに誰かと食事を楽しむことができます。 老碗文化の起源老碗や老碗会の文化がいつから始まったのか、正確な

西安市動物園へ、移転前の訪問

2003年、現在の秦嶺野生動物園の前身である、長楽公園内の西安市動物園を訪れました。 その日は晴れていたのに、園内の雰囲気はどこか沈んでいて。 動物たちの元気のなさが目立ち、ライオンやトラのような大型動物でさえ、くるくると同じ場所を同じ動きで行き来するか、外をぼうっと眺めているか。園内が狭いためかもしれません。 園内を歩いていると、さらに驚くべき光景が。 柵を越えて動物を見ようとする人々がいたのです。 事故も心配だし、檻の中の動物にだって相当なストレスでしょう。 中国の

大雁塔地下宮殿

大雁塔からの帰りにバスを探していて、西に曲がったところで急に視界に入ってきた地下宮殿。ここは公式の大雁塔の地下宮殿ではなく、かつての防空壕を利用して作られた商業観光施設です。 手作り感あふれる観光スポット 私が訪れたときはチケット売り場もなければ価格表記もなく、スタッフさんも他の観光客もおりませんでした。 どこにでも人がいる国で、ここには誰もいない…訳のわからないまま中に入ってみました。 長い長いトンネル状の空間には出口があり、別の広場へ通じていました。 地下宮殿という

玄奘三蔵と大雁塔:仏教の旅人とその遺産

唐代、中国の歴史の奥深くに輝く一人の高僧が大胆な旅に出ました。 玄奘玄奘三蔵。 彼は仏典を求め、未知の地を踏破しました。明代に創作された西遊記の三蔵法師のモデルとなったのが玄奘三蔵です。史実としての彼の冒険と遺産は、時代を超えて今もなお多くの人々の心を魅了し続けています。 玄奘三蔵進んだ道なき道玄奘三蔵の旅は、中国の歴史における重要な冒険譚です。当時は、現代のように整ったルートや豊富な情報はありませんでした。彼は盗賊が横行する道や、険しい山脈や砂漠地帯を越え、荒野を進み、定

西安のランドマーク、鐘楼と鼓楼

(2003年9月16日、友人と行った西安旅行の記録です) 西安市内でひときわ目を引くのが、市の中心にそびえる鐘楼です。かつてこの鐘楼の大きな鐘は、住民に時を知らせる重要な役割を果たしていました。 高さ36メートルのこの建物は、10〜12階建てのビルに匹敵する高さで、下を東西南北の4つの大通りが交差する、まさに西安のランドマークとなっています。 鐘楼:歴史と機能 鐘楼は1384年に明朝の初期に建てられました。ライトアップするとさらに、明代の壮麗な建築美が際立ちます。夜は

西安大清真寺、イスラムと漢文化の融合

西安大清真寺 西安のムスリムストリート(回民街)にある西安大清真寺は、中国で最も古いモスクの一つといわれており、その歴史は742年の唐の玄宗時代にまで遡るとされています。でも現在はまだ、それが確かであると言い切れるような、信ぴょう性の高い記録は見つかっていません。 現存する建築物は明代に再建されたものです。 一説には、イスラム教徒が政治経済両面で重要視された元代や、元代直前に建立されたのではないか、ともいわれています。当時の西安はシルクロードの重要な交易拠点であり、東方か

玄宗と楊貴妃のロマンスの地 — 華清池

伝説の温泉地 火山帯に属する日本には温泉地が多いけど、広大な中国には火山帯に限らず地殻運動や断層活動などの様々な地質条件によってできた温泉が数多く存在します。 中でも西安市から北30キロにある華清池は、唐の玄宗皇帝と楊貴妃のロマンスの地として有名な温泉地。 唐の時代以前にも、西周、秦、漢、隋の時代に離宮が置かれ、古来より数々の王侯貴族が訪れたリゾート地であり、歴史の舞台です。 現在の華清池 私たちが訪れた2003年9月15日。華清池は、思いのほか何もない場所でした。

往復30時間の列車旅

賭け事が引き起こした西安旅行 留学先の大学で授業が始まってから3日目の夜、友人と一緒に四人で小さな賭け事をしていました。ルールは、勝った者の言うことを聞くというもの。その結果、ソンフンが勝ちました。 「ねえ、僕たち明後日から西安に行こう!」とソンフンが提案しました。最初はその無計画さに驚いたものの、動揺している我々三人の様子をよそに、彼はこうも続けました。 「人生は一度きり。この日、この時間、この瞬間はもう戻らない。だから今すぐに行こう。」 どこから借りて来たセリフだ

吊るされた犬猫たち(閲覧注意)

※この記事には動物の毛皮写真が含まれています。苦手な方は不快な思いをすると思いますので、閉じてください。 2003年、南京留学に来て早々、中国の西安を訪れました。歴史の息吹を感じるこの街で、驚きと発見の連続の旅となりました。 兵馬俑への道 西安駅からバスに揺られ、最寄りの停留所「兵馬俑バスターミナル」に到着すると、兵馬俑まではそこから500メートルほど。 皆が必ず通るその道は、格好のお土産販売場所。そこでまさかの「毛皮ロード」に遭遇しました。道沿いにずらりと並ぶ毛皮の露

古代の遺産、兵馬俑へ

秦の始皇帝による兵馬俑 今から2200年前、秦の始皇帝は広大な領土を統一しました。 ちょうど日本は縄文時代の頃で、まだ文字もなく、それがどんな時代だったかについては、わずかな古代の遺産から推測するしかない時代です。 そんなことを考えながら、実際の兵馬俑を目の当たりにすると、その圧倒的なスケールに言葉を失ってしまいます。始皇帝が持っていた、すみずみまで組織化された権力に息を呑みます。 兵士たちのリアルな再現 ずらりと並んだ兵士たちは、当時の人々にとってはただの人形ではあ

西安で食べた羊肉包膜

陝西省西安市西大街3号 鐘鼓楼広場 同盛祥にて。 老舗有名店らしいけど、 地元の人も日常的に利用するような気軽に入れる店内。 ここで西安名物の羊肉包膜(ヤンロウバオモー)をいただきました。 スパイス香る、羊骨スープ。 春雨の食感と、スープを吸ってふやけた焼きパンが、香ばしいすいとんみたいな不思議な食感。 野菜と、柔らかく煮込まれた羊肉のスライスもたっぷりで、見た目よりボリューミー。 トッピングにネギを使わず、パクチー、ってところが、大事なポイントなのだそう。 確かに