外資系運用会社に転職できるのはエリートのみ?
「外資系運用会社に転職したい」
「どうしたら転職できるのだろう?」
と考えていませんか。
外資系運用会社と聞くと、高給取りのイメージが強いものの、銀行や証券会社と比べて仕事のイメージが湧きづらくよく分からない、という方も多いのではないでしょうか。
専門性が非常に高い外資系運用会社に転職する際は、豊富な金融知識や、市場の動向をロジカルに読む力、情報分析力、推進力など、多くの力が求められます。転職できるのは、限られたエリートのみなのは事実です。
さらに運用会社の中途採用の多くは、ひっそりと行われるのが特徴。このため、自力で進めると情報不足におちいりやすく、結果として思うように転職活動が進まないことも起きやすいのです。
そこでこの記事では、元外資系企業勤務で現在転職エージェントの私が、外資系運用会社に転職するなら事前に知っておくべきことと、転職成功のためのポイントを紹介します。
1.外資系運用会社の転職求人は原則「非公開」
外資系運用会社の転職求人は、原則非公開です。このため、転職したいと思ったら、転職エージェントを使う必要があります。
外資系運用会社求人が非公開の理由
・高待遇など条件が魅力的で、公開すると応募が殺到してしまう可能性が高い
・重要な1枠を厳選して採用したいという意向
・秘密裏に進められている、新規事業開拓のプロジェクトである競合他社に知られると運用上のリスクに繋がる重要なポストの場合など、自社の社員に募集を知られたくない
これらの理由から、外資系運用会社は中途採用を大々的に行わず、転職サイトやエージェント経由でこっそりと募集をかけているのです。
実際に、外資系転職サイトCarrerCrossで運用会社の求人を調べたところ、運用会社の求人は45件、その中でも約半数は企業名が公開されていない求人でした。
サイトに掲載されていても、このように企業名がない状態では100%の情報が得られず、自分に合う求人なのかを含めて正確な判断ができません。このため、以下の理由も含めて、非公開求人情報を得ることは必須なのです。
外資系企業への転職を後押ししてくれるキャリア支援サービスは、(1)ハイクラス層に特化した転職エージェントと(2)ヘッドハンティング型転職サイトの2タイプに分類されます。
(1)ハイクラス層特化型転職エージェントは、専任のキャリアコンサルタントがあなたの転職活動をサポートしてくれる人材紹介サービスです。あなたの希望条件や経歴をヒアリングし、転職エージェントが保有する豊富な案件の中から、最適な外資系求人を紹介してもらえます。すぐに転職したい人はこちらがおすすめです。
(2)ヘッドハンティング型転職サイトは、あなたの登録情報を見たヘッドハンターからスカウトが届く転職サービスです。ヘッドハンターから届いたスカウトメールの中で、気になった外資系求人があれば返信し、具体的な紹介を受けます。求人を自ら検索したり、自分からヘッドハンターを探し、直接アプローチして好条件求人の情報を教えてもらうこともできます。中長期的にじっくり転職したい人はこちらがおすすめです。
2.外資系運用会社では4,000万円の給料を得ている人も
外資系企業は日系企業よりも給料が高いイメージをお持ちの方もいらっしゃるかと思いますが、運用会社の場合その特殊な給与体系から、年収4,000万円もの給与を得ている人もいます。
多くの外資系運用会社の給与体系は、「1人当たりの運用資産額や実績、利益額」で決まることが多いです。会社の規模や、業界内の順位に給与が比例しないのが特徴で、日本支社だけでなくグローバルでの収益性によっても左右されます。
また、SP→SVP→directorと役職と同時に給料も大きく上がります。投信投資顧問業界全体で年収1,000万円以上など高給な傾向がありますが、運用部門のみ給与体系が分かれており、成果を出せば何千万と段違いの給料を支給する会社もあるほどです。
また、外資系転職サイトCarrerCrossで求人を調べてみたところ、給与の提示がある求人のうち、最多の最高給与額は「1000万円以上〜1500万円未満」で42.4%、提示されている最高額は2,000万円でした。
これはあくまで転職時の年収のため、入社後の実績次第で上がる可能性は大いにあるでしょう。
外資系運用会社では、豊富な金融知識や、市場の動向をロジカルに読み解き資産運用に活かす高い能力が求められます。かつこれらを積極的に活かしながら、収益を拡大することが求められます。
このような高いハードルを乗り越えて結果を残せば、他業界では得られないような給料を受け取ることができますが、成果を出せなければ給料は上がりません。それどころか、退職に追い込まれることもあります。
日系企業よりも辛く厳しい環境になりやすいため、自身が希望する働き方と合わせて検討することが大切です。
3.外資系運用会社で運用を担当する人はごく少数
外資系運用会社の仕事=運用のイメージを持っている人は多いと思います。また、運用会社への転職を希望する人の多くは「運用部門で活躍したい」とお考えではないでしょうか。
しかし、実際に外資系運用会社で運用業務に携わる人は、ごく一部なのです。実際に、外資系転職サイトに掲載の運用会社求人45件中、運用業務の求人は2件しかありませんでした。(2022年1月30日時点)
まず、外資系運用会社の業務内容は、大きく以下に分類されます。
しかし、外資系運用会社は以下のような特徴を持つ企業が多く、そもそも運用部門の募集が少ない傾向にあります。
外資系運用会社で運用部門の募集が少ない理由
■リサーチ、銘柄選択、売買執行などの実質的な運用業務は海外拠点で行われる
→日本支社の仕事は運用を管理すること
■日本支社の社員数を限定している
→中規模以下の外資系運用会社に多い傾向で、日本では営業部隊と付帯業務の一部のみを担い、それ以外は本国や他拠点に集約されている
■そもそも運用部門が日本にない企業もある
→あっても日本の資産を中心に少数のスタッフでチェックしている場合も
このように、ファンドマネジャーやトレーダーとして運用部門で仕事をしたくても、外資系では就業機会がきわめて少ないのです。
このため、外資系運用会社で働きたいなら、運用部門以外の仕事を探す方が、転職を実現できる可能性は高くなります。ただ、どうしても運用部門にこだわる場合は、転職エージェントを活用し、しっかりと転職対策を行いましょう。
4.外資系運用会社に転職するなら、TOEIC900点以上の英語力が必要
外資系運用会社に転職するなら、TOEIC900点以上またはそれに匹敵する英語力が求められます。なぜなら、外資系運用会社では業務のあらゆる場面で英語を使うからです。
外資系運用会社で英語を使う場面
海外オフィスとのやり取り
英語での情報収集
海外レポートの分析
競合企業の状況把握
また、海外のお客様や社内の人と話せるようにしておくことも大切です。特に、投資家からの資金集めを担当する場合、海外投資家と直接やり取りすることも多く、外国人と英語で交渉できるレベルが求められます。
外資系運用会社には、帰国子女や留学経験のある社員も多く、ネイティブ並みに英語ができる社員も珍しくありません。前述の通り、外資系運用会社は求人枠が非常に少なく、ハイレベルな戦いが予想されます。
英語力は独自で伸ばせる力の一つです。他の候補者と差をつけるためにも、しっかりと身につけておきましょう。
また、他の候補者と差別化をするなら、TOEICに加えてCMAとCFAを取得することも有効です。
CMA:日本証券アナリスト協会認定アナリスト
CFA:米国証券アナリスト。資格世界中の無数にあるファイナンス資格のなかで、圧倒的なステータスを誇る
日本語で受験するCMAに対し、CFAは英語で受験します。CFAの問題はファイナンス英語で書かれているため、チャーターホルダー(CFA保有者)であることは、一定レベルのファイナンス英語ができる証明にもなります。
実務においても大いに役立つ資格であり、業務に必要なファイナンス知識を身につけられます。英語力向上のためにもTOEICと合わせて取得すると、転職活動における差別化と、入社後の業務に大いに役立つでしょう。
5.運用会社は外資系と日系で何が違う?
この章では、運用会社における外資系と日系の違いをお伝えします。同じ運用会社でも本国が異なると、扱う商品や働き方に多くの違いが見受けられます。
5-1.外資系運用会社は日系よりも社員数が少ない
5-2.外資系は外貨資産、日系は国内投資信託を扱う
5-3.外資系の方が日系よりも長時間労働になりがち
早速、見ていきましょう。
5-1.外資系運用会社は日系よりも社員数が少ない
まず、外資系運用会社は日系よりも社員数が少ないという特徴があります。
日系の運用会社は、ほとんどの場合どこかのファイナンシャルグループに属しています。グループ全体で数万人のうち、運用会社単体では500〜1,000人ほどの企業が多いです。
それに対し、外資系企業は大きくても2〜300人、中には100人以下の企業もあり、日系企業よりも小規模です。
人員の多くを営業部隊に割くことで顧客サポートに力を入れている日系運用会社に対し、外資系運用会社は、少数精鋭で効率的に運用と顧客対応を行なっています。
実際に、各企業の国内純資産総額(残高)に対する1人あたりの取扱額は以下の通りでした。
外資系と日系を比較すると、最も大きいところで2倍以上の開きが見られます。ここから、外資系企業は単純に社員数が少ないだけでなく、1人あたりの扱い額が大きいことがわかります。
5-2.外資系は外貨資産、日系は国内投資信託を扱う
日系と外資系の運用会社では、取扱う商品が異なります。また、運用の方針も大きく異なります。
外資系運用会社は、各社の特色や強みを活かし、外国株式や外国債券などの外貨資産を運用します。「サブアドバイザリー契約」と呼ばれる、日系運用会社の海外資産の委託を受けている企業もあります。
これにより、外資系では日々多くの国内外の情報に触れ、ベストな投資判断をしなくてはなりません。さらにジョブ型雇用という各分野に特化したアサインが基本であるため、各部門の専門知識があることは当然のこと、個人に任される裁量も大きいのが特徴です。
一方、日系の運用会社は、多様な国内投資信託の運用に特化し、近年のNISA(少額投資非課税制度)導入のような国内の大きな動きに合わせて投資信託をファイナンシャルグループ内で内製化する傾向があります。
また、日系企業でも情報収集や分析は必要ですが、運用方針の大枠は社内で定められており、ルール通りに運用することが最優先とされます。この点は、外資系企業との大きな違いです。
このように、一定の方向性が提示される日系に対し、外資系では結果に導くための高い情報分析力や推進力をより一層求められます。運用会社で必要なスキル専門性と合わせて、これらの力を面接などでアピールすることは重要です。
5-3.外資系の方が日系よりも長時間労働になりがち
日系と外資系の労働時間を比較すると、外資系勤務の方が長時間労働になりがちです。その理由として、「①成果が給料に反映するか否か」「②外資系は時差に振り回されやすいこと」の2点が挙げられます。
「①成果が給料に反映するか否か」については、日系運用会社では、会社の方針を守っていれば、その上で損失が出てもダイレクトに個人の給料に反映するわけではありません。
一方の外資系は、結果が全ての世界であり、個人の成果が給料に連動することから、成果を追い求めるがゆえに長時間労働に及びがちです。また、直接的に労働していなくても、夜間大学院に通う、レポートや本などから情報収集するなど、より良い結果のために、常にアンテナを貼り続ける人も多いです。
また、2つ目の「②外資系は時差に振り回されやすいこと」も長時間労働になる原因の一つです。
外資系は主に外貨資産を扱うため、海外マーケットの現地時間に合わせて仕事をし、欧米の本社との連携や情報収集も行います。結果として時差に振り回され、業務が長時間になってしまうのです。
このように外資系運用会社は日系よりも長時間労働になりやすい環境と言えます。特に繁忙期は、企業によってはプライベートがなくなるほどの多忙さです。このため、外資系運用会社で働くなら、スキルや専門性に加えて、心身の強さも欠かせないでしょう。
この章のまとめ
外資系と日系の運用会社の違いは、以下の通りです。
少数精鋭で効率的に運用を行う外資系に対し、日系は顧客サポートに力を入れながら、大きな規模の運用を行う
外資系は外貨資産に特化、日系は国内投資信託に特化
外資系は給料が成果報酬であること、海外との時差に影響されることで、日系よりも長時間労働になりやすい
このように外資系と日系では、入社後の働き方に大きな違いがあります。外資系は実力主義である分、情報収集や勉強が不可欠であり、かつ戦略を考えて自発的に進める力が日系企業よりも求められるのです。
その分、実力が評価されれば高収入を得られる環境でもあるので、努力を重ねながら積極的にチャレンジしたい人にとても良い環境と言えるでしょう。
<出典>
キャリアセオリー
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