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【#8】ハケンアニメ!

「労働なんかしないで 映画鑑賞だけで生きたい」のコーナーでは私が行き当たりばったりで視聴した映画について書いた小感記事です。

第8回は2022年5月20日に公開された吉野耕平監督作品「ハケンアニメ!」について書いていく。

新人監督VS天才監督

日本と言えばアニメ、アニメと言えば日本。
世界に誇るジャパニメーションは毎クール50本近い作品が作られ、覇権を取るために日々戦っている。
これは主人公・斎藤瞳が初監督作品「サウンドバック 奏の石」で最高の頂を目指す物語。
頂を目指すのはそう簡単ではなく、ライバルとなるのが天才監督・王子千晴で瞳の憧れの監督だ。
ライバルがいて燃える展開だけでなく、アニメ制作は内側でも戦いがあったりと、常に戦っている者たちのドラマが描かれている。

制作シーンはSHIROBAKO、映像研には手を出すな!などのアニメを見ているので大体の流れは分るが、これは実写の映画なのでよりリアルを感じる事ができる。
その他にも自分たちのアニメを広めるためには、人気のアイドル声優を使ったり、聖地でのイベントなど使えるものは使っていく「宣伝」の所でもリアルを感じた。
アイドル声優に関しては作中に声優側の思いが現れたドラマがあるので注目だ。
また監督に関してもアニメ雑誌の写真撮影、イベント参加、打合せなど、作品作りだけに集中できない忙しさは作る側からするときついだろうなと思った。
これは新人だから積極的にしているだけではあるが、誰もが新人監督では通る道をこの作品で見せていたのかもしれない。
私自身、この監督の作品だから面白いか面白くないかはさておき、とりあえず視聴しようと思うことがあるので、知名度は大事だなという事は重々分ります。
知名度でいうと、パチンコにアニメ作品がありますが、それで普段はアニメは見ないがパチンコで知ったという声もあったりするので、何かしらやることで良い影響はでそうですよね。

登場人物に関しては感覚派、理論派とアニメに携わる者は個性豊かで見ていてお偉いさん以外はおもしろい人たちだなと思った。
その中でも監督×チーフプロデューサーのコンビが良い味を出していた。
主人公側だと、クソ真面目な新人監督の瞳×売れるためには何でもやる凄腕チーフプロデューサーの行城。
ライバル側だと、奇抜で絵に描いたような天才監督王子×感情的ではあるが周りに気遣いできるチーフプロデューサーの有科。
どちらの監督も自分の作品に対する熱はあるが、それ以外の所で足りない部分をチーフプロデューサーが埋める姿は頼もしいものがあった。
そこにはお互いをリスペクトがあるからというのもこれまた良い。
また私は「生み出す難しさ」を語っていたライバルの王子監督がとても印象に残ったキャラであった。
彼自身スランプからの復活作を作っている立場というのも見ている分には面白い要素だ。
天才監督が天才と言われる理由は常に作品の事を考えているという努力。
本人からすると作品に対する愛情なのでこれを努力というのも違うかもしれない。
それでも自分の中での正解をもがきながら探す姿に人間味を感じた。
0から1を書き起こせるのは一人なので、孤独との戦いで相当メンタルがすり減ると思います。
例えるなら、命を削りながら作品を作っている。
また王子監督の内に秘めたアニメへの思いはカッコいいものがあった。

タイトルからもどちらかが覇権を取りはしますが、結果以上にアニメに対する情熱、最後まで納得のいく作品で勝負、まさにプロフェッショナル。
自分の役割に一生懸命に取り組む姿は純粋にカッコいいですし、労働を知るものであれば元気がもらえる映画でもあった。

アニメ好きなのでフィルターがかかってしまいますが、テンポも良いですし、作中で壁に張られているポスターなど細かい所までアニメ好きが好む部分があり私的には楽しめた映画であった。


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