アセマネ会社の各部門を紹介
アセットマネジメントの各部門における仕事紹介
アセットマネジメントの仕事は、大きく1)運用部門、2)営業部門、3)ミドル・バック部門の3つに分けることができます。各部門での仕事内容は多岐にわたりますが、ここでは主な仕事をご紹介致します。
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① 運用部門
運用部門では中長期的な運用収益を実現するために、投資意思決定をめぐる幾つかの役割があります。そのため、ファンド・マネージャー、あるいはポートフォリオ・マネージャーを中心に、アナリスト、エコノミエスト、ストラテジスト、トレーダー、クレジット・アナリスト、クウォンツ・アナリスト等が各々その役割を担っています。
運用会社によっても異なりますが、株式のアクティブ運用を例に挙げて業務のステップを説明すると、まず「トップダウンアプローチ」と「ボトムアップアプローチ」のスタイルがあります。
エコノミストやストラテジストがマクロ経済分析や社会情勢、投資環境の予測などの分析を行い、それに基づいて投資方針の枠組みを決定して、投資対象まで選別していくのが選別していくのがトップダウンアプローチです。
これに対しボトムアップアプローチは、アナリスト、クレジット・アナリスト、クウォンツ・アナリスト等が個別企業の財務分析に基づき企業価値の評価、バリュエーション等を行い、ポートフォリオを構築していきます。
最終的にはポートフォリオ・マネージャーやファンド・マネージャーによって投資判断が決定されますが、それに基づいて実際にマーケットで適正な価格やコストで売買するのはトレーダーの仕事です
自家運用と再委託運用
アセマネが扱う案件の多くは「再委託」。運用をやりたいなら要注意。
運用部門とは、その名の通り、運用会社のメインの仕事を担う部門です。株、債券、為替、不動産、オルタナといった、運用対象資産に関する情報を収集し、PM(Portfolio Manager)が投資の意思決定を行うという役割を持ちます。
ややマニアックな話かもしれないですが、運用には、自分自身で運用する「自家運用」と、「再委託運用」の2種類があることを知っておくべきです。
・自家運用:自らの拠点にリサーチ要員とPMが存在し、銘柄選択と発注まで完結する。通常、運用と聞いて多くの人が思い浮かべるのがこの形態
・再委託運用:リサーチと銘柄選択を行う組織が社外に存在し、そちらに運用権限を委託する形態。再委託運用の中でも、運用権限の委託先が他社(グループ会社以外)である場合は「外部委託」という
就活生が気を付けるべきは、国内、外資に関わらずアセマネにおいて、運用の多くは再委託運用であるという点です。
日本で運用できるのは、日本株、日本の公社債、そして日本の不動産(J-REIT含む)のみ。外国株式や外国債券、外国不動産については、リサーチと銘柄選択は海外の拠点で行われるため、再委託運用という形になります。
基本的には個人、機関投資家を問わず、外国のプロダクトの方がニーズが高いです。そのため、運用部門に配属されたとしても、再委託運用に関わる仕事が多くを占めます。自分自身は直接リサーチや銘柄選択に関与できず、海外拠点や他社で行われた運用を管理する形です。「運用をやりたい」と思っているならば、特に注意した方がいいでしょう。
②営業部門
資産運用会社の営業部門は、個人から年金基金、金融機関、事業会社、海外の機関投資家まで幅広くサービスを提供しています。その中で大きく「投資信託営業」と「機関投資家営業」に分かれています。
投資信託営業
投資信託営業は、主として証券会社や銀行などの金融機関を通じて、個人投資家向けの資産運用サービスを行っています。顧客のニーズに合った商品の開発や企画の提案、マーケット情報や投資信託の月次・週次運用状況レポート、パフォーマンスのディスクロージャーの作成・提供等を行っています。また販売窓口である銀行や証券会社の担当者に対して、セミナーの企画や勉強会の実施を行います。
機関投資家営業
機関投資家営業では、公的・私的年金や金融機関等の幅広い顧客に対して、その運用目標や年金制度に対応した資産運用サービスを展開します。
投信営業と同様に、顧客への運用報告書を作成し、その説明を行うほか、市場や海外の投資家動向などの情報提供も行います。また、年金コンサルティング会社に対するマーケティング活動の仕事もあります。
さらに「年金営業」と「金法営業(金融法人向け営業)」の2つに分類されます。
・年金営業:企業年金や公的年金に対し、自社での一任運用をお願いする営業
・金法営業:自社資金で運用を行う金融機関や、彼らの顧客(地銀などの地域金融機関や事業会社)に自社プロダクトを案内する営業などを指す・・・一般的にリテール
一般的にリテール営業と機関投資家営業は、どちらが上ということはありません。運用会社がどちらに比重を置いているか(競争力を有するか)によって異なるからです。
機関投資家営業の担当者の中には「自分たちはプロの投資家を相手に取引をするので、リテール営業よりもエラい」と思っている人もいますが、リテールには特有のスキルが求められるし、自社投信が大ヒットすれば収益は大きく上振れするという強みもあります。
また、小規模な外資系運用会社の場合、一人の営業社員が機関投資家営業とリテール営業を兼任していることもありまく。
新卒としてアセットマネジメント業界に入った際の営業としてのキャリアパスを共有します。もちろん、個々人により多彩なキャリアパスがあるので、すべての人に言えることではありません。
まず、新卒で採用された場合、いきなり営業職に就くことは極めてまれです。
1-2年目 ジョブローテーション 各部署を数カ月単位で移動しながらアセットマネジメント業界の全体像を学ぶ期間。具体的にはバックオフィス(レポーティング、コンプライアンス)やマーケティング、運用部門のアシスタントなどを行います。外資系の場合は、海外拠点を含めてジョブローテーションが行われる場合もあるので、ニューヨーク、ロンドンや香港などで働く機会があるでしょう。
3-5年目 ジュニア営業 シニアの営業のサポートをすることがメインの仕事になります。具体的には顧客に提案する資料作成や顧客ドラフトの作成、運用レポーティングの資料を各部署と折衝して作成することになるでしょう。また、シニア営業に同行する機会もあります。あと一番重要なことは、顧客接待のアレンジやロジ周りの調整といった雑用です。ジュニア時代に出せる付加価値はこの部分が将来にわたり大事になってきます。機関投資家営業のほうでは接待等をオフィシャルでは禁止しているところもありますが、投資信託営業では銀行や証券会社の支店長への接待などは重要な営業活動の一部です。
6年目以降 シニア営業として、顧客を担当することになるレベルです。先ずは小さな顧客を持つことが多いです。投資信託営業の場合、地方の銀行や地場の証券会社になるでしょう。法人営業の場合は、ちいさな企業年金を扱うことが多いようです。宗教法人や学校法人を初期の段階で担当することも多いと聞いています。他のシニアや退職者から顧客を引き継ぐ場合と新規で開拓する場合があるが、得てして最初は前任から引き継ぐことが多いようです。顧客のランキングがあり、エリートやできる人が高いランキングの顧客を持つのが一般的です。国内ではN証券や赤銀行、G年金が最上位の顧客になるでしょう。
15年‐20年目 このくらいの年次になると、営業部長や支店長のパスも見えてきます。しかしながらここまでたどり着く確率は非常に低いです。なれなかった場合は転職をするケースや、ミドルやバックオフィスの責任者としてマネジメントポジションに就くこともあります。
ここでは、資産運用会社の営業活動のうち、商品提案など商品採用のための営業活動と、販売促進など商品採用後の営業活動の2つについてご紹介したいと思います。
③ミドル・バック部門
ミドル・バック業務はミドルオフィス、バックオフィス業務とも呼ばれ、オペレーション業務の中に位置しています。フロント業務が資産運用の意思決定に係る部署であり、バックオフィス業務が実際の資金決済に係る業務で、それ以外のオペレーション業務がミドルオフィス業務になります。
ミドルオフィスの業務は主に3つ
1.リスクマネジメント会社の不正チェック、損益や収益の管理、信用・市場リスクの報告、コンプライアンス(企業が果たすべき法令遵守)のための内部管理などを行っています。企業の健全な経営を維持するために必要なものが多く、金融機関におけるミドルオフィスのメインとなる業務です。 2.営業部門のサポートフロントオフィスのサポートも重要な職務です。トレードや株式の売買などで営業部門が行った契約が、滞りなく行われるようにチェックし、フォローすることが主な役割です。また、想定外のトラブルが生じた場合に、迅速に対応するのもミドルオフィスです。 3.プロジェクト管理営業部門が立てる収益目標などを実現するための戦略立案なども行います。業務内容や企業体制の見直しや改善、情報システムの開発・運用など、多岐にわたるプロジェクトに関わります。
ミドルオフィスが行う業務内容については企業によって分類はさまざまですが、前述したように、直接的な顧客への営業活動はせず、フロントとバックの橋渡し的な役割と、リスクマネジメント、レポートティング、営業サポートといった分野に特化した業務を行っていることからフロントオフィスというより、バックオフィスとしてグルーピングされることが多かったようです。 しかし最近の金融業界では、提供・提案する商品メニューの多様化や、綿密なリスクマネジメントの調査に伴い、バックオフィスから切り離してより上記の専門性に特化するような部隊としてミドルオフィスの重要性が高まってきています。
運用会社によってミドルオフィスとバックオフィスの役割が多少違うところもありますが、バックオフィスの具体的な仕事内容としては、約定処理、キャッシュ管理、残高管理、権利保全、ファンド計理、信託銀行とのデータ照合等、こちらも多岐に亘ります。
ミドル・バック部門は避けるべき?
ミドル・バックオフィス:外資系へ転職したいなら「企画・広報部門」は避けるべきとの考え方もあります。
運用会社の組織はシンプルで、収益に直結する、いわゆるフロントオフィスは運用と営業のです(証券会社のIBDに相当する部門はない)。したがって、運用と営業以外はミドル・バックオフィスということになります。
ミドルオフィスはオペレーション部門(業務部門)が中心で、ファンドの基準価額(NAV:Net Asset Value)を算出するファンド計理業務などを行う。
バックオフィスは、他の金融機関や事業会社と同じで、経理、人事、法務コンプライアンス、ITなどの部門を指す。
なお、基本的に外資系の場合はないが、国内系のアセマネには、総合企画・経営企画や広報の部門が存在し、社内的にはエリート部門とされる。
「エリート」というと憧れを抱く人もいるかもしれないが、社内での出世しやすさ(ステータス)と、転職における市場価値は全く別物である点は留意しておきたい。すなわち、外資系への転職に際してはあまり評価されないということだ。
フロント部門のみならず、経理やコンプライアンスといったバックオフィスと比べても転職しにくかったり、好条件での転職が難しかったりするのが現実だ。外資系への転職を考えるのであれば、基本的にフロントオフィスを狙うのがいい。
求められる資質とは?
ミドルオフィスには、金融に関する詳しい知識はもちろん、それ以外にも多岐にわたるスキルが求められます。 例えば、リスクマネジメントを行うためには、法令遵守や企業倫理などコンプライアンスに関する知識が必要ですし、データ分析能力や検証能力も求められます。 営業部門のサポートには、万が一のトラブルに対処するために高度な専門知識はもちろん、どのような時にも即座に判断を下せる状況判断能力が重要です。また、多くの人と関わるため、高度なコミュニケーション能力も必要になってきます。 業務内容の改善などプロジェクト管理で必要な資質は、問題発見力やリーダーシップなどです。また、物事の全体を見渡せる広い視野なども求められます。
外資系でも雇用は比較的安定
ミドルオフィスは、実際に収益を稼ぐフロントオフィスほど華やかなイメージではありません。しかし、特に外資系金融機関の場合は、フロントオフィスは実力主義で給与が高い分、市場環境などの影響で職を失うリスクが高いのも現状です。 それに対して、ミドルオフィスやバックオフィスは、外資系金融でも雇用は比較的安定していると言えるでしょう。ミドルオフィスで培った管理能力などや、バックオフィスで習得した決済業務などのスキルは、金融機関に必要不可欠だからです。
まとめ
金融機関の就活では、花形的なフロントオフィスがやはり人気ですが、多岐にわたるスキルが身に付くと言う意味では、ミドルオフィスも魅力的な仕事です。
もし、あなたがサポート役を得意とし、分析能力など前述のミドルオフィスに求められる資質に自信があれば、むしろフロントオフィスよりも向いているかもしれません。
自分のキャリアプランや資質を考慮した上で、もし合っていればミドルオフィスも選択肢のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。
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