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あせっとびるだーず 今月の投資レポート(2024.10.23)

《円安の動き再び?》

 日銀の金融正常化の動きによって、円高に動き始めた為替でしたが、ここにきてまた円安に動き始めています。
 9月半ばでは140円/ドルぐらいだったのですが、今では152円/ドル(10/23日時点)にまで円安が加速しています。また7月の162円/ドルにまた戻ることになるのだろうか。

 このまま円安が続くようなことになれば、円安は物価高に直接的につながる要素でもあるので、一般消費者の財布にも影響が出てくるのかもしれません。

 それと共に気になるのが、米国債の長期金利の上昇です。

 円安の流れは、米国債の長期金利の上昇とともに起きています。9月中は、米国経済への不安が市場にあったことで、金利は下がり、為替はドル安という傾向にありましたが、最近ではソフトランディングやノーランディングという言葉を聞くことが多くなり、米国経済は金利が高くても強いままという認識が広がっています。
 さらにFRBが政策金利を0.5%引き下げるという大幅な金利引き下げによって、さらに金融市場では米国経済への強気が増したように感じています。

 結局は、為替も金利も、米国経済次第という印象です。

 米国経済が腰折れすれば、おそらく円高金利安になるのだろうし、米国経済が強いままなら、円安金利高ということになるのかもしれません。

 日本では石破首相の誕生や、衆議院選挙、アメリカでは大統領選挙、中東ではイスラエルを中心に起きている戦争など、世界中でいろんなイベントが盛りだくさんですが、やはり世界や日本の金融市場にとって、最も肝心なところは米国経済ということなのかもしれません。
 株式や債券などに投資をする投資家としては、何よりも米国経済の動向を注視しておくことがポイントになるように感じています。雇用統計や消費者物価指数など、米国経済がどの方向に向かっているのかを気にしていきたいと考えています。

《バランス感覚が、より大切な気がしています。》

 資産運用の基本である資産配分、この考え方がより重要な時期にあるような気がしています。

 基本的に米国経済は強いという流れにはありますが、同時に不安要素も拡大しているという懸念を感じています。
 中でも最も気にしているのは、逆イールドの解消です。

 2024年10月23日時点の米国10年物債券の金利は、4.246%、対して2年物の米国債券の金利は、3.50%。
 2022年から続いた逆イールド現象は、完全に解消されています。
 投資資金の流れも、徐々に短期の債券から長期の債券に動いているという話も聞きました。

 逆イールドの解消は、景気後退のシグナルと言われています。過去にも何度も逆イールドが起こり、そしてそれが解消されるということが起こってきました。
 そして、そのたびに景気後退になっているというデータもあるようです。

 9月の米国の景気後退懸念は、この逆イールドの解消から始まったようにも感じています。

 確かに、今回は過去の逆イールド解消とは状況が違うという説明もできるのかもしれません。
 しかし、著名投資家のジョン・テンプルトンの「今回は違う」という格言も忘れることはできません。

 つまりは、今後の資産運用では、リスクとリターンのバランス感覚がより重要になってくるのではないかと思っています。

 これまで通りの米国経済は強いという流れと、もしかしたら景気後退が起こるかもという、真逆のスタンスを、同時に行っていく必要があるのではないかと思っています。

 具体的に言うなら、米国経済が強いままなら、株式投資でリターンを受け取り、景気後退に陥ったら、金利が低下した際に有効な債券投資で資産を守る。
 という、両極端な状況を考慮して、どんなバランスをとっていくのかが、より重要になってくるのではないかと思っています。

 「資産運用のパフォーマンスは資産配分で8割決まる」という話は、あながち間違っていないのかもしれない、ということをあらためて考えさせられます。