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なぜ既婚者は独身者に『既婚マウント』をしたがるのか?

 独身者にとって、既婚者からの「既婚マウント」は避けられない場面のひとつかもしれません。「結婚したほうがいい」「子どもはかわいいぞ」「なんで結婚しないの?」といったアドバイス(あるいは説教)は、時に上から目線と感じられ面倒に感じることもあります。
 では、なぜ既婚者はこうした態度を取るのでしょうか。その背景には、複雑な心理や社会的な要因が隠れているようです。

 まず、結婚は多くの文化で「一人前」の大人であることの象徴とされてきました。既婚者にとっては、結婚そのものが自己肯定感を高める要素になっています。「結婚したほうがいい」「子どもは素晴らしい」という言葉を口にする背景には、自分が選んだ人生が正しかったと再確認したい気持ちが潜んでいるのかもしれません。独身者に対して助言や指摘をすることで、自らの選択を正当化しようとしているとも考えられます。

 また、社会全体に根付く「結婚=幸せ」という価値観も影響しています。結婚や家庭が人生の成功や安定の象徴とされる風潮がいまだに強い中で、既婚者はその価値観を無意識に他者に押し付けてしまうことがあります。このような「善意」のアドバイスは、独身者にとっては迷惑やプレッシャーに感じられる場合もあるでしょう。

 さらに、既婚者が家庭を持つことは心理的な支えにもなっています。家庭という足場があることで、「自分には守るべき存在がある」という安定感や安心感が得られるとのことです。結果として、こうした心理的余裕が、独身者に対する優越感として表れることがあります。既婚者が自分の家庭生活を誇りに思い、その延長線上で「独身ではわからない幸せ」を語るとき、それが「既婚マウント」として伝わってしまうのかもしれません。

 そして意外なことに、「既婚マウント」を取る人の中には、結婚生活に満足していない人もいるようです。結婚生活で感じる不安や不満を隠すために、他者に対して優越感を見せつけることで、自分の不安を和らげようとする心理が働いている可能性があります。このような場合、実際にはマウントを取る側も心の中で葛藤を抱えているかもしれません。

 人間には、自分が属する集団や立場を守ろうとする心理があると言われています。既婚者にとって「結婚した」という事実は、自分を社会の成功者と位置づける要素のひとつなのかもしれません。そのため、独身者に対して「結婚していないのは未熟だ」という無意識のメッセージを送り、自分の立場を強化しようとする行動が見られるかもしれません。これもまた、「既婚マウント」の一因と言えるでしょう。

 さらに、「独身のままでは幸せになれない」という善意から来るアプローチもあります。既婚者自身が独身時代に孤独感や不安を抱えていた経験から、独身者に「早く結婚して幸せになってほしい」と思っている場合もあります。しかし、この善意が相手にとっては押し付けや干渉と感じられることも少なくありません。

「既婚マウント」の背景には、単なる優越感だけでなく、社会的な価値観や善意、不安や葛藤といった複雑な心理が絡み合っていると考えられます。そのため、独身者がこうした態度を受け取った際には、あまり深刻に捉えず、相手の心理的背景を理解しながら、冷静に受け流すことも大切かもしれません。

 最後に、「既婚マウント」に対抗するためには、自分自身の「足場」を増やすことも有効かもしれません。例えば、趣味や仕事、友人関係など、自分が自信を持てる活動を増やしていくことで、心の強さとしなやかさを育むことができます。既婚者の「家庭」という足場に対して、自分らしい立つ瀬を築くことで、より豊かで安定した人生を送ることができるでしょう。


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猫男@ASD
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