
映画「ウルフ・オブ・ストリート」のモデル ジョーダン・ベルフォート
皆さんは「ウルフ・オブ・ストリート」というハリウッド映画をご存知でしょうか?世界的な俳優であるレオナルド・ディカプリオの主演によって世界中で公開され「俺にこのペンを売ってみろ」というセリフと共に世界中で大ヒットしました。
この映画のモチーフとなったジョーダン・ベルフォートは実在しており、株のブローカーとしてウォール街で名を馳せた人物です。
カリスマ的な営業力の持ち主として知られ、26歳で自分の証券会社を立ち上げて毎週100万ドル(約1億円)を稼いだことから「ウォール街の狼」と呼ばれていました。
今回はジョーダン・ベルフォートが導き出した営業の成功法則を、彼の半生と共にご紹介していきます。
ジョーダン・ベルフォートの半生
ジョーダン・ベルフォートとはどんな人物なのでしょうか?まずは、彼の生い立ちと「ウォール街の狼」と呼ばれるようになるまでの半生をご紹介していきましょう。
ブローカーになるまで
ニューヨークのブロンクスで両親が会計士の家庭に生まれたベルフォートは、アメリカン大学で生物学の学位を獲得すると歯科医師を目指してボルチモア歯科医学校に進学しました。しかし、入学式で学部長が「もしあなたが金儲けの方法を探すという理由で歯科医師を目指すのであれば間違っている。歯科医の黄金時代は終わったのです」とスピーチしたのを聞いて僅か1日で歯科医学校を退学しました。
その後、「金持ちになりたい」という野望を抱いたベルフォートは投資銀行であるLFロスチャイルドに入社。ブローカーとしての資格を取得するために勉学を重ね、試験に合格してブローカーとしてのデビューを果たそうとしたまさに当日に「ブラックマンデー(世界大恐慌やリーマンショックに匹敵する世界最大規模の株価大暴落)」が起こり、彼の所属していたLFロスチャイルドは破産。ブローカーとしてのデビューを果たすことができませんでした。
「ウォール街の狼」としての栄光
での仕事を続けるのは難しいと考えていた矢先に、株そのものに価値は無いものの売れると膨大な手数料が入る低位株ブローカーの仕事を見つけ、初めての電話営業であっさり2000ドル(約20万円)の契約を取り付けました。ここからベルフォートの営業パーソンとしての才能が開花。株価の安い低位株をさも将来性があるかのように営業して売り続けました。
そして、同じアパートの住人ジョナ・ヒルと共に投資会社を起業することを決意。とにかく金を稼ぎたいとベルフォートの元を訪れる若者を次々に雇い、自分のセールストークをシナリオにして全員に真似させました。
その時にベルフォートはペンを手に持って「俺にこのペンを売ってみろ」と部下に問いかけました。すると部下の一人がベルフォートのペンを奪い、「このナプキンに何か書いてくれ」と迫ります。
ベルフォートは「俺にはペンが無い。書くためのペンが欲しい。そうだ、こうして需要は生まれるんだ。お前はまさに『俺にペンを売った』のだ」と褒め称えました。
こうして、部下に「欲しいと思わせて売れ」と教育していったベルフォートは26歳で株式仲介会社「スラットン・オークモント」を創業して低位株を売り続けました。
そして価値のない株を毎週100万ドルを売り続け、年間の売上を4900万ドルまで引き上げるとウォール街では「ウォール街の狼」「低俗なロビン・フッド」と名付けられるようになりました。
派手なパーティーを開催しては投資を募り儲けた金で別荘やクルーザー、高級車やジェット機を思うがままに買いあさっていたベルフォートはまさに栄光の絶頂にありました。
収監と復活
ウォール街で名を馳せていたベルフォートの元には様々な投資や資金調達の案件が持ち込まれてきました。またベルフォートも今以上に金を儲ける方法に執着し、同級生の靴会社を上場させて、新規公開株(IPO)で儲けようと画策しました。
これに目をつけたのがアメリカ連邦捜査局(FBI)です。ベルフォートが違法な金儲けをしていないかを調査し、証券詐欺と資金洗浄の罪で起訴。スラットン・オークモント社員の悪事を供述することを条件に減刑となり、刑務所で22ヶ月間収監されました。
刑務所で出会ったコメディアンから自分の経験を本にして出版することを勧められると、出所後は作家やセミナー講師として活躍。遂には冒頭でご紹介した通り、映画化して世界的なヒット作品のモデルとして復活するまでに至りました。
波乱万丈なジョーダン・ベルフォートの半生ですが、その天才的な営業力は誰しもが認めるところです。
営業術:週100万ドル売るシステムとは

低位株を売ることで膨大な富を得たジョーダン・ベルフォートですが、通常の営業テクニックで価値がないとされる低位株を売ることはできません。どうやって彼は低位株を毎週100万ドルも売っていたのでしょうか。その営業テクニックをご紹介します。
顧客が「買います」と言わない理由を分析
営業において顧客の購買意欲を把握することは重要だとされていますが、ベルフォートもターゲットが買わない理由を把握しておくことが重要だと語っています。
そして、以下の5点が顧客の購買意欲を削いでいると定義しました。
・あなたの商品について納得していない
・あなた自身を信用していない
・あなたの会社を信用していない
・行動の境界線が高く、なかなか決断しない
・痛みを感じていない、焦っていない
そして、「これらの理由以外に顧客が購入を躊躇する理由は無いと断言できる」と語っています。
まず重要なのは、購入を決定しない顧客はどの理由を持っているのかを営業担当として把握することです。そして信頼を獲得して一つずつ購入しない理由を消していくことがセールスにおいて重要だと語っています。
迷ってる人に売るストレートラインシステム
商品を「絶対買わない」と決めている人に売ることは困難です。しかしベルフォートは「どうしようかな」と迷っている人に対しては、適切なアプローチで商品を販売することができると説いています。これが「ストレートラインシステム」です。
ベルフォートは「ストレートラインシステムを知っていれば、誰でも営業が上手くなる」と豪語しています。
ストレートラインシステムの前提として「全ての営業(セールス)は同じである」という考えがあります。商品や価格に関わらず、物を売るためには共通のプロセスを経る必要があるということです。
商品を売るためには顧客に「ちょっと待って」「少し考えます」と言わせずに「やりましょう!」「買います!」と言わせる必要があります。
「ちょっと待って」と言う人に対しては、「やります」と言わせるために以下の5つの要素について納得してもらう必要があります。
<ストレートラインシステムの5つの要素>
1、「必要だ」という確信の感情を相手の心に移すこと
2、冷静な人たちの心をビジョンで熱くすること
3、ビジョンを示し、インスパイヤ(鼓舞)とモチベーション(動機)を提供する
4、セールスの始まりと終わりを意識し、顧客に「買う」と言ってもらうために必要な要素を考える。(断る動機や理由を全て消し去る)
5、行動を起こすように説得する。説得によって相手はビジョンを実現する一員になりたいと考えて行動を起こすようになる。
商品を売るためには顧客が商品を購入して実現する将来のビジョンを描けるようにしなければなりません。そのためには現状の問題点や商品のスペックを語るのではなく、実現したい未来を語ることから始めます。
ビジョンと現状のギャップを認識して初めて、ギャップを埋めるために「商品を買いたい」と考えるようになります。そして、自分もビジョンを誰かに伝えたり、一緒にビジョンを実現するために行動したいと考えるようになるのです。
ベルフォートは「多くの人はビジョンを持っていない」と語ります。営業を成功させるためには、顧客に対して商品を買って終わりではなく、商品を購入してから始まる「ビジョンを実現するためのストーリー」を認識させ、鼓舞する必要があると語っています。
ストレートラインシステムはビジョンを描き、ビジョンを実現させたいと顧客に思わせ、行動に移すための一連のプロセスを指しています。
この手法は迷っている人にこそ有効です。ビジョンを示し、賛同してもらうことでどんな商品でも売ることができるとベルフォートは語っています。
<出典>
スミタイ向上委員
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