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西安旅行記

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過去の旅や思い出や経験を共有することで、同じ場所を訪れる人や過去の旅行に興味がある人に役立つことを願っています。
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2024年5月の記事一覧

異世界純愛ファンタジー、長恨歌

白楽天は史実をもとに様々な文学的技巧を凝らし、舞台は異世界や来世にも跨る壮大で美しい純愛ラブストーリーを創作しました。 玄宗と楊貴妃は歴史の事実そのものよりも、白楽天(白居易)の類稀なる才能によって知れ渡ったカップルといえます。 創作されたのは楊貴妃の死後50年 楊貴妃の死後、彼女と玄宗皇帝の関係については多くの噂やゴシップが飛び交っていたことでしょう。彼らの悲劇的なロマンスは、長く人々の心を捉え続けました。白楽天(白居易)は、そうした噂や話の断片からインスピレーションを

玄宗と楊貴妃のロマンスの地 — 華清池

伝説の温泉地 火山帯に属する日本には温泉地が多いけど、広大な中国には火山帯に限らず地殻運動や断層活動などの様々な地質条件によってできた温泉が数多く存在します。 中でも西安市から北30キロにある華清池は、唐の玄宗皇帝と楊貴妃のロマンスの地として有名な温泉地。 唐の時代以前にも、西周、秦、漢、隋の時代に離宮が置かれ、古来より数々の王侯貴族が訪れたリゾート地であり、歴史の舞台です。 現在の華清池 私たちが訪れた2003年9月15日。華清池は、思いのほか何もない場所でした。

往復30時間の列車旅

賭け事が引き起こした西安旅行 留学先の大学で授業が始まってから3日目の夜、友人と一緒に四人で小さな賭け事をしていました。ルールは、勝った者の言うことを聞くというもの。その結果、ソンフンが勝ちました。 「ねえ、僕たち明後日から西安に行こう!」とソンフンが提案しました。最初はその無計画さに驚いたものの、動揺している我々三人の様子をよそに、彼はこうも続けました。 「人生は一度きり。この日、この時間、この瞬間はもう戻らない。だから今すぐに行こう。」 どこから借りて来たセリフだ

吊るされた犬猫たち(閲覧注意)

※この記事には動物の毛皮写真が含まれています。苦手な方は不快な思いをすると思いますので、閉じてください。 2003年、南京留学に来て早々、中国の西安を訪れました。歴史の息吹を感じるこの街で、驚きと発見の連続の旅となりました。 兵馬俑への道 西安駅からバスに揺られ、最寄りの停留所「兵馬俑バスターミナル」に到着すると、兵馬俑まではそこから500メートルほど。 皆が必ず通るその道は、格好のお土産販売場所。そこでまさかの「毛皮ロード」に遭遇しました。道沿いにずらりと並ぶ毛皮の露

古代の遺産、兵馬俑へ

秦の始皇帝による兵馬俑 今から2200年前、秦の始皇帝は広大な領土を統一しました。 ちょうど日本は縄文時代の頃で、まだ文字もなく、それがどんな時代だったかについては、わずかな古代の遺産から推測するしかない時代です。 そんなことを考えながら、実際の兵馬俑を目の当たりにすると、その圧倒的なスケールに言葉を失ってしまいます。始皇帝が持っていた、すみずみまで組織化された権力に息を呑みます。 兵士たちのリアルな再現 ずらりと並んだ兵士たちは、当時の人々にとってはただの人形ではあ

西安で食べた羊肉包膜

陝西省西安市西大街3号 鐘鼓楼広場 同盛祥にて。 老舗有名店らしいけど、 地元の人も日常的に利用するような気軽に入れる店内。 ここで西安名物の羊肉包膜(ヤンロウバオモー)をいただきました。 スパイス香る、羊骨スープ。 春雨の食感と、スープを吸ってふやけた焼きパンが、香ばしいすいとんみたいな不思議な食感。 野菜と、柔らかく煮込まれた羊肉のスライスもたっぷりで、見た目よりボリューミー。 トッピングにネギを使わず、パクチー、ってところが、大事なポイントなのだそう。 確かに