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氷河期世代への対応が遅すぎた―ロープは垂らされたが・・・

 「ロスジェネ(ロストジェネレーション)やばくね?救ったほうがよくね?」という空気が、ようやく世の中に広がり始まったようです。しかし、氷河期世代のボリュームゾーンはすでに40歳を超え、50代に突入しています。今さら救済策が打たれても、多くの人にとっては手遅れです。まるで崖下に落ちたロスジェネたちを眺めてからロープを垂らされても、誰も救えないかのような状況です。

 氷河期世代は、20代・30代の働き盛りを、経済的に不安定な状態で過ごしてきました。就職活動が困難であった時期に、キャリアを築く機会を逃した人たちは、現在でも非正規雇用や低賃金の労働に従事しているケースが多く見受けられます。安定した収入を得られないまま、将来の年金や老後の備えが十分にできていないという、切迫した現状に直面しているのです。

 さらに、再就職やキャリアチェンジを試みようとしても、年齢やキャリアの空白期間が壁となり、なかなかうまくいかないことが多いです。企業も実績の乏しい中高年の労働者に対する採用を渋る傾向が強く、氷河期世代がキャリアを再スタートするのは非常に厳しいのが現実です。

 ようやく政府や社会がロスジェネ問題に対して関心を示し、救済策を考えるようになりました。しかし、そのタイミングが10年以上遅れていることは否めません。現時点で打ち出されている支援策も、若年層を中心にしたものや、スキルアップ支援、就職支援が多くを占めていますが、50代に突入した氷河期世代にとって、それがどれほど効果的かは疑問です。

 新しいスキルを学び直しても、そのスキルを活かせる職場が限られています。また、年齢に対する偏見も依然として根強く、中高年が再び職場に参入すること自体が難しい現状です。この点を無視して「再チャレンジ」を促すだけでは、根本的な解決にはならないでしょう。

 もし、この支援が10年、いや20年前に行われていたなら、氷河期世代の多くは今とは全く違った人生を歩んでいたかもしれません。当時、社会は氷河期世代が直面していた深刻な就職難やキャリア形成の問題を軽視していたと言わざるを得ません。「自己責任」という言葉が氷河期世代を苦しめ、多くの人が精神的に追い詰められました。今となっては、彼らが失った時間や機会を取り戻すのは非常に難しい状況です。

 とはいえ、今からでも少しでも手を打つことが必要です。特に、年金や生活支援の強化、老後資金のサポートなど、氷河期世代が安心して暮らせる仕組みを作ることが急務です。彼らがこれ以上社会から取り残されることがないよう、より現実的な支援策を考えるべきです。

 また、社会全体が氷河期世代に対する認識を改め、彼らの経験や能力を尊重し、それを活かすこと重要です。氷河期世代は単なる「被害者」ではなく、さまざまな経験を経て、多くのスキルや知識を蓄積している世代でもあります。それを活かせる環境を整えることが、社会全体の活力を引き上げる可能性もあるのです。

 「ロスジェネやばくね?救ったほうがよくね?」と社会が気づくのが遅すぎたことは明白です。氷河期世代が崖から落ちるまで何もしてこなかった社会は、その責任を真摯に受け止め、これ以上彼らを切り捨てることなく、今からでも誠実な対応を行う必要があります。遅すぎるとはいえ、まだ全てが終わったわけではありません。未来を見据えて、少しでもこの世代の人々が安心して暮らせる道筋を作ることが、今後の課題として残されているのではないでしょうか。

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猫男@ASD
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